特定技能 vs 技能実習|制度の違いを表で解説

日本で働くことを希望する外国人の方や、外国人材の受け入れを検討している企業の方にとって、「特定技能」と「技能実習」は重要な在留資格です。これらの制度は目的、対象となる業務、在留期間など、多くの点で異なります。本記事では、それぞれの違いを表で比較し、わかりやすく解説します。

特定技能技能実習
制度の目的・深刻な人手不足を解消するため、一定の専門性/技能を有する外国人を受け入れる・開発途上国等への技能移転による国際協力

・労働力不足の解消は本来の目的ではない
法的根拠・出入国管理及び難民認定法・外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)
対象分野・介護(1号)
・ビルクリーニング
・素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
・建設
・造船・舶用工業
・自動車整備
・航空
・宿泊
・農業
・漁業
・飲食料品製造業
・外食業
・自動車運送業(1号)
・鉄道(1号)
・林業(1号)
・木材産業(1号)
・農業関係(2職種6作業)
・漁業関係(2職種10作業)
・建設関係(22職種33作業)など、約90職種

(地域限定や企業独自の職種も対象となる場合があり)
技能水準・即戦力となる一定以上の専門性/技能が必要

・技能評価試験と日本語能力試験の合格が原則必要

・技能実習2号を良好に修了した場合は免除される
・入国前に特定の技能を習得する必要はない

・ただし、段階的に技能を習得していく

・3号技能実習では技能検定等が行われる
日本語能力・日常会話に加え、業務に必要な日本語能力が必要

・国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験N4以上9
・来日前に一定の日本語学習を行うことが多い
受入れ方法・企業と外国人が直接雇用契約を結ぶのが基本

・人材紹介会社や登録支援機関を利用することも可能

・日本在留の外国人も対象
・団体監理型(監理団体を通して傘下の企業で実習)が約9割

・他に企業単独型がある

・海外の送出し機関を通して受け入れる
在留期間1号:通算5年が上限

2号:在留期間の上限なし(更新可能)
1号:1年、2号:2年(計3年)

<優良な実習実施者/監理団体の場合>
3号:2年(一旦帰国後、最長5年の実習)
転職の可否・原則として可能

・ただし、同一分野内での転職が基本
・原則として不可

・ただし、受入れ企業の都合による転籍などの例外あり

・新制度「育成就労」では条件緩和予定
家族帯同1号:原則として不可

2号:可能(配偶者・子)
不可
受入れ人数制限・介護・建設分野を除き原則としてなし・あり

・企業の常勤職員数に応じて上限が定められている

・優良な場合は優遇措置あり
関係機関・受入れ企業

・特定技能外国人

・必要に応じて登録支援機関
・受入れ企業

・技能実習生

・監理団体

・送出し機関

・外国人技能実習機構
費用負担・登録支援機関に委託する場合、支援費用は受入れ企業が負担・監理団体への入会費/年会費、監理費、法定研修費用など、外部コストが大きい傾向

・送出し機関への手数料なども実習生が負担する場合がある
技能評価試験・あり(合格が必要)・なし(技能検定などは技能習熟度を測るもの)
監理・支援体制・受入れ企業は1号特定技能外国人に対する支援計画の作成/実施が義務

・登録支援機関に委託も可能
・監理団体が実習実施者に対する監査・指導を行う

・技能実習機構が監理団体等を監督
移行・特定技能1号から2号への移行は、建設業と造船/舶用工業の2分野に限られる(今後拡大見込みあり)・技能実習2号を良好に修了した場合、同一分野で特定技能1号への移行が可能(試験免除の場合あり)

【まとめ】

特定技能は、日本の人手不足を解消するために、即戦力となる外国人を受け入れる制度です。一方、技能実習は、開発途上国等への技能移転を目的とした国際協力の制度であり、受け入れ方法や在留期間、転職の可否などに大きな違いがあります。

外国人材の受け入れを検討する際は、それぞれの制度の目的や特徴を十分に理解し、自社のニーズに合った制度を選択することが重要です。また、外国人の方も、ご自身のスキルや希望する働き方に合わせて、適切な在留資格を選ぶようにしましょう。

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