人手不足の解消に向けて、即戦力となる外国人材を雇用できる「特定技能ビザ」の活用を検討する企業様が増えています。しかし、その申請手続きは非常に複雑で、用意する書類も多岐にわたるため、実務の進め方に悩まれる担当者様も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、国内での資格変更や海外からの呼び寄せなど、ケース別における「特定技能1号ビザ申請」の具体的な流れや必要書類、実務上の注意点を説明いたします。
特定技能1号手続きの概要

特定技能1号ビザ(在留資格)の申請手続きは、採用する外国人材が現在どこに住んでいるか、どのような在留資格を有しているかによって主に以下の3つのケースに大別されます。
| 申請手続きの種類 | 対象となる主なケース |
|---|---|
| ① 在留資格変更許可申請 | 日本国内に在留中の外国人(技能実習生、留学生など)を雇用する場合、または特定技能外国人が転職する場合 |
| ② 在留資格認定証明書交付申請(COE) | 海外に在住している外国人を日本に呼び寄せる場合 |
| ③ 在留期間更新許可申請 | 既に特定技能で就労中の外国人の在留期間を延長する場合 |
在留資格変更許可申請:日本国内に在留している外国人を採用する場合

留学生の新規採用や、技能実習生からの変更、同一分野内での「転職」に伴う手続きが該当します。
【実務フロー】
1.要件確認と試験合格(または技能実習修了)
◇ 原則として日本語試験(JLPT N4以上またはJFT-Basic)および分野別の技能測定試験への合格が必要です。
◇ 技能実習2号を良好に修了した外国人は、実習時の職種と特定技能の移行対象分野に関連性がある場合、日本語・技能試験が免除されます。
2.雇用契約の締結
◇ 日本人と同等額以上の報酬を支払うこと、福利厚生や一時帰国への配慮等を明記した雇用契約を締結します。
3.支援計画の策定
◇ 日常生活や職場でのサポートを定めた「1号特定技能外国人支援計画」を作成します。
◇ 令和7年(2025年)4月の省令改正により、支援計画書には地方公共団体が実施する「地域の共生施策」を踏まえた具体的な支援内容を記載することが義務付けられています。
4.事前ガイダンスの実施・健康診断の受診
◇ 契約締結後、申請前に本人が理解できる言語で労働条件や活動内容についてガイダンスを行い、健康診断を受診させます。
5.地方出入国在留管理局へ申請
◇ 必要書類を揃えて管轄の入管へ申請します。
6.許可・就労開始
◇ 新しい在留カード(および雇用企業名が記載された「指定書」)を受領した日から、転職先や移行先での就労が可能です。
許可が下りる前に働かせると不法就労助長罪に問われるため厳禁です。
在留資格認定証明書交付申請|海外から新たに呼び寄せる場合
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海外在住の試験合格者を雇用する場合、または過去に技能実習を終えて帰国した外国人(元実習生)を再雇用する場合のフローです。
【実務フロー】
1.雇用契約の締結・支援計画の策定・事前ガイダンス
◇ 遠隔地との間でも雇用契約を締結し、WEB等で事前ガイダンスを実施します。
2.送出国独自の事前手続き(必要な国のみ)
◇ ベトナム(推薦者表の取得)やタイ、カンボジアなど、二国間取決め(MOC)に基づく送出手続きを事前に済ませます。
3.在留資格認定証明書(COE)の交付申請
◇ 受入れ企業(代理人)が管轄の地方入管へ申請を行います。
4.COE原本の送付と現地でのビザ(査証)申請
◇ 交付されたCOEの原本を海外の本人へ郵送し、本人が現地の日本大使館・領事館でビザ申請を行います。
5.来日・就労開始
◇ ビザ発給から3ヶ月以内に日本へ入国し、住民登録や口座開設、生活立ち上げ支援を経て就労を開始します。
在留期間更新許可申請|在留期限を延長する場合

特定技能1号の在留期間は通算で「上限5年」ですが、一度の申請で付与される在留期間は「1年」「6ヶ月」または「4ヶ月」などです。そのため、在留期限が到来する前に「在留期間更新許可申請」を繰り返す必要があります。
【実務フロー】
1.更新時期の確認と準備着手
◇ 在留期間満了の「3ヶ月前」から更新申請が可能です。審査期間(約2週間〜1ヶ月)を考慮し、余裕を持って準備します。
2.外国人本人の公租公課の未納・遅滞確認
◇ 外国人本人が住民税や国民健康保険、年金などの公的義務を適正に履行しているか(支払遅延や未納がないか)を事前に確認します。
3.申請書類の準備(省略規定の適用)
◇ 更新申請では、前回の申請から企業側の情報(役員や登記事項等)に変更がない場合、提出書類を大幅に省略することができます。
4.地方出入国在留管理局へ申請
◇ 外国人本人または申請取次の行政書士等が、地方入管の窓口またはオンラインシステムにて申請を行います。
5.新しい在留カードの受領
◇ 許可が下りたら、更新された新しい在留カード(および雇用企業名が記載された「指定書」)を受け取ります。
特定技能1号申請・更新に必要な主要書類

特定技能1号の申請・更新書類は、本人(納税証明や試験合格証等)と受入れ企業(登記簿や納税・社保の完納証明等)に分かれます。
最大の留意点は、本人・企業ともに税金や社会保険料などの「公租公課」に1日でも未納や支払遅延がある場合、不許可リスクが極めて高くなる点です。また、公的書類は発行から3ヶ月以内が有効ですが、同一年度内の申請であれば一部書類を省略できます。
外国人本人に関する提出書類
| 提出書類 | 新規変更・認定時 | 更新時 |
|---|---|---|
| 在留資格申請書(特定技能用) | 必須 | 必須(最新の様式を使用) |
| 顔写真(縦4cm×横3cm) | 必須 | 必須(申請前3ヶ月以内に撮影したもの) |
| パスポート・在留カードの写し | 必須 | 必須(提示または写しの提出) |
| 技能試験・日本語試験の合格証明書 | 必須(技能実習2号良好修了者は免除) | 不要(新規在留資格取得時に確認済みのため) |
| 健康診断個人票 & 受診者申告書 | 必須 | 更新時も原則必須(直近に受診したもの) |
| 住民税の課税・納税証明書 | 必須(国内在留者のみ) | 必須(直近1年度分のすべての納付状況を確認) |
| 国民健康保険・年金の納付関係書類 | 場合により必要 | 原則不要(ただし未納や遅滞が疑われる場合は確認対象) |