特定技能1号・2号の違いを踏まえた外国人採用の進め方

特定技能とは、人手不足解消のために専門的な技術を持った外国人を受け入れていく制度であり、1号と2号の2種類に分けられます。まずは特定技能1号でスタートし、一定の要件を満たし、特定技能2号に移行できれば在留期間制限なく日本で働くことができます。そのため、特定技能が永住権取得のルートとしても注目を集めています。

特定技能1号と2号の違いを、下表にまとめました。

特定技能1号特定技能2号
在留期間上限5年(1年、6か月、または4か月ごとに更新が必要)上限なし(3年、1年、または6か月ごとに更新が必要)
技能水準自社の産業分野において、最低限の知識または経験が必要な業務をこなせる自社の産業分野において熟練した技能が必要な業務をこなせる
日本語レベル日本語能力試験で確認 (技能実習2号の修了者は試験免除)日本語能力試験での確認不要
支援の有無必要有り必要無し
家族帯同基本的に認められない
(例えば、留学生 の妻や子どものように、すでに「家族滞在」の在留資格で本邦に在留して いる場合には、在留資格「特定活動」への変更が認められる場合があり)
以下の要件を満たせば可能
・婚姻関係をしっかりと証明できる者である
・呼び寄せる側に扶養できる経済力がある
・子どもの養育の計画が明確である
職種
(詳細は下表に示す)
16分野11分野

特定技能1号の対象分野についてですが、2019年4月の制度開始時点では12分野となっていましたが、2024年から4分野が追加され計16分野となりました。対象分野は以下の通りです。

特定技能1号(12→16分野)特定技能2号(11分野)
介護(「介護」ビザへ移行)
外食業外食業
宿泊宿泊
飲食料品製造業飲食料品製造業
工業製品製造業( 旧名:素形材・産業機械・ 電気電子情報関連製造業)工業製品製造業( 旧名:素形材・産業機械・ 電気電子情報関連製造業)
自動車整備自動車整備
航空航空
農業農業
ビルクリーニングビルクリーニング
建設建設
造船・船用工業造船・船用工業
漁業漁業
自動車運送業(追加スケジュール未確定)
鉄道(追加スケジュール未確定)
林業(追加スケジュール未確定)
木材産業(追加スケジュール未確定)

特定技能2号においては、配偶者や子どもを母国から招聘が可能であり、外国籍の配偶者や子どもが在留資格「家族滞在」を与えられて、日本に在留することが可能です。そして、配偶者の方は「資格外活動許可」を得ることで、週28時間以内という制限はあるものの、アルバイト等で生計を支えることも可能です。家族がいる外国籍の方にとっては、「日本で家族と過ごすことができる」点で、特定技能2号と特定技能1号の非常に大きな違いの1つと言えます。

「永住許可」とは、その名の通り、日本に「永住」することが可能であり、就労制限がないため、就職や転職もしやすく、多くの外国籍労働者にとって憧れともいえる在留資格です。この「永住許可」を取得するには、「原則10年在留」という要件を満たす必要がありますが、以下のように定められています(永住許可に関するガイドライン(令和6年6月10日改訂))。

「原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。」

つまり、技能実習生1号特定技能外国人は、永住許可を取得することはできませんでした。しかし、「特定技能2号は除外されておらず、就労資格に基づいた在留期間として認められる」こととなります。このことは、いずれ永住許可を取りたいと考えている外国籍の方にとっては、非常に重要な差異の1つと言えます。

特定技能1号の受け入れは、徐々に進んでいる状況です。特定技能2号の対象分野拡大によって、さらに外国人の採用活動が高まっていくことが期待されます。特定技能2号は、1号では認められていない家族帯同、永住許可の可能性、在留期間の無制限など、日本に滞在する条件が緩和されています。外国人の採用においては、特定技能1号から2号への移行を見据えて人材確保を計画することをおすすめします。

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