特定技能とは、人手不足解消のために専門的な技術を持った外国人を受け入れていく制度であり、1号と2号の2種類に分けられます。まずは特定技能1号でスタートし、一定の要件を満たし、特定技能2号に移行できれば在留期間制限なく日本で働くことができます。そのため、特定技能が永住権取得のルートとしても注目を集めています。
特定技能1号と2号の違い

特定技能1号と2号の違いを、下表にまとめました。特定技能2号においては、配偶者や子どもを母国から招聘が可能であり、外国籍の配偶者や子どもが在留資格「家族滞在」を与えられて、日本に在留することが可能です。そして、配偶者の方は「資格外活動許可」を得ることで、週28時間以内という制限はあるものの、アルバイト等で生計を支えることも可能です。家族がいる外国籍の方にとっては、「日本で家族と過ごすことができる」点で、特定技能2号と特定技能1号の非常に大きな違いの1つと言えます。
| 特定技能1号 | 特定技能2号 | |
| 在留期間 | 上限5年(1年、6か月、または4か月ごとに更新が必要) | 上限なし(3年、1年、または6か月ごとに更新が必要) |
| 技能水準 | 自社の産業分野において、最低限の知識または経験が必要な業務をこなせる | 自社の産業分野において熟練した技能が必要な業務をこなせる |
| 日本語レベル | 日本語能力試験で確認要(技能実習2号の修了者は試験免除) | 日本語能力試験での確認不要 |
| 支援の有無 | 必要有り | 必要無し |
| 家族帯同 | 基本的に認められない (例えば、留学生 の妻や子どものように、すでに「家族滞在」の在留資格で本邦に在留して いる場合には、在留資格「特定活動」への変更が認められる場合があり) | 以下の要件を満たせば可能 ・婚姻関係をしっかりと証明できる者である ・呼び寄せる側に扶養できる経済力がある ・子どもの養育の計画が明確である |
| 職種 (詳細は下表に示す) | 16分野 | 11分野 |
特定技能1号の対象分野についてですが、2019年4月の制度開始時点では12分野となっていましたが、2024年から「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野が追加され計16分野となりました。特定技能2号は「建設」と「造船・舶用工業(溶接区分のみ)」の2分野のみでしたが、2023年に、以下の9分野が新たに追加され計11分野となりました。対象分野は以下の通りです。
| 特定技能1号(12→16分野) | 特定技能2号(11分野) |
| 介護 | (「介護」ビザへ移行) |
| 外食業 | 外食業 |
| 宿泊 | 宿泊 |
| 飲食料品製造業 | 飲食料品製造業 |
| 工業製品製造業( 旧名:素形材・産業機械・ 電気電子情報関連製造業) | 工業製品製造業( 旧名:素形材・産業機械・ 電気電子情報関連製造業) |
| 自動車整備 | 自動車整備 |
| 航空 | 航空 |
| 農業 | 農業 |
| ビルクリーニング | ビルクリーニング |
| 建設 | 建設 |
| 造船・船用工業 | 造船・船用工業 |
| 漁業 | 漁業 |
| 自動車運送業(追加スケジュール未確定) | ― |
| 鉄道(追加スケジュール未確定) | ― |
| 林業(追加スケジュール未確定) | ― |
| 木材産業(追加スケジュール未確定) | ― |
特定技能外国人の永住権取得
「永住許可」とは、その名の通り、日本に「永住」することが可能であり、就労制限がないため、就職や転職もしやすく、多くの外国籍労働者にとって憧れともいえる在留資格です。この「永住許可」を取得するには、「原則10年在留」という要件を満たす必要がありますが、以下のように定められています(永住許可に関するガイドライン(令和6年6月10日改訂))。
「原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。」
つまり、技能実習生や1号特定技能外国人は、永住許可を取得することはできませんでした。しかし、「特定技能2号は除外されておらず、就労資格に基づいた在留期間として認められる」こととなります。このことは、いずれ永住許可を取りたいと考えている外国籍の方にとっては、非常に重要な差異の1つと言えます。
特定技能1号の受け入れは、徐々に進んでいる状況です。特定技能2号の対象分野拡大によって、さらに外国人の採用活動が高まっていくことが期待されます。特定技能2号は、1号では認められていない家族帯同、永住許可の可能性、在留期間の無制限など、日本に滞在する条件が緩和されています。外国人の採用においては、特定技能1号から2号への移行を見据えて人材確保を計画することをおすすめします。
特定技能1号採用から2号・永住権取得までのロードマップ

| ステップ | 目的・実務内容 | 提出書類・入管指定様式 | 重要ポイント |
|---|---|---|---|
| STEP 1 採用・受入れ計画の立案 (1号雇用) | ・1号採用(試験合格者または実習修了者) ・雇用契約の締結と支援体制の整備 ・自治体への協力・連携手続き | ・特定技能雇用契約書(参考様式第1-5号) ・雇用条件書(参考様式第1-6号) ・1号支援計画書(参考様式第1-17号) ・地方自治体への協力確認書 | ・キャリアパスの提示:1号通算5年の上限を考慮し、2号移行を見据えた長期育成計画を提示する。 ・最新様式と共生施策:地域の共生施策を反映した最新様式で計画書を作成し、自治体へ確認書を提出する。 |
| STEP 2 1号での雇用管理・社内育成 (2号準備) | ・現場実務を通じた技能習熟 ・指導・管理業務(職長・班長等)の経験付与 ・2号評価試験等の受験指導 | ・3ヶ月に1回の定期面談 ・届出書類 ・公租公課(税・社会保険・年金)の納付領収書 ・証明書等 | ・実務経験の付与:2号変更には試験合格だけでなく、現場での「指導・監督経験(数年間)」が必須となるため計画的に担当させる。 ・納期限の厳守:公租公課の1日でも過ぎた支払遅延履歴は2号変更や永住審査で不許可リスクとなる。 |
| STEP 3 特定技能2号への変更申請 (2号移行) | ・2号評価試験合格 ・実務経験要件の充足確認 ・指導者としての待遇・給与改定 ・在留資格変更許可申請 | ・在留資格変更許可申請書(2号用最新様式) ・業務内容に関する誓約書(参考様式第1-32号) ・2号評価試験合格証 ・実務経験証明書 | ・業務内容の誓約義務化:1号や実習生と同じ単純現場作業ではなく、指導・管理業務に従事させる誓約書(第1-32号)の提出が必須。 ・支援義務の解除:1号の10項目支援計画や委託費用は不要となる。 |
| STEP 4 2号での定着支援・永住権取得 (長期定着) | ・2号外国人材の無期限就労 ・定着サポート ・家族(配偶者・子)の帯同 ・呼び寄せ手続き ・永住許可申請への接続 | ・在留期間更新許可申請書(2号用) ・家族帯同時の婚姻証明書 ・出生証明書等 ・永住許可申請関係書類 | ・家族帯同の実現:要件を満たせば配偶者や子の帯同が可能となり、日本での長期定着が容易になる。 ・在留期間5年の適用:2号の最長在留期間「5年」の付与により、永住許可の要件を満たしやすくなる。 |