特定技能1号の外国人を受け入れる場合、受入れ企業は「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、法令に基づいた支援を実施する必要があります。本記事では、特定技能の支援計画書の作成方法、義務的支援の10項目、登録支援機関への委託、自社支援、支援に必要な費用など、受入れ企業が知っておきたいポイントを解説します。
1号特定技能外国人支援計画とは?

1号特定技能外国人支援計画とは、1号特定技能外国人が日本で円滑に活動できるよう、受入れ機関が作成・実施する支援計画のことです。この計画の作成は法律で義務付けられており、在留資格認定証明書交付申請や在留資格変更許可申請の際に、出入国在留管理局に提出する必要があります。
支援計画の目的
支援計画は、1号特定技能外国人が日本での生活にスムーズに適応し、在留資格に基づく活動を円滑に行えるようにすることを目的としています。多くの1号特定技能外国人は日本での生活や文化に不慣れなため、日常生活における不安を取り除くことが重要です。
支援の種類

受け入れ機関が行う支援には、義務的支援と任意的支援の2種類があります。義務的支援は必ず実施しなければならないもので、支援計画書に全ての義務的支援を記載する必要があります。任意的支援は、義務的支援に加えて実施することが望ましいとされています。
義務的支援の10項目
1号特定技能外国人支援計画書には、以下の10項目の作成が義務付けられています。
◇ 事前ガイダンス
雇用契約や活動内容、入国・在留に関する説明
•労働条件、活動内容、入国手続き、保証金徴収の有無などを説明
•対面またはテレビ電話等により実施
•外国人が十分に理解できる言語で実施
•在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請の前に実施
◇ 出入国時の送迎
入国時は空港等から事業所や住居へ、帰国時は空港の保安検査場まで送迎
•公共交通機関の利用が推奨。
◇ 住居確保・生活に必要な契約支援
住居の確保、銀行口座開設、携帯電話契約などの支援
•不動産仲介事業者や賃貸物件に関する情報提供、内覧の同行など
•居室の床面積は1人あたり7.5平方メートル以上
◇ 生活オリエンテーション
日本のルールやマナー、公共機関の利用方法、災害時の対応などを説明
•入国後または在留許可後に行う
•外国人生活支援ポータルサイトや生活・仕事ガイドブックを活用
•8時間程度の時間を確保
◇ 公的手続きの支援
官公署への届け出に必要な手続きの同行
•国民健康保険や国民年金に関する手続きの同行
◇ 日本語学習の機会の提供
日本語教室の案内、学習教材の情報提供など
•日本語能力に応じた継続的な支援が必要
◇ 苦情・相談への対応
職業、日常生活、社会生活に関する相談や苦情に適切に対応
•相談内容に応じた助言や指導を行う
◇ 日本人との交流促進
地域住民との交流の場に関する情報提供、自治会等の案内
◇ 転職支援
人員整理や倒産等による離職の場合、次の受入先に関する情報提供や職業紹介
•求職活動のための有給休暇を付与
◇ 定期的な面談・行政機関への通報
3か月に1回以上、外国人本人とその上司との面談を実施し、労働基準法違反等があった場合は通報
•外国人の生活状況や労働状況などを確認
•出入国・労働関係法令に違反する事実を知った場合は、関係行政機関へ通報
•面談対象者の同意がある場合は、一定の条件のもとオンライン会議システム等による面談も可能
任意的支援の例
上記の義務的支援に加えて、以下の任意的支援を行うことも可能です。
◇ 入国時の日本の気候、服装に関する情報提供
◇ 雇用契約解除後の住居の確保
◇ 日本語能力試験(JLPT)の受験支援
◇ 日本語授業の受講料補助
◇ 資格取得者への優遇措置
◇ 交流イベントへ参加しやすいように有給休暇を付与
支援計画の実施方法
支援計画の実施方法としては、登録支援機関への委託と自社での内製化の2つがあります。
登録支援機関への委託
登録支援機関とは、受入れ企業の代わりに特定技能外国人の支援項目を実施する機関のことです。
◇ メリット
自社の工数削減
◇ デメリット
登録支援機関への支援委託費用が発生
自社での内製化
登録支援機関を利用せずに、自社で1号特定技能外国人支援計画を実施することも可能です。
◇ メリット
支援費用が発生しないため、ランニングコストを抑えることが可能
◇ デメリット
入管法や労働法に関する知識の習得が必要
支援に必要な費用
1号特定技能外国人への義務的支援に必要な費用は、受入れ企業等が負担し、外国人本人に直接または間接的に負担させることはできません。
◇ 義務的支援に必要な費用
事前ガイダンスや生活オリエンテーション、相談・苦情対応、定期的な面談などで必要となる通訳費や、出入国時の送迎に必要な交通費などは、外国人本人に負担させることはできません。
◇ 登録支援機関へ委託する場合
登録支援機関へ支援の全部を委託する場合の委託費用についても、外国人本人に負担させることはできません。
委託費用は登録支援機関や支援内容によって異なるため、受入れ前に確認しておくことが大切です。
◇ 住居費などの取扱い
支援に関係するすべての費用を受入れ企業が負担するわけではありません。
例えば、外国人が居住する住宅の家賃などについては、実費相当額など適正な範囲で外国人本人に負担してもらうことができます。
登録支援機関に支援計画の全部の実施を委託する場合の注意点

受入れ機関が支援計画の全部の実施を登録支援機関に委託する場合には、以下の点に注意する必要があります。
◇ 1号特定技能外国人支援計画書に当該機関の情報を記載する必要があります。
◇ 登録支援機関の登録番号、登録年月日、名称、住所、支援を行う事務所の所在地などを記載。
◇ 支援責任者、支援担当者の氏名や役職を記載。
◇ 支援対象者が複数名おり、支援内容が同一の場合には、1人目の本計画書に加えて、任意の名簿を提出することで、全員分の本計画書を提出しなくても差し支えありません。
◇ 登録支援機関において、支援の再委託を行うことはできません。
◇ 支援計画は、日本語及び外国人が十分理解できる言語により作成し、外国人にその写しを交付する必要があります。
◇ 登録支援機関に支援を全部委託する場合は、委託契約の内容等を明確にする必要があります。
届出

受入れ機関は、以下の事項について出入国在留管理庁への届出が必要です。
◇ 特定技能雇用契約の変更、終了、新たな契約の締結に関する届出
◇ 支援計画の変更に関する届出
◇ 登録支援機関との支援委託契約の締結、変更、終了に関する届出
◇ 特定技能外国人の受入れ困難時の届出
◇ 出入国又は労働関係法令に関する不正行為等を知ったときの届出
◇ 特定技能外国人の受入れ状況に関する届出
◇ 支援計画の実施状況に関する届出
◇ 特定技能外国人の活動状況に関する届出
これらの届出を怠ると、外国人を受け入れられなくなるほか、出入国在留管理庁から指導、改善命令等を受けることがあります。
まとめ
特定技能1号外国人を受け入れる場合、受入れ企業は、外国人が日本で安定して働き、生活できるよう「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、必要な支援を実施する必要があります。
支援計画書には、事前ガイダンス、出入国時の送迎、住居確保・生活に必要な契約の支援、生活オリエンテーション、日本語学習の機会の提供、相談・苦情への対応、定期的な面談など、法令で定められた支援内容を具体的に記載します。
また、自社で支援を行う場合と登録支援機関へ委託する場合では、申請時に確認する内容や必要書類も異なります。記載内容に不備があると、追加資料を求められるなど審査に影響する可能性もあるため、受入れ体制や実際の支援方法と整合するよう、申請前に十分確認して作成することが大切です。
3問クイズにチャレンジ!
特定技能の支援計画について、3問のクイズに挑戦してみましょう!
1号特定技能外国人の支援を登録支援機関へ全部委託した場合、 その登録支援機関が受託した支援業務について、 正しいものはどれでしょうか?
正解は「別の登録支援機関へ再委託することはできない」です。
登録支援機関は、受入れ企業から委託を受けた支援業務を 自ら行う必要があり、受託した支援業務を別の機関へ再委託することはできません。
ただし、支援を実施する際に、通訳人などを履行補助者として活用することは可能です。
また、支援計画の全部の実施を委託する場合、その全部を複数の登録支援機関に 分けて委託することもできないため、注意が必要です。
1号特定技能外国人に対する定期的な面談について、 原則として正しいものはどれでしょうか?
正解は「3か月に1回以上、外国人本人とその監督者それぞれと面談する」です。
1号特定技能外国人への支援では、 3か月に1回以上、外国人本人と、その外国人を監督する立場にある者のそれぞれと面談 することが求められています。
定期的な面談では、外国人の生活状況や労働状況などを確認します。 また、出入国・労働関係法令に違反する事実を知った場合には、 関係行政機関への通報など必要な対応を行います。
なお、現在は、面談対象者の同意がある場合には、 一定の条件のもとオンライン会議システム等による面談も認められています。
1号特定技能外国人に対する「義務的支援」に必要な費用について、 正しいものはどれでしょうか?
正解は「受入れ企業等が負担し、外国人本人に負担させない」です。
1号特定技能外国人に対する 義務的支援に必要な費用を、外国人本人に直接または間接的に負担させることはできません。
例えば、事前ガイダンスや生活オリエンテーション、相談・苦情対応、 定期的な面談などで必要となる通訳費や、 出入国時の送迎に必要な交通費などが該当します。
また、登録支援機関へ支援を委託する場合の委託費用についても、 外国人本人に負担させることはできません。
一方、住居の家賃などについては、 実費相当額など適正な範囲で外国人本人に負担してもらうことができます。
クイズへの挑戦、ありがとうございました!
特定技能外国人の受入れや在留資格申請で少しでも不安を感じたら、専門家にご相談ください。
あなたの想いを未来へ繋ぐお手伝いをします。
専門家(行政書士)に相談する名古屋市のOSAHIRO行政書士事務所では、名古屋市・愛知県・岐阜県・三重県を中心に、特定技能の在留資格申請をサポートしています。海外から特定技能外国人を採用する場合の在留資格認定証明書交付申請(COE)をはじめ、在留資格変更、在留期間更新、特定技能2号への変更など、受入れ企業の状況に応じて必要な手続きや申請の進め方をご案内します。ご依頼をご検討の企業様は、上記よりお問い合わせください(初回面談は無料です)。
ご参考
特定技能|関連記事
「OSAHIROブログ」では、特定技能外国人の採用や在留資格申請、受入れ手続きなどに関する情報を詳しくご紹介しています。
特定技能外国人の採用・ビザ申請
受入れ企業・登録支援機関
・登録支援機関になるには?|登録要件・必要書類・申請方法を解説
特定技能|分野別
・特定技能「介護」とは?:二国間協定、特定技能協議会の手続き
変更・更新・転職等
・「技能実習」と「特定技能」の転職における条件と注意点を解説!
・特定技能ビザから留学ビザへの変更|手続き、要件、注意点を徹底解説!
特定技能チャンネル(動画)
YouTube「ビザ申請チャンネル by OSAHIRO行政書士事務所」では、特定技能外国人の採用やビザ申請のポイントを動画でわかりやすくご紹介しています。