「定住ビザ」と「永住ビザ」の違い

日本に中長期滞在する外国人が持つ在留資格のうち、定住ビザ永住ビザはどちらも就労制限がないという共通点がありますが、いくつかの重要な違いがあります。

取得条件

定住ビザ

法務大臣が個別の事情を考慮し、特別な理由があると認めた場合に許可される在留資格です。定住者には、「告示定住者」「告示外定住者」の2種類があります。

告示定住者

法務省が予め「定住者」として指定している一定の類型に当てはまる外国人です。

難民:インド、インドネシア、カンボジア、シンガポール等に一時滞在する難民。

日系2世・3世:日系2世、3世。3世の場合、祖父母(日系1世)が日本国籍を離脱する前に生まれた父母(日系2世)の子を指します。

日系2世・3世・定住者の配偶者:日系2世・3世・定住者(在留期間が1年以上)の配偶者。

扶養を受ける未成年・未婚の子:日本人・永住者・特別永住者・日系2世・3世・定住者(在留期間が1年以上)の扶養を受けて生活する未成年で未婚の子。

扶養を受ける6歳未満の養子:日本人・永住者・定住者(在留期間が1年以上)・特別永住者の扶養を受けて生活する6歳未満の養子。

中国残留邦人やその親族:中国残留邦人やその親族。

告示外定住者

告示定住者に当てはまらず、個々の状況を判断し、日本での在留を認める特別な事情があると認められた外国人です。

•日本人・永住者・特別永住者と離婚または死別後、引き続き在留を希望する者。

•日本人・永住者・特別永住者との婚姻関係が事実上破綻したあとも、日本に在留を希望する者。

•日本人の実子を監護・養育する者。

永住ビザ

一定の要件を満たした外国人に与えられる在留資格で、永住が許可されます。

•原則として10年以上継続して日本に在留していること。

素行が善良であること(犯罪歴や税金滞納などがないこと)。

独立の生計を営むに足りる資産や技能を有すること(安定した収入や職業があること)。

•その者の永住が日本国の利益に合うと認められること(日本社会への貢献度が高いこと)。

👉定住ビザは、日系人や難民など特別な事情で認められる在留資格で、在留期間に制限あり

👉永住ビザは、原則10年以上の日本在留、素行善良、安定生計が必須で、在留期間は無制限です

申請の流れ

定住ビザ

1.必要書類を作成・収集。

2.出入国在留管理局で在留資格認定証明書交付申請。

3.審査(通常1~3ヶ月)。

4.結果の通知。

👉入管窓口へ書類を提出し、審査を経て在留資格認定証明書交付や在留資格変更許可で結果が通知されます

永住ビザ

1.必要書類の作成・収集。

2.出入国在留管理局で永住許可申請

3.審査(通常4ヶ月~1年以上)。

4.結果の通知。

5.許可の場合、収入印紙で手数料8,000円を納付。

👉入管窓口へ永住許可申請、審査を経て結果が通知され、新しい在留カードを受け取ります

就労範囲(定住ビザ/永住ビザ)

どちらも就労活動に制限はなく、どのような仕事にも就くことができます。

更新の要否と在留期間

定住ビザ

在留期間が定められており(5年、3年、1年、6ヶ月など)、期間満了前に更新が必要です。

永住ビザ

在留期間は無期限のため、更新は不要です。ただし、在留カードは7年ごとに更新する必要があります。

具体例

定住ビザの例

国連が保護を推薦する難民(ミャンマー難民等)

日系2世または日系3世(特定の条件を満たす日系人の子孫)

日系人や定住者(1年以上在留)の配偶者

日本人・永住者等に扶養される未成年子や6歳未満の養子

中国残留邦人およびその親族(各種条件あり)

日本人・永住者の配偶者で、離婚・死別後に認められる者

永住ビザの例

◇ 原則
・原則10年継続在留、素行善良、生計安定

◇ 特例(10年継続在留の緩和)
・日本人・永住者等の配偶者
  婚姻3年・日本在留1年

・日本人・永住者等の実子
  日本に1年以上継続在留

・定住者として5年以上日本に継続在留

・難民認定後5年以上継続して日本に在留

・日本への貢献が認められ5年以上在留

・高度専門職70点以上で3年以上継続在留

定住ビザから永住ビザ申請へのポイント

定住ビザから永住ビザへの変更は、安定した日本での生活を希望する方にとって重要なステップです。以下のポイントに注意して申請準備を行いましょう。

在留年数

定住ビザを取得後、引き続き5年以上日本に在留している必要があります。

•日本人配偶者との離婚後、定住ビザに変更した場合、配偶者ビザでの在留期間も合算できます

•ただし、1回の出国で3ヶ月以上、または1年で合計100日以上出国すると、居住歴がリセットされる場合があります

年収

安定した生活を継続できる収入が必要です。

•明確な基準はありませんが、年収300万円以上が目安とされています。

扶養家族が多い場合は、より高い年収が求められます。扶養家族が1人いる場合、年収370万円以上が望ましいとされます。

•生活保護を受給している場合、独立生計要件を満たさないと判断される可能性が高いです。

•難民認定を受けて定住者ビザを取得した場合は、年収要件を満たさなくても良い場合があります。

親族の扶養義務

親族が生活保護を受給している場合、申請者の扶養義務が問題となることがあります。

•親族への経済的な援助を行っていることを証明することで、扶養義務を果たしていると評価される可能性があります。

素行

法律違反や交通違反がないことが重要です。

•犯罪歴がある場合、刑の執行後一定期間(例:懲役・禁錮は出所後10年、執行猶予は期間満了後5年、罰金は支払い後5年)は永住申請ができません。

•交通違反も、違反の種類や回数によっては永住申請に影響を与える可能性があります。軽微な違反(駐車違反、一時不停止など)であれば数回程度なら問題ないですが、免停以上の違反は一定期間申請できません。

その他

年金健康保険直近2年が審査対象です。会社員の場合は給与から天引きされていることが多いですが、国民健康保険や国民年金に加入している場合は、未納や納期限に注意が必要です。

納税状況も審査対象となります。住民税は直近5年が審査対象です。

身元保証人が必要です。身元保証人は、日本に居住する日本人、永住者、または特別永住者であることが必要です。

これらのポイントを踏まえ、慎重に準備を進めることが、永住ビザ取得への近道となります 。

👉定住者は5年以上日本に継続在留していれば、永住許可の居住要件が緩和されます

👉それに加え、素行善良、生計安定、日本の国益適合が重要なポイント

名古屋市のOSAHIRO行政書士事務所は外国人のビザ申請をサポートしています。ご依頼・ご相談などお気軽にお問い合わせください(初回面談は無料です)。

参考:身分系ビザ(永住者配偶者|定住者)説明動画

ビザ申請の概要や注意点を動画でわかりやすくご紹介します。

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