
近年、日本では深刻な人手不足が社会問題となっており、特にビルクリーニング業界においてもその影響は顕著です。このような状況を背景に、一定の専門性・技能を有する外国人を即戦力として受け入れるための在留資格「特定技能」が創設されました。本記事では、特定技能の中でも「ビルクリーニング」分野に焦点を当て、制度の概要から採用方法、注意点までをわかりやすく解説します。
特定技能「ビルクリーニング」とは?
特定技能「ビルクリーニング」とは、人手不足が深刻なビルクリーニング分野において、一定の技能を有する外国人が就労するための在留資格です。これにより、オフィスビル、商業施設、ホテル、病院など、不特定多数の人が利用する建築物の清掃業務に従事することが可能になります。
特定技能には、技能レベルに応じて「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があります。
特定技能1号 | 特定技能2号 | |
目的 | 人手不足の解消 | 日本人と共に業界を維持・発展させる高度人材の育成 |
技能水準 | 相当程度の知識又は経験を必要とする技能(第2号技能実習修了相当) | 熟練した技能(技能検定1級と同等以上) |
業務内容 | 建築物内部の清掃(日常清掃、定期清掃、客室整備など) | 建築物内部の清掃に加え、複数の作業員を指導・管理する業務、業務計画の作成、進行管理などのマネジメント業務 |
在留期間 | 通算で上限5年 | 更新回数に制限なし |
家族帯同 | 原則不可 | 可能 |
取得要件 | ・試験合格(技能試験・日本語試験) 又は ・技能実習2号を良好に修了(試験免除) | ・ビルクリーニング分野特定技能2号評価試験に合格 又は ・建築物(住宅を除く)内部の清掃における現場管理の実務経験2年以上 (試験時に確認) |
関連業務例 | ベッドメイク、資機材の運搬・整備、植栽管理など(付随的な場合に限る) | 特定技能1号の関連業務に加え、清掃作業監督者の業務 |
特定技能「ビルクリーニング」1号の取得方法
特定技能1号の資格を得るには、主に以下の2つのルートがあります。
試験合格ルート
以下の2つの試験に合格する必要があります。
◇ ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験(技能試験)
〈水準〉
ビルクリーニング職種・作業の第2号技能実習修了相当
〈試験科目〉
「作業の段取り」、「器具の使用」、「資材の使用」、「機械の使用」、「各部位の清掃」、「各場所の清掃」、「廃棄物処理作業」、「資機材の整備」
〈具体例〉
床の掃き拭き、トイレ清掃、掃除機やポリッシャーの操作、洗剤の適切な使用など
◇ 日本語能力試験
以下のいずれかの試験に合格する必要があります。
〈日本語能力試験(JLPT)〉N4以上
〈国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)〉A2レベル相当以上
技能実習2号からの移行ルート
ビルクリーニング分野の技能実習2号を良好に修了した外国人は、上記の試験が免除され、特定技能1号への移行が可能です。
◇ 注意点
ビルクリーニング分野以外の技能実習2号を修了している場合は、日本語試験は免除されますが、ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験に合格する必要があります。
特定技能「ビルクリーニング」2号の取得方法
特定技能2号の資格を得るには、以下の要件を満たす必要があります。
◇ ビルクリーニング分野特定技能2号評価試験に合格する
〈水準〉
技能検定1級と同等の熟練した技能
〈試験科目〉
ビルクリーニングに関する現場責任者として必要な知識・技能(学科試験、実技試験)
〈具体例〉
清掃方法の判断、作業指示、品質管理、緊急対応など
◇ 建築物(住宅を除く)内部の清掃において、複数の作業員を指導しながら従事し、現場を管理する者としての実務経験を2年以上有する
この実務経験は試験時に確認されます。
〈注意点〉
特定技能2号は、より高度な技能と管理能力が求められるため、1号と比較して取得のハードルが高く設定されています。
外国人材の採用と受け入れの注意点
特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)は、以下の点に注意する必要があります。
◇ 事業所の登録
特定技能外国人を雇用する事業所は、「建築物清掃業」または「建築物環境衛生総合管理業」の登録を受けている必要があります。この登録は事業所ごとに必要であり、都道府県知事が行います。
◇ 直接雇用
特定技能外国人の雇用形態は直接雇用に限られています。派遣雇用は認められていません。
◇ 職務内容
従事させる業務は、厚生労働省が定める職務記述書に適合している必要があります。関連業務に従事させる場合でも、主たる業務と合わせて行う必要があり、関連業務のみに従事させることはできません。
〈具体例〉
客室清掃を主に行う特定技能1号外国人に、付随的にベッドメイキングやアメニティの補充をさせることは可能です。しかし、ベッドメイキングのみを継続的に行わせることは認められません。
◇ 支援体制
特定技能外国人が日本で安定して就労・生活できるよう、住居の確保、生活オリエンテーション、各種行政手続きの支援、日本語学習の機会の提供など、適切な支援体制を整備する必要があります。これらの支援は、自社で行うか、登録支援機関に委託することができます。
◇ 協議会への加入
特定技能外国人を受け入れる前に、ビルクリーニング分野特定技能協議会に加入することが義務付けられています。加入後も、協議会の行う調査や指導に協力する必要があります。在留資格の申請時には、協議会の構成員であることの証明書の提出が必要になります。
◇ 労働条件
賃金などの労働条件は、日本人と同等以上である必要があります。
◇ 外国人材への配慮
言葉や文化の違いに配慮し、円滑なコミュニケーションを図ることが重要です。
その他の注意点
◇ 留学生のアルバイト
留学生が特定技能への変更を検討する場合、アルバイトは週28時間以内というルールを守る必要があります。
◇ 卒業証明書
留学生が特定技能へ在留資格を変更する際には、学校の卒業証明書が必須です。
◇ 一時帰国
外国人労働者の一時帰国希望については、企業の業務に支障のない範囲で配慮することも、長期的な雇用維持には重要です。
まとめ
特定技能「ビルクリーニング」は、人手不足に悩むビルクリーニング業界にとって、貴重な人材確保の手段となります。制度を正しく理解し、必要な準備をしっかりと行うことで、外国人材のスムーズな受け入れと、長期的な人材確保と活躍に繋がります。
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