経営管理ビザ申請|スタートアップビザの活用

経営管理ビザが資本金3,000万円、常勤職員の雇用、経営経験3年以上など大幅に厳格化されたため、資金力に乏しい起業家にとって、スタートアップビザ(特定活動)が主要な代替ルートとなります。

これは、最長2年間の起業準備活動を許可する制度であり、この活動期間は新基準の「3年以上の経営・管理経験」に算入されることが最も重要です。

これにより、申請者は、いきなり3,000万円を用意しなくても、日本滞在中に段階的に資金調達や人材確保を進め、最終的に厳格化後の経営管理ビザへの移行を目指すことが可能になります。

経営管理ビザの基本要件

経営管理ビザ(2025年10月16日施行)の主な要件は、以下の通り厳格化されました。

◇ 資本金・出資総額
3,000万円以上が必要です。

◇ 雇用義務
1人以上の常勤職員(日本人、永住者など)の雇用が必須です。

◇ 経歴・学歴
経営経験が3年以上あるか、または修士以上の学位(経営管理など)の取得が求められます。

◇ 日本語能力
申請者または常勤職員のいずれかがN2相当以上の能力を有すること。

◇ 事業計画
中小企業診断士、公認会計士、税理士などの専門家による確認が義務付けられます。

◇ 事業所
自宅を事務所と兼ねることは原則認められません。

500万円の資本金が不要なケース

2025年10月16日施行の厳格化基準において、3,000万円の資本金が直接不要となる主なケースは以下の通りです。

◇ 旧基準適用
2025年10月15日以前に、新規申請または更新申請が受理された場合、改正前の許可基準(500万円)が適用されます。

◇ 既存在留者の更新猶予
既に経営管理ビザで在留中の人が、施行日から3年以内(2028年10月16日まで)に更新申請を行う場合、新基準に適合していなくても、経営状況や適合見込みに基づき総合的に判断されます。

◇ スタートアップビザ
3,000万円の資金調達が難しい革新的な起業家は、まずスタートアップビザ(特定活動)を取得し、日本滞在中に段階的に資金調達や準備を進めることができます。

これらは、3,000万円要件を満たせない起業家に対する、一時的な猶予または代替の在留資格ルートとなります。

スタートアップビザとは?

スタートアップビザ(外国人起業活動促進事業)は、外国人が日本で起業する際のハードルを下げるために導入された制度です。 従来、経営管理ビザを取得するには、500万円以上の出資や独立した事業所の確保が必要でしたが、スタートアップビザを活用することで、これらの要件を一定期間猶予 されます。

スタートアップビザのメリット

◇ 起業準備期間の確保
最長2年間、起業準備に専念できます。

◇ 要件の緩和
資本金500万円や独立した事業所の確保といった要件が一時的に緩和されます。

スタートアップビザの注意点

◇ 2段階審査
地方公共団体または民間事業者の審査と、入国管理局の審査の2段階を経る必要があります。

◇ 要件の充足は必須
猶予期間内に、経営管理ビザの要件を満たす必要があります。

「経営管理ビザ」と「スタートアップビザ」の比較

経営管理ビザの厳格化(2025年10月16日施行)を踏まえると、両ビザは起業家の資金力と段階に応じて使い分けられます。

経営管理ビザ(新基準)スタートアップビザ(特定活動)
目的本格的な事業経営(本資格)起業準備活動(移行前提)
資本金要件3,000万円以上が必須初期資本は原則不要
期間長期(最長5年など)最長2年間
経営経験3年以上(学歴代替可)が必須この期間が3年経験に算入される
対象資金力・経営経験が豊富な起業家革新的なアイデアを持つ、資本に乏しい起業家

資本金の出所について

経営管理ビザでは、3,000万円の資金が合法的に形成されたことの証明が不可欠であり、単に口座に金額があるだけでなく、その出所と流れの透明性が厳しく問われます。

◇ 自己資金(収入)
過去数年間の収入証明書や通帳履歴を提出し、事業資金をどのように蓄積したかの経緯を詳細に示します。預金の積み立て経緯が分かる書類(給与明細など)も重要です。

◇ 借入/贈与
親族などから資金援助を受けた場合は、金銭消費貸借契約書や贈与契約書を必ず作成し、送金記録(銀行の取引明細など)によって資金の流れを客観的に証明する必要があります。

◇ 海外送金/現金持ち込み
海外銀行の送金明細と日本側銀行の入金記録を提出します。多額の現金を持ち込んだ場合は、税関への申告書の提示が必須となります。

資金調達の正当性を裏付ける客観的なエビデンスを揃えることが、不許可リスクを回避する鍵です。

まとめ

経営管理ビザの要件が厳格化(資本金3,000万円、常勤職員の雇用など)されたため、スタートアップビザ(特定活動)は革新的なアイデアを持ちながら資金力に乏しい起業家にとって主要な代替ルートとなります。主な留意点は以下の通りです。

◇ 経営経験への算入
スタートアップビザに基づく起業準備活動の期間は、厳格化後の「事業の経営または管理について3年以上の職歴」要件に算入されます。これは最大のメリットです。

◇ 準備期間の制約
在留期間は最長1年間または2年間(制度を導入する自治体による)に限定されており、この期間内に新基準を満たすための準備を完了させる必要があります。

◇ 自治体の承認義務
通常のビザ申請とは異なり、まず事業計画を地方自治体に提出し、その承認(確認証明書)を得るという二段階のプロセスが必要です。

◇ 最終的な要件充足
スタートアップビザはあくまで「準備期間」の資格であり、期間終了後には、資本金3,000万円、常勤職員1名の雇用など、改正後の経営管理ビザの全ての要件を満たして移行しなければなりません。

◇ 計画の実現可能性
自治体による審査では、事業の新規性や成長性が厳しく問われるため、綿密で客観的・実現可能性の高い事業計画を作成することが不可欠です。

名古屋市のOSAHIRO行政書士事務所は外国人のビザ申請をサポートしています。ご依頼・ご相談などお気軽にお問い合わせください(初回面談は無料です)。

参考:経営管理ビザ説明動画

ビザ申請の概要や注意点を動画でわかりやすくご紹介します。

・「経営・管理」ビザの資本金及び雇用要件厳格化!

・経営管理ビザから永住権の取得

・民泊事業で経営管理ビザは取れる?

・経営管理ビザの資本金要件

・経営管理ビザの更新で重視される点

・スタートアップビザ(外国人起業活動促進事業)|2025年

・4ヶ月の経営管理ビザとは?