「経営管理ビザの更新」が不許可になる理由と再申請のポイント

日本で会社を経営・管理するために必要な経営管理ビザですが、更新が不許可になってしまうケースも少なくありません。本記事では、経営管理ビザの更新がどのような理由で不許可になるのか、そして不許可になってしまった場合の再申請のポイントについて解説します。

経営管理ビザの更新が不許可になる主な理由

経営管理ビザの更新審査では、事業の継続性・安定性、事業所の状況、経営・管理への実質的な参画、そして申請人自身の状況などが総合的に判断されます。以下に主な不許可理由を挙げます。

事業の継続性・安定性の欠如

◇ 売上総利益がない、または低い状態が継続している
2期連続で売上総利益がない場合、原則として事業の継続性がないと判断されます。

◇ 債務超過の状態が継続している
直近期末と直近期前期末の両方で債務超過である場合、原則として事業の継続性があるとは認められません。ただし、設立5年以内の新興企業には柔軟な判断がされる場合があります。

◇ 事業計画の実現可能性が低い
具体的な市場分析や根拠のない楽観的な計画では、事業の継続性が疑われます。

◇ 必要な資本(純資産)がない
経営管理ビザの更新時に、事業を継続するために必要な純資産が不足していると判断される場合があります。

事業所の不備

◇ 事業目的が不明確な賃貸契約
賃貸借契約書の使用目的が「住居」となっている場合など、事業用であることが明確でない場合は認められません。貸主の事業利用許可が必要です。

◇ 自宅兼事務所で事業活動の実態が不明確
事業所としての独立性(入口が別、看板の設置、事業に必要な設備・備品の有無など)が認められない場合。 生活空間との明確な区分が必要です。

◇ バーチャルオフィスや短期賃貸スペースの利用
事業の実体がないと判断されるため、原則として認められません。

◇ 他の事業者との共同使用で独立性がない
事業所としての独立性が確保されていない場合。

経営・管理への実質的参画の欠如

◇ 役員としての活動実態がない
単に役員に就任しているだけでなく、事業運営に関する重要事項の決定、業務の執行または監査に従事していることが必要です。

◇ 来日前に役員報酬が支払われている
日本での事業活動開始前に役員報酬が支払われている場合、入国の必要性がないと判断されることがあります。

◇ 経営者自身が現場の作業に従事している
経営管理ビザでは、経営・管理以外の業務に従事することは原則として認められません。

申請人の問題

◇ 過去の犯罪歴や不法滞在歴
過去の法違反行為は審査に影響します。

◇ 納税義務・社会保険関係法令の不履行
所得税、法人税、住民税などの滞納や、従業員の労働条件、社会保険加入義務の不履行は消極的な要素として評価されます。

◇ 提出書類の矛盾や不備
申請書や事業計画書の内容と添付書類に矛盾がある場合や、必要な書類が不足している場合。

◇ 出資金の形成過程が不明確
資本金の出所や形成過程を合理的に説明できない場合、「見せ金」とみなされる可能性があります。

経営管理ビザ更新不許可理由と対応のポイント

不許可理由対応のポイント
事業の継続性・安定性の欠如・売上増加、コスト削減、新たな事業展開など具体的な改善策を示す。

・詳細な事業計画書と将来の見通しを提出。

・必要に応じて専門家(中小企業診断士、公認会計士など)の意見書を添付。
事業所の不備・事業目的が明記された賃貸借契約書を準備。自宅兼事務所の場合は、事業所としての独立性を明確にする(専用の入口、看板、設備など)。

・バーチャルオフィスや短期賃貸は原則不可。
経営・管理への実質的参画の欠如・具体的な職務内容を説明し、経営・管理業務に専念していることを示す。

・来日後の役員報酬支払いの妥当性を説明。

・現場作業ではなく、経営者としての活動を示す。
申請人の問題(犯罪歴・不法滞在歴)・事実を隠さずに申告し、反省の意を示す。

・状況によっては、一定期間経過後の再申請を検討。
申請人の問題(納税義務・法令遵守違反)・速やかに未納の税金や保険料を納付し、改善策を示す。

・税理士や社会保険労務士などの専門家に相談し、適切な対応を行う。
申請人の問題(提出書類の矛盾や不備)・不許可理由を正確に把握し、矛盾がないように書類を修正する。

・必要な書類を全て揃えて提出。
申請人の問題(出資金の形成過程が不明確)・資金の流れを示す客観的な証拠(銀行の送金記録、契約書など)を提出し、資金の出所と形成過程を明確に説明する。

経営管理ビザの再申請のポイント

万が一、経営管理ビザの更新が不許可になってしまった場合でも、諦めずに再申請を検討しましょう。再申請を成功させるための重要なポイントは以下の通りです。

不許可理由の徹底的な確認

◇ 必ず入国管理局に出向き、審査官から直接不許可の理由を聞きましょう。電話や郵送では詳細な理由が分からないことが多いです。

◇ 不許可通知書を持参し、質問したい内容を事前に整理しておくと、効率的に理由を聞き取ることができます。

◇ 再申請に向けて、具体的にどのような点を改善すれば良いのかを審査官に確認することも重要です。

不許可理由の分析と改善策の検討

◇ 聞き取った不許可理由に基づいて、申請内容や事業計画を再度詳細に見直します。

◇ 不許可になった原因を特定し、具体的な改善策を検討します。

◇ 改善点を明確にするための追加資料の準備も検討しましょう。

再申請書類の準備

◇ 改善点を具体的に示す書類(修正した事業計画書、追加の説明書、証拠書類など)を丁寧に準備します。

◇ 一度目の申請からの変更点や、なぜ改善が必要だったのかを明確に説明することが重要です。

◇ 虚偽の内容は絶対に避けましょう。

まとめ

経営管理ビザの更新が不許可になる理由は多岐にわたりますが、事業の継続性・安定性が最も重要なポイントの一つです。日頃から健全な事業運営を心がけ、税金や社会保険などの義務を適切に履行することが、更新をスムーズに行うための基本となります。万が一、更新が不許可になってしまった場合でも、諦めずに不許可理由をしっかりと確認し、改善策を講じた上で再申請を行うことが重要です。

ご不明なことがありましたら、名古屋のOSAHIRO行政書士事務所(ビザ申請)の「お問い合せ」よりお気軽にご相談ください。