特定技能制度|2025年4月からの変更点

出入国在留管理庁より、「出入国管理及び難民認定法施行規則の一部を改正する省令」が施行されることに伴い、特定技能の定期届出や随時届出、在留資格申請書類など、特定技能制度の運用が一部変更になることが発表されました。本記事では、2025年4月1日から適用される特定技能制度の主な変更点と、受け入れ企業が注意すべきポイントを分かりやすく解説します。

届出ルールの変更(定期届出の頻度削減と随時届出の拡充)

特定技能外国人を受け入れている機関は、入国管理局への各種届出が義務付けられています。2025年4月1日より、この届出のルールが大きく変わります

定期届出

これまで3ヶ月に1度行っていた定期届出の頻度が、年1回に変わります。

従来の届出頻度2025年4月1日からの届出頻度最初の提出時期届出書類
定期届出四半期に1回年に1回2026年4月~5月(2025年度分の報告)受入れ・活動・支援実施状況に係る届出(参考様式第3-6号)、別紙(予定)
2025年1月~3月分四半期に1回(従来通り)2025年4月15日まで受入れ状況に係る届出書、支援実施状況に係る届出書

<注意点>

◇ 2025年1月から3月までを対象期間とした最後の四半期ごとの定期届出は、2025年4月15日までに従来通り提出する必要があります。

◇ 新しいルールに基づく年1回の定期届出は、2026年4月以降に初めて提出することになります。

◇ 届出書類も一本化され、報告内容が一部変更となる予定です。事業所単位での作成となり、登録支援機関の署名に関する注意点も変更されています(詳細は出入国在留管理庁の資料をご確認ください)。

随時届出

必要なタイミングで行う随時届出については、報告対象となるケースが追加・変更されます。

届出内容2025年4月1日からの変更点参考様式
受入れ困難に係る届出◇ 就労開始の遅れ
在留資格許可後1ヶ月以上就労を開始しない場合に追加。
第3-4号
◇ 活動が1ヶ月以上できない場合
病気・怪我、事業都合などにより活動が1ヶ月以上できない場合に追加。
第3-4号
◇ 自己都合退職
・2025年4月以降は、自己都合退職のみの場合は受入れ困難の届出は不要。

・ただし、雇用契約終了の届出は引き続き必要。
第3-4号
特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準不適合に係る届出・届出対象が「出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為」があった場合から、「特定技能基準省令第2条第1項各号及び同条第2項各号に適合しない場合」に変更 。

・具体例として、税金や社会保険料の滞納、非自発的離職の発生などが挙げられています 。
第3-5号
1号特定技能外国人支援計画の実施困難に係る届出◇ 新規追加
・受け入れ企業が自社支援を行っている場合、支援計画に基づく支援の実施が困難になった場合に届出が必要。

・登録支援機関に全部委託している場合は、登録支援機関から同様の報告(参考様式第4-3号)が行われます。
第3-7号

<注意点>

◇ 随時届出の対象となるケースが増えているため、より注意深い管理が必要です。

◇ 特に、基準不適合に係る届出の範囲が拡大している点を認識しておく必要があります。

在留資格申請の書類提出ルールの変更

特定技能の在留資格申請時における書類提出のルールも変更されます。

新規受入れ時の手続きが簡略化

特定技能外国人を初めて受け入れる場合、これまで在留資格申請時に必要だった以下の書類の提出が原則不要となります。

◇ 登記事項証明書

◇ 納税証明書(労働保険料、社会保険料、国税、法人住民税)

◇ 雇用の経緯に係る説明書(参考様式第1-16号)

ただし、これらの書類は定期届出時に年1回提出することになります。

書類の省略が可能な条件

初めて特定技能外国人を受け入れる場合でも、以下の両方の条件を満たす受け入れ機関は、上記を含む一部の適格性に関する書類の提出が免除されます。

◇ 在留諸申請をオンライン申請で行い、各届出を電子届出で行うこと。

◇ 一定の事業規模のある機関等に該当すること。

一定の事業規模のある機関等の具体的な条件は以下の通りです。

・日本の証券取引所に上場している企業

・保険業を営む相互会社

・高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業(イノベーション創出企業)

・一定の条件を満たす企業等(詳細は出入国在留管理庁の資料をご確認ください)

・前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人

・特定技能所属機関として3年間の継続した受入れ実績を有し、過去3年間に債務超過となっていない法人

<注意点>

◇ 初めて受け入れる際の書類提出が簡略化されますが、適格性の確認は定期届出時に行われます。

◇ 書類の省略を受けるためには、オンライン申請と電子届出が必須となる点に注意が必要です。

申請書(省令様式)の変更と協力確認書の提出

在留資格申請書(所属機関等作成用)に「地域の共生施策に関する連携に係る項目」(項番32)が追加されます。

また、初めて特定技能外国人を受け入れる場合、在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請を行う前に、特定技能外国人が活動する事業所の所在地及び住居地が属する市区町村へ「協力確認書」を提出する必要があります。すでに特定技能外国人を受け入れている場合でも、2025年4月1日以降に初めて在留資格変更許可申請または在留期間更新許可申請を行う前に提出が必要です。

<注意点>

在留資格申請書の様式が変更されます。

◇ 新たに市区町村への「協力確認書」の提出が必要となるため、事前に手続きの流れを確認しておきましょう。協力確認書の様式や提出方法については、各地方公共団体の情報を確認してください。

特定技能外国人受入れに関するルールの変更

◇ 自治体との連携義務の追加
受け入れ機関は、外国人の活動地と住居地の自治体に対し、共生社会の実現に向けた施策に協力する義務が追加されます。協力確認書の提出もこの一環となります。

◇ 不正行為の範囲拡大
外国人の意思表示を妨げる行為(労働条件の不満を伝えづらくする、転職・退職を不当に制限する、相談窓口への報告を妨害するなど)が、新たな不正行為として追加されます。これらの不正行為が発覚した場合、所属機関や登録支援機関の許可取り消しの可能性もあります。

◇ 定期面談のオンライン対応
一定の条件(面談対象者の同意、録画・一定期間保管、年1回以上の対面面談、初回面談は対面推奨など)を満たせば、定期面談をオンラインで実施することが可能になります。

◇ 出入国する際の送迎
特定技能所属機関から委託を受けた登録支援機関が自らの車両を利用して送迎する場合、「生活支援サービスなどとの一体運送」であれば道路運送法違反には当たらないこととなります。

書類様式の変更

区分旧様式(例)新様式(例)備考
改正される様式参考様式第1-5号(特定技能雇用契約書参考様式第1-5号(改正)・内容に変更が加えられるもの。
参考様式第1-17号(1号特定技能外国人支援計画書参考様式第1-17号(改正)・内容に変更が加えられるもの。
・地方公共団体が実施する共生社会の実現のための施策を踏まえたものであることが要件として加わる。
・徴収費用の説明書(参考様式第1-9号)の内容が組み込まれる。
参考様式第3-1-2号(雇用契約の終了・締結届出書参考様式第3-1-2号(改正)内容に変更が加えられるもの。
参考様式第3-3-1号(支援委託契約の変更届出書参考様式第3-3-1号(改正)内容に変更が加えられるもの。
参考様式第3-3-2号(支援委託契約の終了・締結届出書参考様式第3-3-2号(改正)内容に変更が加えられるもの。
参考様式第3-4号(受入れ困難に係る届出書参考様式第3-4号(改正)・内容が変更され、在留資格許可から1か月以上就労を開始しない場合や、雇用後に1か月以上活動できない事情が生じた場合も届出対象となる。

・自己都合退職の場合は対象外となる。
参考様式第5-5号(定期面談報告書(1号特定技能外国人用))参考様式第5-5号(改正)・内容に変更が加えられるもの。

・オンラインでの実施が可能となる(一定の条件あり)。
参考様式第5-6号(定期面談報告書(監督者用))参考様式第5-6号(改正)・内容に変更が加えられるもの。

・オンラインでの実施が可能となる(一定の条件あり)。
新規作成される様式参考様式第5-14号(1ケ月以上の活動未実施期間が生じた際の状況説明書)新規作成
参考様式第5-15号(行方不明が判明した際の状況説明書)新規作成
参考様式第5-16号(基準適合性に係る誓約書特定産業分野に係る説明書新規作成
参考様式第5-17号(基準適合性及び特定産業分野に係る説明書新規作成
参考様式第5-18号(基準不適合に係る説明書(特定技能所属機関作成用))新規作成
参考様式第5-19号(基準不適合に係る説明書(登録支援機関作成用))・新規作成
・登録支援機関が受け入れ機関の基準不適合を把握した場合に報告することができるようになる。
廃止される様式参考様式第1-9号(徴収費用の説明書)廃止・内容が参考様式第1-17号に組み込まれるため。
参考様式第1-30号(電子届出システムに関する誓約書)廃止・提出書類省略のルール変更に伴い廃止。

<注意点>

◇ 2025年4月1日以降の申請・届出には、原則として新様式を使用する必要があります。

◇ 新様式はまだ公開されていないものもありますので、出入国在留管理庁のウェブサイトで最新情報を確認するようにしてください。

まとめ

2025年4月1日からの特定技能制度の変更は多岐にわたります。定期届出の頻度削減による事務負担の軽減が見込まれる一方で、随時届出の対象範囲の拡大新たな連携義務の追加など、受け入れ機関が対応すべき事項も増えています。特に、初めて特定技能外国人を受け入れる際には、協力確認書の提出が新たな必須手続きとなるため、注意が必要です。

また、書類のオンライン申請・電子届出の推奨や、不正行為に対する監視の強化など、制度全体の適正化に向けた動きが強まっています。受け入れ機関の皆様は、出入国在留管理庁の発表する最新情報を確認し、新制度にスムーズに対応できるよう準備を進めてください。

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