定住者ビザの取得条件と事例

定住者ビザは、法務大臣が個別の事情を考慮し、一定期間の居住を認める在留資格です。このビザには、告示で定められた要件(告示定住)と、告示にはない特別な事情が考慮される場合(告示外定住)があります。

定住者ビザの種類

◇ 告示定住者
法務大臣が告示により定めた類型で、主に日系人が該当します。

◇ 告示外定住者
告示に定められていないものの、特別な事情により定住が認められるケースです。

告示定住の要件と事例

告示定住は、出入国管理及び難民認定法(法務省告示第百三十二号)に定められています。

日系2世・3世

◇ 要件
素行が善良であること。

◇ 日系2世
元日本人の親が国籍を離脱後に生まれた子。

◇ 日系3世
日本人の孫にあたる人。祖父母(日系1世)が日本国籍を離脱する前に生まれた父母(日系2世)の子も該当します。

◇ 必要書類
祖父母の戸籍謄本または除籍謄本、婚姻届受理証明書、出生届受理証明書などが必要です。

日本人の配偶者等の離婚・死別後の定住

◇ 要件
•3年以上の婚姻実績

•独立して生計を立てられる資産や技能

•素行が善良であること

•告示外定住の場合、日常生活に不自由しない程度の日本語能力を有していること

◇ 事例
日本人と結婚後、離婚または死別した場合に、引き続き日本に在留を希望するケース。

日本人の実子を扶養する

◇ 要件
•実子の親権者であること。

•相当期間にわたり実子を監護・養育していた事実。

◇ 事例
日本人の実子を日本で育てている場合。

永住者、定住者等の扶養を受ける未成年・未婚の実子

◇ 要件
扶養者の扶養を受けて生活すること。未成年で未婚であること。

◇ 必要書類
扶養者の在職証明書や所得証明書などが必要です。

6歳未満の養子

◇ 要件
日本人、永住者、定住者、特別永住者の扶養を受けて生活すること。

◇ 必要書類
扶養者の在職証明書、確定申告書などが必要です。

告示外定住の要件と事例

告示外定住は、個別の事情に応じて判断されるため、明確な要件は定められていません。

離婚・死別後の定住

◇ 事例
日本人や永住者と離婚または死別後、引き続き日本での在留を希望するケース。

◇ 必要書類
申請理由書、出生証明書、離婚届記載事項証明書、履歴書などが必要です。

日本人との間の子を養育

◇ 事例
日本人との間に生まれた子を親権者として養育している場合。

家庭内暴力(DV)被害者

◇ 事例
日本人との婚姻が事実上破綻し、DV被害を受けている場合。

定住者ビザ申請の流れ

1.必要書類の準備
申請の種類(認定、変更、更新)に応じて必要な書類を収集します。

2.申請
居住地を管轄する地方出入国在留管理局に申請書類を提出します。

3.審査
提出された書類に基づいて審査が行われます。

4.結果の通知
審査結果が通知されます。

5.手数料の支払い
在留資格変更許可申請の場合は、許可時に手数料が必要です。

定住者ビザ申請のポイント

在留資格「定住者」ビザの申請には、法務大臣が個々の外国人の特別な理由を考慮して居住を認めるという性質から、様々な状況に応じた要件があります。永住者ビザとは異なり、定住者ビザには6ヶ月、1年、3年、5年などの在留期間が設定されており、期限ごとの更新が必要です。申請が認められるかどうかは、提出された資料に基づいて総合的に判断されます。定住者ビザ申請において特に重視される主なポイントを以下にまとめます。

ポイント詳細
申請類型と対象者・定住者ビザは、出入国管理及び難民認定法で定められた告示に該当するケース(日系人、中国残留邦人、一定の難民、扶養を受ける未成年・未婚の実子など)と、告示に該当しない特別な事情があるケース(日本人等と離婚・死別した配偶者、日本人の実子を養育する親など)に分類されます。

・告示外定住者の申請は、原則としてすでに日本に滞在している人が対象となります。
素行が善良であること・日本の法令を遵守し、平穏に生活しているかが審査されます。

・過去に法令違反による懲役、禁錮、罰金などの刑罰を受けていないことが求められます。

・軽微な違反であっても、繰り返している場合は素行善良と認められない可能性があります。
独立生計能力・日本で自立して生活を継続できる十分な収入や資産があるかが審査されます。

・一般的に、年収250万円〜300万円程度以上が一つの目安とされますが、家族構成や世帯収入なども含めて総合的に判断されます。

・生活保護を受けていないことも重要です。

・無職の場合は、学歴、職歴、資格、または資産で生計維持能力を証明する必要があります。
日本の国益への適合・納税義務、公的医療保険や公的年金の保険料納付など、公的な義務を適切に履行していることが重要です。

・定住者として引き続き日本に在留している期間も考慮されます(告示定住者の場合、通常5年以上が目安とされることもありますが、特定の類型や告示外では異なります)。
特定の事情の証明・定住者として申請する根拠となる特別な理由や事情(日系人であること、離婚・死別、子の監護・養育など)を、添付する証明書類(戸籍謄本、出生証明書、離婚届記載事項証明書、収入証明書など)を用いて具体的に、かつ記載内容に矛盾がないように証明する必要があります。

・添付書類が偽造や変造でない正規のものであることも極めて重要です。

・告示外定住者の場合は、日常生活に不自由しない程度の日本語能力も考慮されることがあります。

これらのポイントに加え、提出書類が外国語の場合は日本語訳を添付する必要があります。
また、提出書類は原則として返却されないため、再入手が困難な原本の返却を希望する場合は申請時に申し出る必要があります。

定住者から永住者への変更

定住者から永住者への変更も可能です。永住者の要件は以下の通りです。

◇ 素行善良
法律違反や犯罪行為による処罰歴がないこと。

◇ 独立生計
安定した収入があること(年収250〜300万円程度が目安)。

◇ 国益適合

•定住者として5年以上日本に在留していること。

•納税義務を果たし、法律を遵守していること。

•最長の在留期間(通常は5年、実務上は3年でも認められる)で在留していること。

•公衆衛生上有害となるおそれがないこと。

注意点

◇ 在留期間
定住者には在留期間があり、更新が必要です。

◇ 身分変動
離婚や死別など身分関係に変動があった場合、在留資格に影響が出る可能性があります。

◇ 就労制限
定住者は就労制限がなく、自由に仕事を選ぶことができます。

まとめ

この記事では、定住者ビザの取得条件と事例について解説しました。申請を検討している方は、ご自身の状況に合わせて必要な書類や手続きを確認してください。

参考:身分系ビザ(配偶者|定住者|永住者)説明動画

ビザ申請の概要や注意点を動画でわかりやすくご紹介します。

配偶者ビザ

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定住者ビザ

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・永住許可を得るための要件

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