
2023年4月より導入された特別高度人材制度(J-Skip)は、日本で活躍を希望する高度な専門知識や技術を持つ外国人にとって、より魅力的な在留資格です。これまでの高度専門職制度を拡充し、より簡便な手続きと手厚い優遇措置を提供することで、日本の経済成長と国際競争力の強化を目指しています。本記事では特別高度人材制度(J-Skip)について、高度専門職1号・2号との違いをわかりやすく解説します。
特別高度人材制度(J-Skip)の詳細
制度の背景と目的
日本は、世界的に優秀な人材の獲得競争が激化する中、経済成長とイノベーション創出のため、高度な専門知識や技術を持つ外国人の積極的な受け入れを目指しています。その一環として、2015年に創設された高度専門職制度をさらに発展させ、より迅速かつ柔軟に特に優れた人材を受け入れるための制度として、特別高度人材制度(J-Skip)が創設されました。
対象となる人材
特別高度人材(J-Skip)の対象となるのは、以下のいずれかの要件を満たす外国人です。
【高度学術研究活動、高度専門・技術活動に従事する方】
◇ 修士号以上の学位を取得し、かつ年収2,000万円以上であること。
◇ 従事しようとする業務等に係る実務経験が10年以上あり、かつ年収2,000万円以上であること。
【高度経営・管理活動に従事する方】
◇ 事業の経営または管理に係る実務経験が5年以上あり、かつ年収4,000万円以上であること。
これらの要件は、従来の高度専門職におけるポイント制とは異なり、明確な基準で判断されるため、より迅速な資格取得が可能になります。
特別高度人材(J-Skip)となるメリット
特別高度人材として認められると、通常の高度専門職1号が受けられる優遇措置に加え、さらに以下のような拡充された優遇措置を受けることができます。
◇ 家事使用人の雇用
世帯年収が3,000万円以上の場合、2名までの外国人家事使用人を雇用できます。この際、従来の高度専門職で求められていたような、13歳未満の子がいるなどの家庭事情要件や、入国前から1年以上雇用している必要はありません。
◇ 配偶者の就労
配偶者は、「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「興行」の在留資格で行える活動に加え、「教授」「芸術」「宗教」「報道」「技能」の在留資格で行える活動についても、経歴等の要件を満たさなくても、週28時間を超えて就労できます。これは、高度外国人材の配偶者にとって、より自由に日本で働く機会が広がる大きなメリットです。
◇ プライオリティレーンの利用
出入国時に、大規模空港などに設置されているプライオリティレーンを利用できます。これにより、入国・出国手続きがスムーズに行えます。
◇ 高度専門職2号への早期移行
通常、高度専門職1号から2号への移行には3年以上の活動が必要ですが、特別高度人材の場合は1年間の活動で高度専門職2号への移行が可能です。高度専門職2号になると、在留期間が無期限となり、ほぼ全ての就労資格の活動が行えるようになります。
◇ 永住許可の早期取得
特別高度人材として活動した場合、最短1年で永住許可申請が可能となります。
具体例
◇ 研究者
海外の著名な大学で博士号を取得し、年収2500万円の研究プロジェクトリーダーが、日本の大学で研究活動を行う場合。
◇ ITエンジニア
海外のIT企業で12年の実務経験があり、年収2200万円のAIエンジニアが、日本の企業で新技術開発を行う場合。
◇ 経営者
海外でグローバル展開する企業を7年間経営し、年収5000万円の経営者が、日本に子会社を設立し経営を行う場合。
◇ 配偶者
上記のような特別高度人材の配偶者が、自身の専門分野(例:音楽、デザインなど)で、経歴に関わらず日本で自由に就労する場合。
◇ 家事使用人
世帯年収3500万円の特別高度人材が、長年雇用している外国人家事使用人2名と共に来日し、引き続き雇用する場合。
特別高度人材制度(J-Skip)の注意点
◇ 日本国内での活動拠点の必要性
特別高度人材制度は、日本で就労または事業経営を行うための在留資格であるため、原則として日本国内に契約機関(雇用主)または活動機関(経営する会社など)が必要です。海外在住の方が直接この資格を申請することは難しい場合があります。
◇ 年収要件
申請に必要な年収は、日本国内で支払われる予定の年収である必要があります。
◇ 転職時の手続き
特別高度人材として在留中に転職した場合、在留資格変更許可申請が必要になります。 単なる在留期間更新ではないため注意が必要です。また、転職後の年収が特別高度人材の要件を満たさなくなった場合、資格を維持できない可能性があります。
◇ 最新情報の確認
制度の内容は変更される可能性がありますので、申請前には必ず出入国在留管理庁のウェブサイト等で最新情報を確認するようにしてください。
比較表
高度専門職1号 | 高度専門職2号 | 特別高度人材制度(J-Skip) | |
概要 | ・高度な専門知識・技術を持つ外国人向けの在留資格。 ・学歴、職歴、年収、資格、日本語能力などをポイント化し、70点以上で認定。 | ・高度専門職1号として一定期間(通常3年以上、特別高度人材は1年以上)活動した後に移行できる在留資格。 ・高度専門職1号の活動に加え、ほぼ全ての就労資格の活動が可能となり、在留期間が無期限となる。 | ・高度専門職1号の取得を簡略化し、優遇措置を拡充した制度。 ・ポイント制ではなく、学歴・職歴と年収が一定水準以上であれば高度専門職1号の在留資格が付与される。 |
主な取得要件 | 【高度学術研究・専門技術】 修士号以上または実務経験5年以上+年収 【高度経営・管理】 実務経験5年以上+年収 ※ポイント制で70点以上 | ・高度専門職1号として1年以上活動し、引き続き高度な専門能力を持つと認められること。 | 【高度学術研究・専門技術】修士号以上かつ年収2000万円以上、または実務経験10年以上かつ年収2000万円以上。 【高度経営・管理】 事業の経営・管理に係る実務経験5年以上かつ年収4000万円以上。 |
在留期間 | 5年 | 無期限 | 最初は高度専門職1号と同じく5年 |
永住許可要件 | ・通常10年在留後 ・3年在留後 | ・1年在留後 | ・1年在留後 |
配偶者の就労 | 学歴や職歴などの要件を満たしていなくても、以下の在留資格に該当する活動を行うことが可能です。 ⇒「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「興行」 | 高度専門職1号で認められる活動に加え、「教授」「芸術」「宗教」「報道」「技能」についても、経歴等の要件を満たさなくても週28時間を超えて就労可能。 | 高度専門職1号で認められる活動に加え、「教授」「芸術」「宗教」「報道」「技能」についても、経歴等の要件を満たさなくても週28時間を超えて就労可能。 |
親の帯同 | ・一定の条件(世帯年収800万円以上、同居、7歳未満の子の養育など)を満たせば可能。 | ・高度専門職1号に準ずる。 | ・高度専門職1号に準ずる。 |
家事使用人の雇用 | ・一定の条件(世帯年収1000万円以上、1名まで、入国帯同型または家庭事情型)を満たせば可能。 | ・高度専門職1号に準ずる。 | 世帯年収3000万円以上の場合、2名まで雇用可能。入国帯同型や家庭事情型の要件は不要。 |
入国・在留手続 | ・優先処理 | ・優先処理 | ・優先処理 ・プライオリティレーンの利用 |
高度専門職2号への移行 | ・通常3年以上 | ・維持 | ・1年以上の活動で移行可能 |
まとめ
特別高度人材制度(J-Skip)は、高度な専門知識や経験を持つ外国人にとって、日本での活躍の場を大きく広げる魅力的な制度です。従来の高度専門職制度と比較して、より明確な要件と手厚い優遇措置が設けられており、特に高収入を得ている高度人材にとっては、迅速な在留資格取得、配偶者の自由な就労、家事使用人の帯同、そして早期の永住許可取得への道が開かれています。日本でご自身の専門性を活かしたいとお考えの外国人の方、高度な外国人材の採用を検討している企業担当者の方は、ぜひこの特別高度人材制度(J-Skip)の活用をご検討ください。
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