
日本で就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)を持って働く外国人が、日本人と結婚した場合、配偶者ビザ(正式名称:在留資格「日本人の配偶者等」)への変更が可能です。
配偶者ビザとは
「配偶者」とは、法的に認められた婚姻関係にあるパートナーを指します。内縁の夫や妻は含まれません。配偶者ビザは、日本で就労する外国人が日本人と結婚した際に変更できる在留資格です。
配偶者ビザのメリット
配偶者ビザに変更すると、以下のようなメリットがあります。
◇就労制限がない
職種や就労時間に制限なく、自由に働くことができます。学歴やキャリアに関係のない仕事にも就けます。
◇退職や離職が可能になる
就労ビザの場合、仕事を辞めると在留資格を失う可能性がありますが、配偶者ビザにはそのような制限はありません。
◇永住権・帰化申請がしやすい
就労ビザと比較して、永住権や帰化の要件が緩和されます。例えば、永住権の申請に必要な居住年数が短縮されます。
◇多様なライフスタイル
仕事を辞めて専業主婦(夫)になったり、育児に専念することも可能です。起業やパート・アルバイトなど、多様な働き方ができます。
配偶者ビザ取得の要件
配偶者ビザを取得するには、以下の要件を満たす必要があります。
1.法律的な婚姻関係
日本と外国の両方で法律上の結婚が成立している必要があります。
2.真実の結婚
偽装結婚ではなく、真実の結婚であることが求められます。
3.同居
原則として、夫婦が同居していることが必要です。
4.経済力
日本で安定して生活できる経済力が必要です。目安として月収20万円以上、年収300万円以上が求められますが、居住地の平均年収にも左右されます。
5.素行
申請者および配偶者の素行が善良である必要があります。
6.納税義務等
納税義務を履行していることが求められます。
7.入管法上の義務
入管法に定める届出等の義務を履行していることが必要です。
必要な書類
就労ビザから配偶者ビザへの変更に必要な書類は、以下の通りです。
•在留資格変更許可申請書
•写真(指定サイズ)
•日本人配偶者の戸籍謄本(婚姻の記載があるもの)
•外国人配偶者の国籍国の結婚証明書
•日本人配偶者の住民税の課税(または非課税)証明書と納税証明書
•身元保証書
•質問書
•夫婦間の交流を示すスナップ写真
•外国人配偶者のパスポートと在留カード
状況によって、追加書類が必要になる場合があります。例えば、年齢差が大きい場合や交際期間が短い場合は、交際を証明する写真やSNSのやり取りの記録などが求められることがあります。
変更申請の流れ
1.必要書類の準備
上記の書類を揃えます。
2.入国管理局へ申請
申請者本人が、住居地を管轄する地方出入国在留管理局へ申請します。
3.審査
入国管理局で審査が行われます。
4.結果の通知
審査後、許可または不許可の結果が通知されます。
5.在留カードの受け取り
許可された場合、手数料を納付し、新しい在留カードを受け取ります。
審査期間
就労ビザから配偶者ビザへの変更の審査期間は、1~3ヶ月が目安です。ただし、書類に不備があったり、審査が混み合っている場合は、さらに時間がかかることがあります。2024年現在、入国管理局の人手不足により審査期間が長期化する傾向があります。
変更申請の注意点
◇真実の結婚を立証
交際期間が短い場合や年齢差が大きい場合、偽装結婚を疑われる可能性があるため、出会いから結婚に至るまでの経緯を詳細に説明する必要があります。質問書の内容は非常に重要です。
◇経済力の証明
安定した収入があることを証明するために、課税証明書や納税証明書などを準備しましょう。収入が少ない場合は、預貯金や親族からの援助などで補うことができる場合があります。
◇同居
夫婦が同居していることを証明するために、住民票や公共料金の請求書などを提出しましょう。
◇不法就労
過去に不法就労をしていた場合、審査に影響が出る可能性があります。
◇届け出
転居や勤務先の変更があった場合、速やかに入国管理局に届け出ましょう。
◇離婚歴
日本人の配偶者側に過去外国人との離婚歴が複数ある場合や、その逆のパターンも審査が厳しくなる可能性があります。
◇質問書
質問書の内容は非常に大切なので、正確な情報を記入するようにしてください。
就労ビザや家族滞在ビザとの違い
◇就労ビザ
就労ビザは、特定の職種に限定された就労が認められる在留資格です。
◇家族滞在ビザ
家族滞在ビザは、就労ビザを持つ外国人の扶養家族が取得できる在留資格で、就労時間に制限があります(週28時間以内)。
◇配偶者ビザ
配偶者ビザは、就労制限がなく、自由に働くことができます。
技能実習生からの変更
技能実習生が日本人と結婚した場合、原則として、技能実習の目的から、配偶者ビザへの変更は難しいとされています。しかし、所属企業や管理団体の承諾を得ている場合や、妊娠などの特別な事情がある場合には、変更が許可される可能性もあります。
変更しない方が良い場合
高度専門職ビザを持っている場合、配偶者ビザに変更しない方が有利な場合があります。高度専門職ビザは、在留期間が長く、永住権の要件が緩和されるなどのメリットがあります。
具体例
Aさん(技術・人文知識・国際業務ビザ)
日本企業でエンジニアとして働いていたが、日本人女性と結婚。配偶者ビザに変更し、転職してWebデザイナーとして働く。
【注意点】
転職によって職種が変わる場合、その経緯を明確に説明する必要があります。
Bさん(家族滞在ビザ)
夫の就労ビザで日本に滞在していたが、日本人男性と結婚。配偶者ビザに変更し、フルタイムで働く。
【注意点】
家族滞在ビザから配偶者ビザへの変更は必須とされています。
Cさん(技能実習ビザ)
日本人女性と結婚したが、技能実習期間が終了したため、一度帰国し、配偶者ビザを申請して再入国。
【注意点】
技能実習生の場合、配偶者ビザへの変更は原則として難しいため、慎重な準備が必要です。
Dさん(高度専門職ビザ)
日本で研究者として働いていたが、日本人女性と結婚。配偶者ビザに変更せず、高度専門職ビザを維持し、永住権の要件緩和のメリットを活かす。
【注意点】
高度専門職ビザのメリットと配偶者ビザのメリットを比較検討し、どちらが有利か判断する必要があります。
まとめ
就労ビザから配偶者ビザへの変更は、要件を満たせば比較的スムーズに行うことができます。本記事を参考に、必要な書類を揃え、入国管理局で手続きを行いましょう。
名古屋のOSAHIRO行政書士事務所(ビザ申請)では、「就労ビザ(技人国)」「特定技能」「高度専門職」「経営管理」「帰化申請」などの国際業務を中心にご相談を承っております。ご不明なことがありましたら、お問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください(初回面談は無料です)。