経営管理ビザの在留期間

在留資格「経営・管理」は、経営者(社長・取締役・監査役など)、管理者(部長・支店長・工場長など)のための在留資格(ビザ)です。特定技能「外食業」などのビザを保有している外国人の料理人の方が、独立開業して飲食店を経営するためには、「経営管理ビザ」の取得が求められます。近年ではAirbnbという仲介サイトを通じてサービスを提供するビジネスモデルが一般化してきていることから、民泊事業を行いたいと考える外国人の「経営管理ビザ」の申請も増えています。
経営管理ビザには、「3ヶ月または4ヶ月」「6ヶ月」「1年」「3年」「5年」の5つの在留期間があります。
この期間は、申請者の経営状況や事業の安定性、雇用状況などに基づいて決定されます。
初めての申請や新規事業の場合は、1年のビザが与えられることが多く、その後の更新で3年や5年のビザを取得できる可能性があります。
なお、2015年の入管法改正により、入国後に法人登記の手続きなどを行えるよう4ヶ月の在留期間が設けられています。在留期間が3ヶ月を超えることから、経営管理ビザの在留資格で在留カードが発行されます。これにより住民登録が可能となり、個人名義の銀行口座を開設することも可能です(ただし、4か月の経営管理ビザで銀行口座を開設できる金融機関は限られているため、すべての金融機関で口座開設できるわけではない点には注意が必要)。
👉初回申請時は1年が付与されることが多く、事業の安定性などにより更新で3年や5年のビザを取得できる可能性があります
経営管理ビザの許可要件

「経営・管理」の許可要件は、下記の「在留資格該当性」と「上陸許可基準適合性」の2つです。
在留資格の変更・更新の場合は、変更・更新を適当と認めるに足りる相当の理由(相当性)も含めた3つです。
在留資格該当性

在留資格該当性とは、行おうとする活動がその在留資格に該当するかどうかで以下を満たす必要があります(出入国管理及び難民認定法 別表第1の2の表)。
①事業の「経営」または「管理」業務を行うこと
②事業が適正に行われること
③事業が安定的・継続的に行われること
経営管理ビザでは、③の事業の安定性・継続性が特に厳しく求められます。
新規事業では、事業計画書によってその事業が将来に渡って安定・継続的に利益を出すことを立証するので、事業計画書の出来の良し悪しが経営管理ビザの許可・不許可を左右します。
👉在留資格該当性とは、事業の経営・管理業務を日本で適正かつ安定的・継続的に行うことが求められます
上陸許可基準適合性

上陸許可基準適合性とは、その在留資格について求められる基準に適合しているかどうかで以下を満たす必要があります(出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令)。
経営管理ビザの許可基準は、質の高い起業家を誘致するため、2025年10月16日より大幅に厳格化されました。
主な必須要件(項目別)は以下の通りです。
◇ 資本金・事業規模(第2号ロ)
3,000万円以上 の資本金または出資総額が必要です。単なる金額だけでなく、その資金源の正当性も厳しく審査されます。
◇ 常勤職員の雇用(第2号イ)
1人以上の常勤職員 の雇用が必須です(対象は日本人、永住者等に限定)。
◇ 経歴・学歴(第4号)
経営管理の経験3年以上、または関連分野の修士相当以上の学位が必要です。
◇ 日本語能力(第3号)
申請者または常勤職員のいずれかがN2相当以上(B2相当)の日本語能力を有することが求められます。
◇ 事業計画の確認
新規事業計画について、中小企業診断士、公認会計士、税理士といった専門家による確認が義務となります。
◇ 事業所の確保
2025年10月16日施行の改正では、資本金3,000万円や常勤職員1名という規模に応じ、独立した事業所の確保が必須です。事業の実体と継続性を担保するため、事業実体がない自宅兼事務所は原則不可とされます。これは、ペーパーカンパニーによる不正取得を防ぐ狙いです。
👉経営管理ビザは、2025年10月16日より厳格化されました。資本金3,000万円以上、常勤職員1名以上の雇用に加え、専門家の事業計画確認、経営経験/学歴、日本語能力(N2相当)が必須要件です
相当性

在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請は、上述二つに加えて、以下の相当性が考慮されます。法務大臣は、外国人が提出した文書により、在留資格の変更・在留期間更新を適当と認めるに足りる「相当の理由」があるときに限り許可することができ、判断にあたっては下記の事項等を総合的に考慮して判断します(在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン:出入国在留管理庁)。
①行おうとする活動が申請に係る入管法別表に掲げる在留資格に該当すること
②法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること
③現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと
④素行が不良でないこと
⑤独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
⑥雇用・労働条件が適正であること
⑦納税義務等を履行していること
⑧入管法に定める届出等の義務を履行していること
👉経営管理ビザの相当性とは、在留資格変更・更新時、事業の安定性・継続性、納税義務履行、素行不良でないかといった、変更・更新を適当と認めるに足りる相当の理由が求められる要件です
まとめ
「経営管理ビザ」は学歴や実務経験を問われない為、多くの方に取得のチャンスがあります。その反面審査は厳しく、また必要な手続きが多いことによって難しい一面もあります。会社の設立・税務署への届出・許認可申請など事前に準備すべきことも多いです。
名古屋市のOSAHIRO行政書士事務所は外国人のビザ申請をサポートしています。ご依頼・ご相談などお気軽にお問い合わせください(初回面談は無料です)。
ご参考:経営管理ビザの説明動画
ビザ申請の概要や注意点を動画でわかりやすくご紹介します。





