
特定技能ビザで日本で働く外国人の方々、および雇用主の皆様にとって、ビザの更新は非常に重要な手続きです。特定技能ビザの更新について、要件、必要書類、注意点について説明します。
特定技能ビザの種類と更新の必要性
特定技能ビザには、特定技能1号と特定技能2号の2種類があります。
特定技能1号
相当程度の知識や経験を必要とする技能を有する業務に従事する外国人向けで、最長5年の在留が認められます。
特定技能2号
熟練した技能を有する業務に従事する外国人向けで、在留期間に上限はありません。
いずれのビザも、在留期間には期限があるため、期限が切れる前に更新手続きが必須です。特定技能1号の在留期間は「1年ごと・6ヵ月ごと・4ヵ月ごと」のいずれかであり、最低でも1年に1回は更新しなければなりません。特定技能2号の更新期間は、「3年ごと・1年ごと・6ヵ月ごと」のいずれかです。
更新の要件
在留期間の更新が許可されるためには、以下の要件を満たす必要があります。
◇ 在留資格該当性
行おうとする活動が、申請に係る入管法別表に掲げる在留資格に該当すること。
◇ 上陸許可基準適合性
法務省令で定める上陸許可基準に適合していること。
◇ 適正な活動
現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと。
◇ 素行不良でないこと
素行が善良であること。
◇ 生計能力
独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること。
◇ 適正な雇用・労働条件
雇用・労働条件が労働関係法規に適合していること。
◇ 納税義務等履行
納税義務等を履行していること。
◇ 入管法上の届出義務履行
入管法に定める届出等の義務を履行していること。
これらの要件を満たしているかどうかは、提出された書類や面接などによって審査されます。
更新に必要な書類
更新に必要な書類は、申請人(外国人)に関するもの、所属機関(企業)に関するもの、分野に関するものの3つに大きく分けられます。
【申請人に関する書類】
◇ 在留期間更新許可申請書
◇ 写真(指定の規格を満たすもの)
◇ パスポートおよび在留カード
◇ 特定技能外国人の報酬に関する説明書
◇ 雇用条件書の写し
◇ 個人住民税の課税証明書および納税証明書(直近1年分)
◇ 給与所得の源泉徴収票
◇ 国民健康保険被保険者証の写し
◇ 国民健康保険料(税)納付証明書
◇ 国民年金保険料領収証書の写しまたは被保険者記録照会
所属機関に関する書類
◇ 特定技能所属機関概要書
◇ 登記事項証明書
◇ 業務執行に関与する役員の住民票の写し
◇ 特定技能所属機関の役員に関する誓約書
◇ 労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書(事業主控)の写しおよび領収証書
◇ 社会保険料納入状況回答票または健康保険・厚生年金保険料領収証書の写し
◇ 税務署発行の納税証明書
◇ 法人住民税の市町村発行の納税証明書
◇ 公的義務履行に関する説明書
◇ 介護分野における業務を行わせる事業所の概要書(介護分野の場合)
◇ 協議会の構成員であることの証明書
分野に関する書類
分野によって必要な書類が異なります。たとえば、介護分野であれば「介護分野における業務を行わせる事業所の概要書」が必要です。これらの書類は、出入国在留管理庁のホームページからダウンロードできます。
更新手続きの流れ
更新手続きは、以下の流れで進みます。
1.書類の準備
申請人・企業それぞれが必要な書類を準備します。
2.申請
地方出入国在留管理官署に書類を提出します。オンラインでの申請も可能です。
3.審査
出入国在留管理庁で審査が行われます。
4.結果の通知
審査結果が通知されます。
5.新しい在留カードの受領
許可された場合、新しい在留カードを受け取ります。
審査期間は1~3ヶ月かかることが一般的です。
更新にかかる費用
更新にかかる費用は、大きく分けて以下の2種類です。
◇ 手数料
更新が許可された場合、新しい在留カードの受領時に4,000円の収入印紙代が必要です。
◇ 代行費用
行政書士や登録支援機関に手続きを代行してもらう場合、費用がかかります。
更新時の注意点
特定技能ビザの更新申請では、申請人である外国人本人と、受け入れ機関(企業など)の双方に関わる様々な項目が審査されます。特に、以下の点が重要視されます。
注意点 | 具体的な内容 | 取るべき対応 |
準備不足 | ・必要書類が多く、作成に時間がかかる。 ・期限直前の準備では書類が揃わず間に合わない可能性がある。 | ・在留期限の3~4ヶ月前を目安に準備を開始する。 ・チェックリストを活用し、計画的に進める。 ・申請済みで期限切れの場合、最大2ヶ月の特例期間あり。 |
税金・社保の滞納 | ・受け入れ機関または外国人本人の税金(住民税など)や社会保険料(健康保険、年金など)に未納がある。 | ・滞納がないことを確認し、未払い分があれば申請前に全て納付する。 ・納税義務等の不履行は消極的に評価される。 |
協議会未加入 | ・特定技能外国人を受け入れる企業が、該当分野の協議会に加入していない。 | ・原則として、初めて受け入れてから4ヶ月以内に該当分野の協議会に加入する。 ・加入義務を怠ると更新が認められない可能性がある。 |
書類の不備・不足 | ・必要な書類が揃っていなかったり、記載内容に誤りや不足がある。 | ・事前に必要な書類をリストアップし、漏れなく正確に準備する。 ・提出前に複数回チェックし、不備を防ぐ。 |
労働条件の不適正 | ・労働基準法に適合しない労働条件(同等の日本人と同等以上の賃金でない、労働時間オーバーなど)。 | ・労働条件を日本人と同等以上とし、労働関係法規を遵守していることを確認する。 ・更新時にもチェックされる。 |
受け入れ機関の素行不良 | ・役員や支援担当職員に犯罪歴など、入管行政上問題となる行為がある。 | ・適正な機関運営を行う。 |
届出・支援義務不履行 | ・入管法上の届出義務(所属機関に関する届出など)や、外国人への支援義務を怠っている。 ・定期届出(四半期ごと)や随時届出、義務的支援など。 | ・定期・随時届出や支援計画に基づく義務的支援を適切に実施する。 |
在留期限切れ | ・申請前に在留期限が過ぎてしまう。 | ・余裕をもって申請を行う。 ・万一遅れた場合は速やかに入管に出頭し、理由を説明する。審査は厳しくなる可能性あり。 |
転職時の手続き誤り | ・転職時に必要な在留資格変更許可申請を行わず、更新申請をしてしまう。 ・特定技能は指定された企業・業務のみで就労可。 | ・転職時は在留資格変更許可申請が必要であることを理解し、適切な手続きを行う。 |
更新が遅れた場合・間に合わない場合の対応
万が一、更新が遅れてしまった場合でも、諦めずに対応しましょう。
◇ 在留期間満了前に申請した場合
審査期間中は特例期間として、在留資格が継続されます(最長2ヶ月)。
◇ 在留期間満了後に申請した場合
直ちに最寄りの出入国在留管理局に出頭し、指示を仰ぎましょう。
まとめ
特定技能ビザの更新は、外国人の方々が日本で引き続き活躍するために不可欠な手続きです。この記事を参考に、余裕をもって準備を進め、スムーズな更新を実現しましょう。
ご参考:特定技能ビザの説明動画
ビザ申請の概要や注意点を動画でわかりやすくご紹介します。
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