旅館業営業許可とは?|取得方法・必要図面・民泊新法との違いを解説

旅館業営業許可とは?|取得方法・必要図面・民泊新法との違いを解説

旅館業営業許可とは、旅館業法に基づき、宿泊料を受けて継続的に宿泊サービスを提供するために、自治体(保健所等)から受ける公的な営業許可のことです。

無許可での営業は罰則の対象となるため、正しい法知識と適切な手続が欠かせません。
本記事では、代表的な「旅館・ホテル営業」を中心に、取得要件や申請フロー、必要図面まで解説いたします。

旅館業営業許可とは?|民泊新法との違い

旅館業法における「宿泊」とは寝具を使用して施設を利用することを指し、「営業」とは社会性をもって継続反復して行われる事業を指します。無許可で営業を行った場合、6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金などの罰則が科されます。

平成29年の法改正により、従来のホテル営業と旅館営業が統合され、現在は「旅館・ホテル営業」が中心的な営業種別となっています。また、年間180日以内の制限下で住宅を活用する住宅宿泊事業法(民泊新法)との主な違いは以下の通りです。

比較項目旅館・ホテル営業(旅館業法)住宅宿泊事業法(民泊新法)
手続形態都道府県知事等の「許可」都道府県知事等への「届出」
営業日数制限制限なし(年間365日営業可能)年間180日以内(自治体条例でさらに短縮可)
用途地域制限住居専用地域・工業地域・工業専用地域等は原則不可
(第一種住居[3,000㎡以下]・第二種住居・準住居・近隣商業・商業・準工業地域等で可能)
工業専用地域を除くほぼすべての用途地域で実施可能
(住居専用地域等でも実施可。ただし自治体条例による実施区域・期間の制限あり)
建物の用途建築基準法上の「ホテル・旅館」に適合必須建築基準法上の「住宅・長屋・共同住宅・寄宿舎」等で実施可
消防法令適合消防法令適合通知書の提出が必須

旅館業営業許可を取得するための主な要件

旅館・ホテル営業の許可を取得するには、申請者(人)、設置場所(土地)、構造・衛生(設備)、他法令・権利関係などの要件を総合的に満たす必要があります。

要件カテゴリ該当法令・規定チェックポイント
申請者の欠格要件
(人的要件)
旅館業法 第3条第2項申請者(法人の場合は全役員)が以下に該当しないことが必要です。
・旅館業法等に違反して刑を受け、執行終了から3年未経過

・許可を取り消されてから3年未経過

・暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年未経過
設置場所・用途地域
(場所的要件)
建築基準法 第48条

都市計画法
・建築基準法上、ホテル・旅館(法上の表記は「ホテル又は旅館」)の建築が認められている用途地域(第一種住居地域[3,000㎡以下]、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域など)に限られます。

・住居専用地域や工業地域等では原則営業できません。
周辺施設への意見照会
(環境保全)
旅館業法 第3条第3項敷地からおおむね100m以内(自治体により110m〜150m)に学校、幼稚園、保育所、児童福祉施設等がある場合、環境への影響について教育委員会等へ意見照会が行われます。
構造設備・客室床面積旅館業法施行令 第1条1客室あたりの床面積は7㎡以上(寝台/ベッド設置時は9㎡以上)確保する必要があります。

壁の内側で算定する内法寸法を用い、クローゼットや押入れ等は除外します。
水回り・衛生設備旅館業法施行令 第1条適切な換気、採光、照明、排水設備を備えるほか、定員に応じた入浴設備(公衆浴場が近接している場合を除く)、洗面設備、便所(流水式手洗い設備)を設置します。
玄関帳場(フロント)
※令和7年4月改正
旅館業法施行令 第1条

旅館業法施行規則 第4条の3
原則として面接に適するフロントを設置します。無人・非接触運用の場合は、ICT機器(カメラ・スマートロック等)と約10分以内の緊急駆け付け体制で代替可能です。

※令和7年4月1日改正:自動チェックイン機器等による事前情報照合方式(対面・リアルタイム面接なし)や外国人パスポート写しの電子保存が要綱上明記されます。
他法令適合
(消防・建築等)
消防法

建築基準法
・消防法:特定用途(5項イ)に適合させ「消防法令適合通知書」を取得します。

・建築基準法:200㎡超の転用時は用途変更の確認申請が必要です。

・その他:食事提供時は食品衛生法の許可等を実施します。
物件の権原・管理規約民法

区分所有法
・土地・建物の所有権または合法的な賃貸借・転貸承諾(賃貸借契約書等)が必要です。

・分譲マンション等の場合は、管理規約で旅館業が禁止されていないことの確認が必要です。

旅館業営業許可を取得するまでの流れ

ステップ新築の場合既築(既存建物転用)の場合
1. 事前相談保健所・建築指導課・消防署へ図面を持参し協議します。既存建物の用途地域、旧耐震・違法性の有無、管理規約等を事前に確認・相談します。
2. 周知・建築手続周辺住民への標識設置・説明後、建築確認申請を経て着工します。事前届出・標識設置後、床面積200㎡超は用途変更の建築確認申請を行って着工します。
3. 工事完了・検査竣工後、建築の完了検査および消防検査を実施します。改修工事完了後、消防検査および用途変更の完了手続を実施します。
4. 許可申請と資料【提出資料】
許可申請書、施設図面、消防適合通知書、権原証明書類等に加え、完了検査後に受取る「検査済証の写し」を添付します。
【提出資料】
許可申請書、施設図面、消防適合通知書、権原証明書類等に加え、「用途変更等の工事完了確認書類」(※床面積200㎡超で用途変更手続を行った場合のみ)等を添付。
5. 現地実査・許可交付保健所職員による立入施設検査後、基準に適合していれば営業許可証が交付され営業を開始します。保健所職員による立入施設検査後、基準に適合していれば営業許可証が交付され営業を開始します。

旅館業営業許可申請に必要な図面

保健所等への事前相談や正式申請の際には、構造設備や衛生・安全基準への適合性を客観的に証明するため、以下の図面一式を提出します。

図面の種類チェックポイント
周囲見取図
(周辺図)
施設から半径100m〜300m程度の範囲を明示し、周辺の学校・幼稚園・児童福祉施設等との直線距離を記載した地図です。
施設配置図敷地境界線、建物の配置、道路との位置関係、敷地内の見切り等を明示した図面です。
各階平面図各室の用途(客室・洗面所・便所・浴室等)、客室名、内法寸法、定員、ベッド等の寝具配置、窓・網戸の位置等を記載した図面です。
求積図および面積計算書敷地・延床面積(壁芯計算)と、客室床面積(壁の内側で測る内法寸法)の計算図・計算式です。
給排水経路図・系統図客室・浴室・便所等の給水配管および排水配管の経路を色分け等で明示した平面図および縦断面系統図です。
換気・冷暖房・照明設備図エアコンや換気扇の設置箇所・型番・性能仕様(換気量等)、および各室の照明器具配置を示した図面です。
玄関帳場詳細図/代替設備資料玄関帳場の構造図です。無人・ICT運用の場合は、カメラ・端末位置、スマートロック仕様、駆け付け経路図(所要時間明記)等の説明資料を添付します。

旅館業営業許可証とは?|取得後に必要な対応

旅館業営業許可証とは、申請書類の審査および保健所職員による現地立入施設検査を経て、施設が旅館業法や自治体条例の基準に完全に適合していると認められた際に、都道府県知事等から交付される公的な許可証明書です。

営業許可証の基本概要、記載される内容、交付後に発生する義務や具体的な活用場面は以下の通りです。

項目内容・詳細
概要交付の性質と時期・書類審査および保健所による現地立入検査に合格後、都道府県知事(保健所長)から交付される公的証明書。

・受領により正式に営業開始が可能。
主な記載事項許可証に明記される情報① 許可番号および許可年月日

② 営業者の氏名または名称(法人の場合は代表者名)

③ 営業施設の名称(屋号)

④ 営業施設の所在地

⑤ 営業の種別(「旅館・ホテル営業」など)
交付後の主な義務標識(表札)の掲示施設内や公衆の見やすい場所(主要な入口や郵便受け等)に、許可番号や施設名等を記載した標識(表札)を掲示する義務。
宿泊者名簿の作成・保存宿泊者名簿を備え付け、氏名・住所・職業等を記載して3年間保存する義務。
※日本国内に住所がない外国人はパスポート写しの保存が必須。
維持管理・立入対応施設の清潔維持、換気、水質管理等の衛生管理を実施し、定期的な保健所の立入検査に対応する義務。
主な活用場面対外的な証明手続・OTA(旅行予約サイト)への登録:
AirbnbやBooking.com等での物件掲載時の証明。

・事業用銀行口座の開設:
屋号付き口座開設時の公的証明。

・消防署・関係機関への届出:
営業開始の報告や各種契約時。

まとめ

旅館業営業許可とは、旅館業法に基づき宿泊料を受けて継続的に人を宿泊させる営業を行うため、自治体(保健所等)から受ける公的な許可です。無許可営業には罰則が科されます。

代表的な「旅館・ホテル営業」の取得には、申請者の欠格事由、建築基準法上の用途地域制限、近隣学校等への意見照会、客室面積(7㎡/9㎡以上)や水回り設備、フロント要件(令和7年4月改定の自動チェックイン機器等による情報照合含む)、消防法令適合、物件の権原等の要件をクリアする必要があります。

手続面では、新築時は「検査済証の写し」、既築で床面積200㎡超の用途変更を行った場合は「完了確認書類(工事完了届の控え等)」(※200㎡以下は不要)を添付します。

保健所の現地立入検査に合格すると「営業許可証」が交付され、標識掲示や宿泊者名簿の3年間保存等を行って営業を開始します。

OSAHIRO行政書士事務所では、名古屋市・愛知県・岐阜県・三重県を中心に、旅館業許可申請・民泊新法の届出をサポートしています。旅館業許可・民泊新法に関する豊富な申請実績を活かし、物件の状況や営業方法を確認したうえで、必要な手続きや申請の進め方をご案内します。ご依頼をご検討の方は、上記よりお問い合わせください(初回面談は無料です)。

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