行政書士が教える!民泊新法の条件をクリアするための重要4ポイント

民泊新法制定の背景から説明します。近年では外国人観光客の増加による宿泊施設の不足や人口減少による空き家問題、相続や譲渡などによって取得した不動産や物件を、民泊施設として利用する方が多くなりました。さらに部屋を貸したい人と宿泊したい人をマッチングするサービス「Airbnb(エアビーアンドビー)」などの登場により、民泊が急速に普及しました。近年ではしかし、民泊として活用する際には、安全面や衛生面といったトラブルを避けなければならないため、注意が必要です。そのようなトラブルを避けるために、平成29年6月に「民泊新法」と呼ばれる法律が成立しました。ただこのAirbnbなどを通じた空き室の貸し出しは、従来の「旅館業法」で規制するとほぼ違法になってしまうという問題もあったのです。そこでこういった民泊の急速な普及に対応するために制定されたのが、「民泊新法(住宅宿泊事業法)」です。民泊新法(住宅宿泊事業法)とは、旅行者に対して民泊を貸し出す事業者を対象とした法律です。

対象事業者

具体的には下記の3事業者が対象となるものであり、それぞれで役割や義務が決められています。

①住宅宿泊事業者(住宅宿泊事業法第3条第1項):届出住宅を利用して民泊事業を行う民泊ホスト
住宅宿泊管理業者とは、住宅宿泊事業法第11条第1項に規定する委託を受け、宿泊施設を運営して収入を得ている方を指します。また、住宅宿泊管理業者の登録は5年ごとに更新を受ける必要があります。

②住宅宿泊管理業者(住宅宿泊事業法第22条第1項):民泊ホストから住宅の管理業務の委託を受ける民泊代行業者
住宅宿泊仲介業者(住宅宿泊事業法 第二条第八項)とは、民泊を運営する旅行業者以外の方を指します。具体的には下記を行っている方を指し、運営代行なども含まれます。
・宿泊者のため、届出住宅における宿泊のサービスの提供を受けることについて、代理して契約を締結し、媒介をし、又は取次ぎをする行為
・住宅宿泊事業者のため、宿泊者に対する届出住宅における宿泊のサービスの提供について、代理して契約を締結し、又は媒介をする行為

こちらは旅館やホテルなどは対象外で、運営するためには旅行業法に基づく旅行業者として登録しなければなりません。登録後も5年ごとに更新を受ける必要があり、更新をしなかった場合は仲介業を行うことができません。

③住宅宿泊仲介業者(住宅宿泊事業法第46条第1項):民泊物件を紹介する仲介サイト
住宅宿泊仲介業については、観光庁長官の登録が必要となります。そのうえで、宿泊者への契約内容の説明などを義務付けています。住宅宿泊仲介業者の監督については、観光庁長官が実施するルールとなっています。

3種類の民泊の違い

「民泊」と言っても、「旅館業法(簡易宿所)としての民泊」「特区民泊としての民泊」「新法民泊による届出住宅としての民泊」の大きく3種類に分けることができます。それぞれの違いをまとめると以下です。新法民泊は、営業届出を行うだけで営業ができるようになったことが、旅館業法との大きな違いです。

民泊新法(住宅宿泊事業法)簡易宿所(旅館業法)特区民泊(国家戦略特区法)
許認可届出許可申請認定申請
所管省庁国土交通省
厚生労働省
観光庁
厚生労働省内閣府
(厚生労働省)
立地規制なし(住宅扱い)あり区域計画に定める
営業日数制限年間180日以内制限なし2泊3日以上の滞在
最低床面積3.3㎡/人原則33㎡以上原則25㎡以上/1室
近隣住民との
トラブル措置
必要不要必要
管理業者への委託義務家主不在時必要不要不要
住居専用地域
での営業
可能不可可能
消防設備必要必要必要
衛生措置換気、除湿、清潔等の措置、定期的な清掃等換気、採光、照明、防湿、清潔等の措置換気、採光、照明、防湿、清潔等の措置、使用の開始時に清潔な居室の提供

条件(住宅&営業日数)

(1) 届出可能な住宅の条件
<設備要件>
台所・浴室・便所・洗面設備を備えることです。
(住宅事業法第2条1項)
<居住要件>
以下の3つの条件が定められています(住宅事業法第2条2項)。
1.現に人の生活の本拠として使用されていること
2.入居者の募集が行われていること
3.随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されていること
この3つの条件のうち1つでもクリアしていれば、一戸建てやマンションなどの共同住宅を問わず、民泊施設として貸し出すことが可能です。


(2) 年間営業日数
年間営業日数は180日以内に制限されています。
注意しなければならないのは、実際の宿泊日数ではなく、正午が基準となる点です。
たとえば、4月1日の正午にチェックインを行い、翌日の4月2日の14時にチェックアウトした場合には、営業日数が2日と数えられることになります。

管理業務の委託

住宅宿泊事業には「家主居住型」「家主不在型」の2つのタイプがあり、いずれかによって住宅宿泊事業者に対する規制が異なります。
(1)家主居住型
家主居住型は、届出住宅(民泊施設)にお客さんが泊っている間は、住宅宿泊事業者であるあなたが、その住宅に住んで(また滞在して)いる必要があります。国土交通省令・厚生労働省令で「一時的な不在」と定められているケースに該当する場合は、「家主不在型」になりません。原則1時間、特別な事情がある場合でも2時間程度の範囲までの不在であれば、「一時的な不在」として認められ、「家主居住型」の条件をクリアしています。
(2)家主不在型
「家主不在型」は、簡単に言うと、ゲストが宿泊中にあなたが「不在となるとき」がある場合です。「家主不在型」の場合は、管理業務を住宅宿泊管理事業者に委託しなければいけないです。

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