育成就労制度は、特定技能1号水準の技能を有する人材を育成するとともに、当該分野における人材を確保することを目的ととされており、技能実習制度と異なり母国への知識・技能の移行ではなく人材確保も主な目的・方針となっています。
「技能実習」と「育成就労」の概要と制度の違いをまとめると以下です。新制度「育成就労制度」では、外国人労働者の育成期間を原則として3年とし、一定の日本語能力試験と技能検定試験に合格するなどの条件を満たすことで1~2年目以降に受け入れ先の転籍が認められるとしています。
育成就労概要

技能実習制度は廃止され、2027年におおむね育成就労制度へと移行する予定です。
育成就労制度は、外国人労働者の権利保護を強化し、日本国内の人材不足を解消することを目的としています。企業は、制度変更に対応し、外国人材の育成と定着に向けた取り組みを強化する必要があります。
「技能実習制度」と「育成就労制度」の違い
| 項目 | 技能実習 | 育成就労 |
| 制度の目的 | 国際貢献(他国への技術移転) | ・特定技能1号に移行できる人材育成 ・産業分野での人材確保 |
| 在留期間 | 最長5年 | 最長3年 |
| 職種 | 91職種・167作業 ・農業・林業関係(3職種7作業) ・漁業関係(2職種10作業) ・建設関係(22職種33作業) ・食品製造関係(11職種19作業) ・繊維・衣服関係(13職種22作業) ・機械・金属関係(17職種34作業) ・その他(21職種38作業) ・主務大臣が告示で定める職種及び作業(2職種4作業) | 特定技能と同一予定(16分野) ①介護 ②ビルクリーニング ③素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 ④建設 ⑤造船・舶用工業 ⑥自動車整備 ⑦航空 ⑧宿泊 ⑨農業 ⑩漁業 ⑪飲食料品製造業 ⑫外食業 ⑬自動車運送業 ⑭鉄道 ⑮林業 ⑯木材産業 ※特定技能1号は16分野で受入れ可能。 ※特定技能2号は②~⑫の11分野において受け入れ可能。 |
| 日本語能力 | なし(介護はN4) | 原則A1(N5等)(分野により上乗せ可能)or 相当講習 |
| 人材育成の内容 | 1号の修了時:技能検定基礎級 2号の修了時:技能検定随時三級 | 1年目の終了時:A1(N5等)、技能検定基礎級等 3年目の終了時:A2(N4等)、技能検定随時三級等 |
| 転籍 | 原則不可 | 以下の、2つの方式による転籍が可能 ①やむを得ない事情がある場合 ②・同一業種であり ・分野で定められた期間就労しており ・技能、日本語の水準が満たされており ・転籍先が適正な場合 |
| 産業分野の人数枠 | なし | あり |
| 受入機関の人数枠 | あり | あり |
| 監督機関 | 外国人技能実習機構 | 外国人育成就労機構 |
| 監理団体 | 監理団体 | 監理支援機関 |
育成就労制度では、本人の意向による転籍も可能になりますが、一定の要件を満たす必要があります。
育成就労制度では、監理支援機関の役割が強化され、外部監査の義務付けなど、監理体制が厳格化されます。
技能実習からの抜本的転換における6つの重要ポイント
① 制度目的の転換(「国際貢献」から「人材確保・育成」へ)
従来の技能実習制度は、発展途上国等への技術移転による「国際貢献」を建前として制定されていました。しかし、実態としては日本国内の人手不足を補う労働力として活用されており、目的と運用の乖離が指摘されてきました。 育成就労制度ではこの建前を排し、「特定技能1号水準の人材の育成」および「人手不足分野における人材の確保」を正式な目的として法律上明記しました。
② キャリアパスの統一(「育成就労3年 → 特定技能」への一本化)
技能実習制度は原則帰国が前提であり、長期定着を想定していませんでした。 新制度では、原則3年間の育成就労期間を通じて特定技能1号レベルの技能を修得させ、修了後は「特定技能1号(通算5年)」、さらに熟練した「特定技能2号(在留制限なし)」へとステップアップできる明確なキャリアパスが構築されます。
③ 本人意向による「転籍(転職)」の解禁と条件
技能実習生は原則として転籍(受け入れ企業の変更)が認められておらず、失踪や人権侵害などの課題を引き起こす要因となっていました。 育成就労制度では、外国人労働者の権利保護の観点から、以下の要件を満たす場合に同一業務区分内での本人意向による転籍が認められます。
◇ 同一機関での一定期間(分野ごとに1年〜2年)の就労経過
◇ 技能検定試験基礎級(等)および日本語能力A1〜A2相当試験の合格
◇ 転籍先が育成就労計画の認定を受け、適正基準を満たしていること また、ハラスメントや契約内容と実態の相違など「やむを得ない事情による転籍」の範囲も拡大・明確化されます。
④ 就労前および段階的な「日本語能力要件」の導入
技能実習制度では(介護等を除き)入国・就労前の日本語要件がありませんでした。 育成就労制度では、円滑な育成と保護のため、段階的な日本語要件が設定されます。
◇ 就労開始前
日本語能力A1相当(JLPT N5等)の合格、または認定日本語教育機関等での相当講習受講
◇ 1年経過時
分野ごとに設定される技能試験および日本語能力試験(A1〜A2相当)の受験・評価
◇ 育成就労終了時(特定技能1号移行時)
日本語能力A2相当(JLPT N4等)の試験合格
⑤ 特定技能1号への移行における「試験免除の廃止」
現行の技能実習制度では、技能実習2号を良好に修了した場合は技能試験・日本語試験が免除されて特定技能1号へ移行可能でした。 育成就労制度ではこの試験免除措置が廃止され、育成就労修了者が特定技能1号へ移行するためには、原則として技能試験(技能検定3級等または特定技能1号評価試験)と日本語試験(A2相当/N4等)の両方に合格することが必須条件となります。 なお、修了時点で試験に不合格となった場合でも、同一の受け入れ機関での再受験を条件に最長1年間の在留継続(延長)が認められる救済措置が用意されています。
⑥ 監理・支援体制の厳格化(「監理支援機関」への改編)
実習実施者を指導・監理する「監理団体」は「監理支援機関」へと刷新され、許可基準の厳格化や外部監査人の設置要件などが導入されます。また、前職要件や帰国後の復職義務は撤廃されます。
ご参考:技能実習(育成就労)の説明動画
ビザ申請の概要や注意点を動画でわかりやすくご紹介します。
・Explanation of 「Training and Employment System」
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