
近年、日本国内では様々な産業で人手不足が深刻化しており、その解決策の一つとして外国人材の活用が注目されています。特に「特定技能」という在留資格は、一定の技能を持つ外国人が日本の特定産業分野で就労することを可能にするもので、その受け入れをサポートする重要な役割を担うのが「登録支援機関」です。本記事では、特定技能登録支援機関になるための要件、申請方法、そして登録後の注意点をわかりやすく解説します。
登録支援機関とは?
登録支援機関とは、特定技能外国人(特に特定技能1号)が日本で安定して働くことができるよう、職業生活上、日常生活上、社会生活上の支援を行う機関として、出入国在留管理庁長官の登録を受けた者を指します。具体的には、以下のような支援業務を行います。
◇ 事前ガイダンス
入国前の制度説明や日本での生活に関する情報提供
◇ 出入国時の送迎
空港等への出迎えや見送り
◇ 住居の確保・生活に必要な契約支援
不動産業者との仲介、賃貸契約のサポート、ライフライン(電気・ガス・水道)の契約支援など
◇ 生活オリエンテーション
日本の習慣やルール、マナー、緊急時の連絡先などの情報提供
◇ 公的手続き等への同行: 役所での各種手続き(住民登録、社会保険加入など)への付き添い
◇ 日本語学習の機会の提供
日本語教室の情報提供や学習教材の紹介
◇ 相談・苦情への対応
仕事や生活に関する悩みや困り事の相談に乗り、適切なアドバイスや関係機関への連絡
◇ 日本人との交流促進
地域住民との交流イベントの企画・実施など
◇ 転職支援(受入れ側の都合による解雇・人員整理等の場合)
新しい就職先の紹介など
◇ 定期的な面談・行政機関への通報
外国人やその監督者との定期的な面談を通して状況を把握し、労働基準法違反などの問題があれば関係行政機関に通報
このような支援を通じて、特定技能外国人が安心して日本で就労・生活できる環境を整備することが、登録支援機関の重要な役割です。受け入れ企業(特定技能所属機関)は、これらの支援業務を自社で行うことも可能ですが、専門的な知識や経験が必要となるため、登録支援機関に委託するケースが多くなっています。
登録支援機関になるための要件
登録支援機関として登録を受けるためには、様々な要件を満たす必要があります。主な要件を以下にまとめました。
法人または個人事業主であること
欠格事由に該当しないこと
支援業務を適正に遂行できる体制が整っていること
◇ 事務所の確保
支援業務を行うための適切な事務所が必要です。
◇ 支援責任者・支援担当者の選任
以下の要件を満たす支援責任者を1名以上、支援業務を行う事務所ごとに支援担当者を1名以上選任する必要があります。
〈支援責任者の要件〉
•登録支援機関の役員または職員であること。
•過去5年間に、支援を行う受入れ機関の役員または職員でないこと。
•支援を行う受入れ機関の役員の配偶者や2親等以内の親族、その他の密接な関係を有する者でないこと。
•登録支援機関の登録拒否事由に該当しないこと。
•以下のいずれかに該当すること。
*過去5年間に2年以上、中長期在留者の生活相談業務に従事した経験がある。ここでいう中長期在留者とは、就労系の在留資格を持つ外国人を指します。ボランティア活動や無償の相談は該当しません。
*弁護士、司法書士、行政書士、社会保険労務士などの士業である。
*上記と同程度に支援業務を適正に実施できると出入国在留管理庁長官に認められること。これには、中長期在留者の適正な受け入れ実績や雇用実績、労働関係法令の遵守状況などが考慮されます。
〈支援担当者の要件〉
•登録支援機関の役員または職員であること(常勤が望ましい)。
•登録支援機関の登録拒否事由に該当しないこと。
•支援責任者と支援担当者は兼任可能です。ただし、両方の要件を満たす必要があり、支援担当者として業務を行う事業所に所属している必要があります。
◇ 情報提供・相談体制の整備
特定技能外国人が十分に理解できる言語で情報提供や相談に対応できる体制が必要です。必ずしも母国語である必要はありません。必要に応じて外部の通訳を活用することも認められています。
◇ 支援業務に関する文書の作成・保管体制
支援計画の実施状況や特定技能外国人の活動状況に関する文書を作成し、適切に保管できる環境が必要です。保管期間は、特定技能雇用契約の終了日から1年以上と定められています。
過去の業務経験
上記の支援責任者の要件にもある通り、中長期在留者の生活相談業務や受け入れ・管理に関する経験が重視されます。
支援費用の負担
特定技能外国人に支援にかかる費用を直接・間接的に負担させてはなりません。また、受け入れ機関に対して支援業務にかかる費用や内訳を明示する必要があります。
登録拒否事由
以下のいずれかに該当する場合、登録支援機関としての登録は拒否されます。
拒否事由 | 詳細 |
過去5年以内の刑罰 | 禁錮以上の刑、出入国管理及び難民認定法・技能実習法などの出入国や労働に関する法律による罰金刑、暴力団関係の罪による罰金刑、健康保険法などの社会保険関係法規による罰金刑。執行を終え、または受けることがなくなった日から起算。 |
支援業務を適正に遂行できないと判断される場合 | 心身の故障による認知・判断能力や意思疎通の支障、破産手続き開始決定を受けて復権していない場合。 |
過去5年以内に登録を取り消されたことがある場合 | 以前に登録支援機関として登録を受けていた場合、登録取り消しの日から5年を経過していない場合。過去に取り消しを受けた法人の役員であった場合も同様。 |
過去5年以内に出入国や労働に関する不正を行っている場合 | 登録申請日前5年以内に出入国や労働関係法令に関する不正行為または著しく不当な行為を行った場合。 |
暴力団に関係している場合 | 暴力団員が在籍している、過去5年以内に暴力団員であった人がいる、暴力団員が事業活動を支配・影響している場合。 |
関係者が上記の拒否事由に該当している場合 | 営業に携わる未成年者の法定代理人や、法人である場合の役員が上記の拒否事由に該当する場合。 |
支援業務を的確に遂行するための必要な体制が整っていない場合 | 支援責任者・支援担当者が選任されていない、情報提供・相談体制が不十分、文書作成・保管体制が不備な場合など。 |
過去5年以内に特定技能所属機関の役員・職員であった者を支援責任者として選任している場合 | 中立性の観点から、過去5年以内に特定技能所属機関の役員または職員であった者を支援責任者として選任することはできません。 |
自らの責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させている場合 | 支援体制が十分でないと判断され、登録が拒否されることがあります。 |
特定技能外国人に支援費用を負担させる場合 | 直接的・間接的に、いかなる名目であっても特定技能外国人に支援費用を負担させてはなりません。 |
支援委託契約締結時に支援費用や内訳を明示しない場合 | 支援の適正性の確保の観点から、費用と内訳を明確に提示する必要があります。 |
申請書や添付書類に虚偽の記載や重要な事実の記載漏れがある場合 | 正確な情報に基づいて審査が行われる必要があるため、虚偽記載や記載漏れは登録拒否の理由となります。 |
登録支援機関の登録申請手続き
登録支援機関の登録申請は、以下の流れで行います。
1.申請書類の準備
出入国在留管理庁のホームページから申請書や必要な立証資料(登録支援機関概要書、誓約書、支援責任者・担当者の履歴書、就任承諾書、手数料納付書、住民票の写し、事務所の賃貸契約書など)をダウンロードし、作成・収集します。個人事業主と法人で必要な書類が異なる場合があるため、事前に確認が必要です。
2.手数料の納付
登録申請手数料として28,400円分の収入印紙を手数料納付書に貼付します。
3.申請書類の提出
作成した申請書類と手数料納付書を、申請者の本店または主たる事務所(住所)の所在地を管轄する地方出入国在留管理局に郵送または持参により提出します。支援業務を行う場所に関わらず、申請者の本店所在地が管轄となりますので注意が必要です。
4.審査
提出された書類に基づいて、出入国在留管理庁による審査が行われます。必要に応じて追加書類の提出や面談が求められることもあります。
5.登録・通知
審査に通れば、登録支援機関として登録され、登録免許状などが交付されます。登録された情報は、登録支援機関登録簿に記載され、出入国在留管理庁のホームページで公開されます。
申請時には、必要書類に不備がないよう細心の注意を払い、正確な情報を記載することが重要です。
登録後の注意点
登録支援機関として活動を開始した後も、以下の点に注意が必要です。
◇ 登録期間と更新
登録の有効期間は5年間です。登録を継続するためには、有効期間満了の3ヶ月前から更新申請を行う必要があります。更新を忘れると登録が失効し、再度新規申請が必要になります。更新手数料は11,100円です。
◇ 定期的な届出
支援計画の実施状況について、3ヶ月ごとに管轄の地方出入国在留管理局に報告書を提出する義務があります。対象期間中に支援対象の特定技能外国人が帰国した場合でも、届出は必要です。
◇ 随時届出
登録事項に変更があった場合(名称、所在地、役員、支援責任者・担当者、対応言語など)、支援業務を休止・廃止・再開する場合、特定技能雇用契約の変更・終了・締結があった場合などには、事由が発生した日から14日以内(支援業務の再開は再開予定日の1ヶ月前)に届出を行う必要があります。
◇ 支援計画の作成・実施
受け入れる特定技能外国人ごとに、日本語と外国人が十分に理解できる言語で1号特定技能外国人支援計画を作成し、その写しを本人に交付しなければなりません。計画に基づき、適切な支援を実施する必要があります。
◇ 費用の負担禁止の遵守
特定技能外国人に支援費用を負担させることは絶対に避けなければなりません。
◇ 受入れ機関との連携
受け入れ企業と密に連携を取り、特定技能外国人の状況を共有しながら支援を進めることが重要です。
◇ 法令遵守
出入国管理及び難民認定法をはじめとする関係法令を遵守し、適正な業務運営を行う必要があります。技能実習制度における改善命令や改善指導を受けている場合は、登録が拒否されることがあります。
◇ 監査・報告義務
出入国在留管理庁長官から、業務に関する報告や帳簿書類の提出・提示、関係者への質問、事業所への立ち入り検査などが求められることがあります。
◇ 登録の取消し事由
上述の登録拒否事由に該当するようになった場合や、法令違反、不正行為などがあった場合、登録が取り消される可能性があります。自らの責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させた場合も同様です。
まとめ
登録支援機関は、特定技能外国人が日本で安心して働き生活するための重要な架け橋となる存在です。登録には厳しい要件が求められますが、責任とやりがいのある仕事です。万全の準備を整えて登録を目指してください。
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