2027年4月から始まる育成就労制度について、特定技能への移行要件、必要な試験、手続きの流れ、受入れ企業が確認しておきたいポイントをわかりやすく解説します。
技能実習制度・育成就労制度・特定技能制度の比較

まずは、従来の技能実習制度、新設される育成就労制度、そしてゴールとなる特定技能制度の違いを整理します。
| 技能実習制度(従来) | 育成就労制度(新制度) | 特定技能1号 | |
|---|---|---|---|
| 主たる目的 | 国際貢献(技能移転) | 人材育成および人材確保 | 人材確保(即戦力の確保) |
| 在留期間 | 最長5年(1号〜3号) | 原則3年 | 通算最長5年 |
| 特定技能1号への移行 | 2号良好修了者は試験免除 | 技能・日本語試験の合格が必須 | – |
| 本人意向の転籍 | 原則不可 | 一定要件のもと可能(1〜2年の制限) | 同一分野内で可能 |
| 就労前日本語要件 | 原則なし(介護等除く) | N5(A1相当)以上の合格または講習受講 | N4(A2相当)以上 |
| 受入れ対象分野 | 90職種・165作業等 | 17分野(特定技能に原則一致) | 19分野(2026年追加分含む) |
特定技能1号への移行条件
育成就労制度の施行後、「技能実習から特定技能1号への移行」は、申請者がどの制度で入国したかによって適用されるルートが異なります。
【従来の移行ルート】技能実習からの移行(経過措置)

2027年4月1日の新制度スタートを控える現在、技能実習生を受け入れている企業は、以下の経過措置(移行スケジュール)を正確に把握しておく必要があります。
◇ 既存の技能実習生は「技能実習」のまま継続可能
施行日(2027年4月1日)より前に認定された実習計画に基づき就労している技能実習生は、施行後も引き続き「技能実習」の在留資格のまま実習を継続できますす。
◇ 途中での育成就労への変更は不可
技能実習として在留している途中で、育成就労制度へ在留資格を直接切り替える(編入する)ことは認められていません。
◇ 技能実習3号への移行制限
新制度開始後に実習2号から3号へ移行するには、2027年4月1日時点で「技能実習2号の活動を1年以上行っていること」が必要です。
そのため、遅くとも2026年4月1日までに2号実習を開始していない場合は、今後3号への移行はできなくなります。
【新たな移行ルート】育成就労からの移行

育成就労を経て特定技能1号へ移行する場合は、従来の「試験免除措置」が廃止され、原則として以下3つの要件をすべてクリアする必要があります。また分野ごとに固有の要件をクリアする必要があり留意が必要です。
◇ 3年間の良好な修了
計画に基づいた実務経験と教育訓練の適切な完了。
◇ 技能試験合格
無試験移行が廃止され、相当程度の知識・経験を評価試験等で確認。
◇ 日本語試験合格
日常生活に支障がないN4以上を基本とし、現場での円滑な実務や将来の活躍を見据え、N3相当の習得を目標としています。
【分野別の主な追加要件】
◇ 介護
「介護日本語評価試験」合格。訪問介護には初任者研修修了と実務1年(N2で緩和)が必須。
◇ 建設
本人と受入企業の「建設キャリアアップシステム(CCUS)」への登録。
◇ 運送
日本の運転免許。バス・タクシーは「新任運転者研修」修了も必須。
◇ 鉄道
「運輸係員(駅員等)」は通常より高い日本語N3以上が必須。
◇ 農業・食品
受入側の雇用実績や、キャリアアップ計画の作成・説明が義務付けられます。
【救済措置】
もし3年の期間終了時にこれらの試験に不合格となった場合、同一の受入れ機関での就労を継続する場合に限り、再受験のために最長1年間の在留継続(特定活動等)が認められます。
特定技能1号移行に向けた実務フロー

特定技能1号への移行実務フロー
在留資格を「特定技能1号」へと変更申請する際の流れは、国内在留者からの切り替え手続き(在留資格変更許可申請)となります。
育成就労からの移行は、技能実習2号良好修了者に認められていた「無試験移行(日本語・技能免除)」が原則廃止されます。
育成就労から特定技能への移行には、技能評価試験と日本語試験(原則N4以上、N3目標)の合格が必要です。企業は「人材確保と育成」の目的を理解し、長期定着を見据えた一貫したキャリアパスを提示した上で、日本語や技能習得を継続的に支援する体制と構えが求められます。
| 【従来の移行ルート】 技能実習からの移行 (経過措置) | 【新たな移行ルート】 育成就労からの移行 (新制度) | |
|---|---|---|
| 準備開始 (在留期限の約4〜6ヶ月前) | 【要件】 ・実習2号(または3号)を良好に修了(2年10ヶ月以上)していること ・移行先分野と実習職種に職務上の関連性(一致しない場合は技能試験が必要) 【必要書類】 ・雇用契約書、1号支援計画書、健診個人票 ・良好に修了したことを証明する書類(修了証、評価調書など) 【留意点】 ・住民税や所得税、年金などの公租公課に未納や遅滞がないか要確認 | 【要件】 ・原則3年間の育成計画満了、または「一定期間」就労後の途中移行 ・技能試験(技能検定3級等)に合格 ・日本語試験(JLPT N4等)に合格 【必要書類】 ・雇用契約書、1号支援計画書、健診個人票 ・技能試験および日本語試験の合格証書 【留意点】 ・途中移行に伴う「他社・他分野への転籍可否」は、分野外への流出防止のため、「同一業務区分内(職種内)に限定」される規制が適用される可能性が極めて高い。 |
| 申請実施 (在留期限の約3~5ヶ月前) | 【実務】 ・管轄の地方出入国在留管理局へ変更申請を提出 【救済措置】 ・書類準備が遅れる場合は就労可能な「特定活動(4〜6ヶ月)」の特例を申請可能 | 【実務】 ・左記同様に変更申請を提出 【救済措置】 ・万一の不合格時、同一企業での就労を条件に再受験用の「特定活動等(最長1年)」で在留継続可能 |
| 審査期間 (約2〜3ヶ月) | 【状況】 ・入管による審査。在留期限を迎えても審査中は特例で適法に日本滞在可能。 | 【状況】 ・左記同様。ただし育成就労生は、不合格を避けるため2年目終了時等からの計画的受験が強く推奨される。 |
| 許可・就労 (変更許可後) | 新たな在留カードを受領し、特定技能外国人として就労開始。 | 左記同様。移行後は同一分野内での転職が完全に自由となるため、職場・居住環境の整備といった定着支援が必須。 |
登録支援機関
登録支援機関とは
受入企業(特定技能所属機関)に代わり、法令で定められた「10項目の義務的支援計画(事前ガイダンス、送迎、住居確保、生活オリエンテーション、相談対応等)」の全部の実施を委託できる、出入国在留管理庁長官の登録を受けた専門機関です。
関与する支援機関の役割比較
| 監理団体/監理支援機関 (実習・育成就労時) | 登録支援機関 (特定技能移行後) | |
|---|---|---|
| 主な役割 | 受入企業への監査・指導、外国人本人の保護・転籍あっせん等 | 10項目の義務的支援計画(日常生活・職場支援)の適正な実施 |
| 企業との関係 | 第三者的な「指導・監督」権限を持つ立場 | 支援業務のアウトソーシング(外部委託)を受ける対等なパートナー |
| 認可・監督 | 主務大臣による「許可制」(新制度で許可要件厳格化) | 出入国在留管理庁長官による「登録制」(5年ごとの更新が必要) |
| 費用負担 | 企業負担(監理費等) | 企業負担(支援委託費。外国人に負担させることは厳禁) |
移行時における実務上の考え方
経過措置(技能実習から)
実習時の「監理団体」が「登録支援機関」を兼ねている場合は、本人の適性や性格を熟知しているため、そのまま特定技能の支援も委託するのが最もスムーズです。兼ねていない場合は、移行に合わせて新規で別の支援機関を選定する必要があります。
新制度(育成就労から)
「監理支援機関」が「登録支援機関」を兼ねている場合、育成就労から特定技能まで最長8年間の同一窓口による一貫支援が可能です。外国人には強い安心感を与えて他社への流出(転籍)を防ぎ、企業にとっては移行手続きの負担軽減に加え、育成就労時からの確実な公租公課(税金等)の指導管理によって、未納等に伴う「特定技能への変更申請不許可リスク」を防止できる大きなメリットがあります。
最新法令に基づく留意点
育成就労制度の施行に伴い、登録支援機関も「職員配置要件の厳格化」や「委託費・支援実績の開示義務化」などの適正化(厳格化)が進められます。自社で受け入れる外国人のキャリア支援・生活サポートを適切に行える、優良な支援機関を見極めて選定することが求められます。
企業側が備えるべき重要留意点

本人意向の転籍(転職)リスクと定着支援
これまでの技能実習は原則転籍不可でしたが、育成就労制度では一定条件(1〜2年の就労、日本語A1・技能基礎級以上の取得など)を満たせば本人意向による同一業務区分内の転籍が認められます。
特定技能へ移行した後はさらに転職の自由度が高まるため、企業には以下のような「選ばれるための環境整備」が求められます。
◇ 技能実習・育成就労時から、特定技能へステップアップした際のキャリアパスと給与シミュレーションをあらかじめ提示し、長期的に働くメリットを明文化すること。
◇ Wi-Fi環境などの良好な居住環境の整備や、日本語学習費用の負担など、精神面・生活面の手厚いサポートを行うこと。
納税や届出など法的義務の厳格な遵守
特定技能への移行審査において、外国人本人が技能実習生・育成就労生であった期間に税金や住民税、年金などの納税義務、また必要な諸届け出を適切に遵守していたかが非常に厳しくチェックされます。 未納や遅滞があると審査で大きく不利になるため、企業側は事前に本人の納税状況を確認し、未納等があれば申請前に必ず完納させるよう指導してください。
書類準備の遅れには「特定活動」の特例措置を活用
万が一、在留期間の満了日までに特定技能1号への移行書類が揃わないなどの合理的な理由がある場合、同一企業で同等以上の報酬を得て就労を継続しながら移行準備ができる「特定活動(4か月または6か月・就労可)」への在留資格変更の特例措置を申請することが可能です。 ただし、この特例期間も特定技能の通算5年間にカウントされる点や、外国人への日常生活支援義務が継続する点に注意してください。
まとめ
2027年4月に育成就労制度が開始されることで、外国人受け入れは「安価な労働力の調整」ではなく、「中長期的に育成して戦力化する」時代へと変わります。
試験免除の廃止は外国人本人にとって試験対策の負担を意味しますが、企業側にとっても、業務経験と日本語教育を両立できる計画的なサポート体制を早い段階から整えることが、これからの人材確保を左右する大きな分岐点となります。
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ご参考:ビザ申請のポイント
特定技能ビザは、外国人が日本で即戦力として働ける制度です。試験合格や職種適合など厳格な条件があり、申請ミスや不備があると不許可のリスクもあります。正確な手続きが成功のカギです! ビザ申請の概要や注意点をわかりやすくご紹介します。
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