民泊新法における180日ルール

民泊新法(住宅宿泊事業法)における180日ルール

180日ルールとは 民泊新法は、住宅宿泊事業を「宿泊料を受けて住宅に人を宿泊させる事業であって、人を宿泊させる日数が年間180日を超えないもの」と定義しています。 この日数の算定は「毎年4月1日正午から翌年4月1日正午まで」の1年間を基準に行われます。宿泊日数は、チェックイン日の正午から翌日正午までを1日と算定し、宿泊人数や組数はカウントに影響しません。

ルールの背景

この規制は、周辺住民の生活環境への配慮(騒音、ゴミ問題など)、住宅の宿泊施設への過度な転用による住宅不足や家賃高騰の抑制、そして旅館業法に基づくホテルや旅館との公平性を保つ目的で設けられました。

罰則

年間180日を超えて営業した場合、民泊新法では直接の罰則はありませんが、旅館業法に定める許可を得ずに営業したことになり、旅館業法違反として「6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金」が科される可能性があります。また、住宅宿泊事業者が宿泊日数などの定期報告を怠ったり、虚偽の報告をしたりした場合は、民泊新法に基づき「30万円以下の罰金」が科されます。

180日ルールに関する概要表

項目説明
根拠法住宅宿泊事業法
定義年間180日を超えない宿泊事業
カウント期間毎年4月1日正午から翌年4月1日正午まで
カウント方法・チェックイン日正午から翌日正午までを1日

・人数・組数は影響せず。
罰則・超過:旅館業法違反(6ヶ月以下の懲役/100万円以下の罰金)

・虚偽報告:民泊新法違反(30万円以下の罰金)。

180日ルールへの対策

旅館・ホテル営業(簡易宿所含む)への転換

年間180日の制限を超えて営業したい場合、旅館業法に基づく許可を取得し、ホテルや旅館(簡易宿所を含む)として運営する方法があります。これにより、年間365日営業が可能になります。

ただし、民泊新法と比較して、旅館業法の要件は厳しく、開業のハードルが高いとされます。主な違いは以下の通りです。

◇ 許認可
旅館業は「許可制」であり、民泊新法の「届出制」より審査が厳格です。

◇ 用途地域
旅館業は住居専用地域、工業地域、工業専用地域では原則営業できません。

◇ 建築基準法
物件は建築基準法上「旅館またはホテル」の用途に適合している必要があり、200㎡を超える部分の用途変更には建築確認申請が必要となる場合があります。

◇ スタッフ/駆けつけ
営業者等の常駐が必須ではないものの、緊急時に「おおむね10分以内」の駆けつけ体制が求められます。名古屋市では民泊施設から1km圏内に事務所が必要という独自の上乗せ規制があります。

◇ 消防設備
旅館等は、自動火災報知設備、誘導灯など、より多くの消防用設備の設置が義務付けられ、消防法令適合通知書が必要となります。

◇ 宿泊実績報告
旅館業は不要です。

これらの厳しい基準を満たすための設備投資や手続きに多大な費用と時間がかかる点が、旅館業への転換における大きなハードルとなります。

その他の対策

180日ルールへの対策として、旅館・ホテル営業(簡易宿所含む)への転換以外では、主に以下の方法があります。

◇ 特区民泊
国家戦略特区内の特定地域に限り、年間180日の営業日数制限を受けずに365日営業が可能です。ただし、最低宿泊日数が2泊3日以上となる制約があります。

◇ マンスリーマンション
民泊新法の営業期間外に1ヶ月以上の賃貸として貸し出す方法です。旅館業法の許可や180日ルールが適用されず、年間を通して収益を上げられます。

参考:民泊申請の説明動画

民泊申請の概要、注意点について、動画でわかりやすくご紹介します。

【民泊情報】

・民泊新法と旅館業法の違い

・民泊に必要な消防設備

・民泊ができる用途地域とは?

・民泊運営における建築基準法

・民泊の駆けつけ要件

2025年以降も使える!民泊の補助金活用ガイド

【旅館業】

・名古屋市旅館業法施行条例等の改正:25年4月

・民泊新法から旅館業への転換

・旅館業における建築基準法

・旅館業における常駐義務

旅館業における無人チェックイン

旅館業における本人確認

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