
日本で会社経営を行う外国籍の方が、引き続き日本に在留するために必要な経営管理ビザの更新。しかし、他のビザと比較して審査が厳しいと言われています。経営管理ビザの更新のポイントについて、分かりやすく解説します。
経営管理ビザ更新の主な条件
経営管理ビザの更新には、新規取得時と同様の要件が求められます。主な条件は以下の3点です。
条件 | 内容 |
申請者個人の適正 | ◇ 日本の税金(所得税、法人税、住民税など)をきちんと納めていること。 ◇ 各種必要な届出(住所変更など)を提出していること。 ◇ 従業員がいる場合は社会保険への加入手続きや保険料の納付を行っていること。 |
事業者としての義務の履行 | ◇ 事業所が適切に確保されていること(短期間の契約や仮設の場所ではない、事業目的の使用であること)。 ◇ 会社として日本の国税・地方税を滞りなく納めていること。 ◇ 従業員を雇用している場合は、社会保険への適切な加入や労働関係法令の遵守など、事業者が負うべき義務を履行していること。 ◇ 一人会社であっても、社長が会社から報酬を得ていれば社会保険加入義務が発生する場合があり、未加入はマイナス評価となる可能性があります。 |
事業の継続性 | ◇ 安定した売上があり、黒字決算であることが望ましい。ただし、初年度の赤字は必ずしも不利になるとは限りません。 ◇ 直近の決算で債務超過(会社の負債総額が資産総額を超える状態)になっていないこと。 ◇ 債務超過が1年以上継続している場合は、原則として事業の継続性がないと判断されます。 ◇ 赤字や債務超過の場合でも、具体的な改善の見込みや事業計画を示すことで更新が認められる可能性があります。 ◇ 2期連続で売上総利益がない場合も、原則として事業の継続性がないと判断されます。 |
経営管理ビザ更新の必要書類(一般的なカテゴリー3の場合)
更新に必要な書類は、申請者の状況によって異なりますが、ここでは一般的な株式会社のカテゴリー3に該当する場合の主な書類を記載します。
◇ 在留期間更新許可申請書 (法務省・入国管理局のHPからダウンロード可能)
◇ 顔写真 (3ヶ月以内に撮影、縦4cm×横3cm)
◇ パスポート及び在留カードの提示
◇ 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
◇ 直近年度の決算書の写し (損益計算書、貸借対照表、株主資本等変動計算書など)
◇ 住民税の課税(または非課税)証明書及び納税証明書 (申請者個人のもの)
◇ 会社(法人)の納税証明書 (法人税、法人事業税、法人住民税など)
◇ 更新申請をする理由書 (今後の事業の見通しや展望などを具体的に記述)
◇ 会社名義の銀行口座通帳のコピー
◇ 事業活動に必要な許可証のコピー (許認可が必要な業種の場合)
<注意点>
上記は一般的な書類であり、状況によっては追加書類の提出が求められることがあります。例えば、事務所を移転した場合、役員報酬を上げた場合、従業員が増えた場合、直近の決算で債務超過になっている場合などです。
経営管理ビザ更新における注意点
◇ 事業計画書の重要性
特に事業の継続性が懸念される場合(赤字決算など)は、具体的かつ実現可能性の高い事業計画書 を作成・提出することが重要です。
◇ 日本での滞在日数
1年の間で、日本に滞在する日数が日本以外の国で滞在する日数より少ない場合、更新が難しくなることがあります。
◇ 社会保険への加入
株式会社の場合、従業員が1名でもいれば社会保険加入義務が生じます。社長1人の会社でも、報酬を得ていれば加入義務があります。未加入はマイナス評価となります。
◇ 事務所の独立性
事業所は事業活動を行うための独立したスペースである必要があり、住居用との明確な区分が必要です。バーチャルオフィスやシェアオフィスで明確に区画されていない場合も不許可になることがあります。
◇ 会社名義の銀行口座
事業に関する金銭管理は、原則として会社名義の銀行口座で行う必要があります。
◇ 登記情報の更新
会社の本店所在地や代表取締役の住所に変更があった場合は、速やかに登記変更を行う必要があります。在留カードの住所も最新の情報に更新しましょう。
◇ 必要な許認可の取得
事業に必要な許認可は、必ず会社名義で取得しておく必要があります。
◇ 役員報酬
役員報酬が極端に低い場合、事業の実態がないとみなされる可能性があります。月額20万円以上を目安とすると良いでしょう。
経営管理ビザが不許可になる主な理由
不許可理由 | 具体的な状況 |
経営管理ビザの要件を満たしていない | ・資本金の出所が不明 ・常勤職員の雇用または500万円以上の投資がない ・事業計画の実現可能性が低い ・実質的に経営を行っていない ・事務所が適切に設置されていない |
事業の安定性・継続性が認められない | ・直近の決算で債務超過 ・2期連続で売上総利益がない ・売上が極端に少ない |
申請内容の立証・説明が不十分 | ・資本金の形成過程の説明不足 ・事務所の実態の説明不足 ・事業の安定性/継続性の立証不足 |
書類の不備・矛盾 | ・必要書類の不足 ・申請書への誤った記載や説明不足 ・以前の申請内容との矛盾 |
現在有する在留資格での滞在状況が不良 | ・刑事処分を受けた ・不法就労をあっせんした ・資格外活動許可を得ずに就労した、または許可時間を超過して就労した ・過去に申請した書類に虚偽があった ・留学生の場合、在学中の成績や出席率が不良である |
申請者本人の問題 | ・長期間海外に滞在し、日本での居住実態がないと判断された場合 ・納税義務を履行していない場合 |
経営管理ビザが不許可になった場合の再申請のポイント
◇ 不許可理由の徹底的な確認
まずは申請先の入国管理局へ出向き、審査官から直接不許可の理由を詳しく確認することが最も重要です。不許可通知書には具体的な理由が記載されていないことが多いため、必ず面談を申し込みましょう。
◇ 不許可理由の正確な把握
審査官に不許可理由を聞く際は、感情的にならず冷静に情報を収集する姿勢が大切です。不許可理由は一つとは限らないため、複数の理由がないか確認しましょう。
◇ 再申請の可能性の確認
不許可理由を確認する際に、再申請が可能かどうか、また、どのような点を修正すれば許可の見込みがあるかについて、審査官の見解を聞くことも重要です。
◇ 前回申請との矛盾を避ける
再申請を行う際は、前回の申請内容との矛盾がないように注意が必要です。矛盾がある場合は、その理由を明確に説明する必要があります。
◇ 状況の改善と新たな証拠の準備
不許可理由を踏まえ、問題点を解消し、必要な書類を再度整え、新たな証拠資料を準備します。
◇ 安易な再申請は避ける
不許可理由を十分に把握し、改善策を講じないまま前回と同じ内容で再申請しても、再び不許可になる可能性が高いです。
経営管理ビザの在留期間を長くするためのポイント(3年以上のビザ取得)
◇ 安定した事業運営
2期以上連続で黒字決算を維持する など、安定した事業運営の実績を示すことが重要です。一定以上の売上を継続することも目安となります。
◇ 債務超過や欠損金がない状態
直近2年間、債務超過がなく、欠損金もない(黒字)状態が望ましいです。
◇ 従業員の雇用
従業員を雇用し、雇用保険適用事業所番号を取得していることは、事業の安定性を示す要素となります。
◇ 適切な役員報酬
経営者として適切な役員報酬を受け取っていることも、安定した事業継続の証明になります。
◇ 中長期の事業計画
今後3年程度の具体的な事業計画を作成し、提出することで、事業の継続性を示すことができます。
◇ 更新理由書の作成
更新理由書に、具体的な経営活動の内容、安定した取引先の情報、今後の事業計画、流動比率などを記載し、長期の在留期間が必要な理由を丁寧に説明することが有効です。
◇ 税金・社会保険料の適正な納付
納税や社会保険料の納付を滞りなく行うことは、信頼性を高める上で重要です。
まとめ
経営管理ビザの更新は、入念な準備と正しい理解が不可欠です。本記事を参考に、ご自身の状況に合わせて必要な対策を講じ、スムーズなビザ更新を目指してください。
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