
日本国内の人手不足が深刻化する中、外国人材の活躍はますます重要になっています。その中でも「特定技能」は、一定の専門性・技能を有する外国人が就労できる在留資格として注目されています。本記事では、特定技能1号と2号の最新の職種、そしてそれぞれの具体的な仕事内容を解説します。
特定技能とは?1号と2号の違い
特定技能とは、人手不足が深刻な特定の産業分野において、即戦力となる外国人材の就労を認める在留資格です。2019年4月に創設され、現在では16分野が対象となっています。
特定技能には1号と2号の2種類があり、それぞれ求められる技能レベルや在留期間、家族帯同の可否などが異なります。
◇ 特定技能1号
相当程度の知識または経験を必要とする技能を有する外国人向けの在留資格です。在留期間は通算で上限5年までで、原則として家族の帯同は認められません。受け入れ企業または登録支援機関による支援の対象となります。
◇ 特定技能2号
熟練した技能を有する外国人向けの在留資格です。在留期間は3年、1年、または6ヶ月ごとの更新が可能(更新回数に上限なし)支援の対象外です。特定技能2号は、現場の作業員を指揮・命令・管理する能力が求められます。
特定技能の職種と仕事内容
分野 | 特定技能1号の主な仕事内容 | 特定技能2号の主な仕事内容 | 雇用形態 | 最新の動き |
介護 | ・身体介護(食事、入浴、排泄、着替えなど) ・生活援助(掃除、洗濯、調理など) | (対象外) | 直接雇用 | ・訪問系サービスへの従事が認められる予定 |
ビルクリーニング | ・建築物内部の清掃 | ・複数の作業員を指導しながら建築物内部の清掃に従事し、現場を管理する業務、および同業務の計画、進行管理、マネジメント | 直接雇用 | ・2023年に追加 |
工業製品製造業 | ・機械金属加工 ・電気電子機器組立て ・金属表面処理 ・溶接 ・塗装 ・工業包装など ・2024年3月には紙器/段ボール箱製造、コンクリート製品製造、RPF製造、陶磁器製品製造、印刷/製本、紡織製品製造、縫製が追加 | ・複数の技能者を指導しながら、製造工程の作業に従事し、工程を管理 | 直接雇用 | ・2023年に追加 ・2024年3月に業務区分が大幅に追加 ・受け入れ機関による民間団体への加入が義務付けられる予定 |
建設 | ・型枠施工 ・左官 ・コンクリート圧送 ・トンネル推進工 ・建設機械施工など | ・複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し、工程を管理 | 直接雇用 | ・2023年に追加 |
造船/舶用工業 | ・溶接 ・塗装 ・鉄工 ・仕上げ ・機械加工 ・電気機器組立て | ・全ての向きで溶接を行うことができ、自らの判断で適切な方法で溶接を行える。また、監督者として業務を遂行できる | 直接雇用 | ・2023年に追加 |
自動車整備 | ・自動車の日常点検整備 ・定期点検整備 ・特定整備 ・特定整備に付随する業務 | ・自動車整備分野に属する熟練した技能を要する業務 | 直接雇用 | ・2023年に追加 |
航空 | ・空港グランドハンドリング(地上走行支援業務 ・手荷物/貨物取扱業務等) ・航空機整備(機体、装備品等の整備業務等) | ・航空機の地上走行支援業務 ・手荷物・貨物取扱業務等 ・航空機の機体 ・装備品等の整備業務等 | 直接雇用 | ・2023年に追加 |
宿泊 | ・宿泊施設におけるフロント ・企画/広報 ・接客 ・レストランサービス等の提供 | ・複数の従業員を指導しながら、旅館やホテルにおけるフロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の宿泊サービスの提供、および店舗経営 | 直接雇用 | ・2023年に追加 ・風営法の許可を受けた旅館/ホテルにおける飲食提供全般に係る就労が認められる予定 |
農業 | ・耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別等) ・畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷/選別等) | ・栽培管理 ・農産物 ・飼養管理 ・畜産物の集出荷/選別等の農作業および当該業務に関する管理業務 | 直接雇用、派遣 | ・2023年に追加 |
漁業 | ・漁業(漁具の製作/補修、水産動植物の探索/採捕、漁獲物の処理/保蔵等) ・養殖業(養殖資材の製作/補修/管理、養殖水産動植物の育成管理/収穫/処理等) | ・漁具 ・養殖資材の製作/補修 ・漁具/漁労機械の操作 ・水産動植物の探索/採捕 ・漁獲物の処理/保蔵 ・安全衛生の確保 ・操業を指揮する者の補佐 ・作業員の指導および工程管理 | 直接雇用、派遣 | ・2023年に追加 |
飲食料品製造業 | ・飲食料品(酒類を除く)の製造/加工 ・安全衛生の確保 | ・飲食料品(酒類除く)の製造/加工および安全衛生の確保 ・並びにそれらの管理業務 | 直接雇用 | ・2023年に追加 |
外食業 | ・飲食物調理 ・接客 ・店舗管理 | ・外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)および店舗経営 | 直接雇用 | ・2023年に追加 |
自動車運送業 | ・トラック運転者 ・タクシー運転者 ・バス運転者 | (対象外) | 直接雇用 | ・2024年3月29日閣議決定により追加 ・運転免許取得期間は「特定活動」の在留資格が付与 ・運転者職場環境良好度認証制度に基づく認証取得等が要件 |
鉄道 | ・軌道整備 ・電気設備整備 ・車両整備 ・車両製造 ・運輸係員(駅係員、車掌、運転士) | (対象外) | 直接雇用 | ・2024年3月29日閣議決定により追加 |
林業 | ・育林 ・素材生産 ・林業用種苗の育成(育苗) ・原木生産を含む製炭作業 | (対象外) | 直接雇用 | ・2024年3月29日閣議決定により追加 ・林業技能測定試験の合格が必要 ・技能実習2号からの移行は現時点では関連性が規定されていないが、令和8年度までに規定予定 |
木材産業 | ・製材 ・合板製造 ・集成材製造 ・木材チップ製 ・木質燃料製造 | (対象外) | 直接雇用 | ・2024年3月29日閣議決定により追加 |
特定技能外国人を受け入れる際の注意点
特定技能外国人を受け入れる際には、以下の点に注意が必要です。
◇ 業務範囲
各分野で定められた業務内容以外に従事させることは不法就労となります。
◇ 賃金
日本人と同等以上の賃金を支払う必要があります。
◇ 支援体制(1号)
1号特定技能外国人に対しては、職業生活、日常生活、社会生活上の支援計画を作成し、適切に支援を行う義務があります。過去2年以内に外国人労働者の雇用経験がない場合は、登録支援機関への委託が必須です。
◇ 受け入れ機関の基準
受け入れ機関自体も、労働・社会保険・税に関する法令遵守など、一定の基準を満たす必要があります。
◇ 協議会への加入
分野によっては、受け入れ前に協議会への加入が義務付けられています。
まとめ
特定技能制度は、人手不足に悩む日本の産業界にとって、貴重な労働力確保の手段となっています。2024年には新たに4分野が追加され、より幅広い分野での外国人材の活躍が期待されます。
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