技人国ビザ(技術・人文知識・国際業務)の概要

在留資格「技術・人文知識・国際業務」(技人国ビザ)は、日本で働く外国人に最もポピュラーな就労在留資格の一つです。このビザは、専門的な知識や経験を活かした業務に従事するために必要とされ、学歴(国内外の大学や日本の専門学校卒業など)または実務経験(「技術」「人文知識」は10年以上、「国際業務」は3年以上)が求められ、業務内容との関連性が必須です。報酬は日本人と同等以上である必要があり、単純作業は認められません。
在留期間は「5年・3年・1年・3ヶ月」のいずれかが付与され、要件を満たす限り更新制限はありません。また企業は規模や安定性等により4つのカテゴリーに区分されます。上場企業等のカテゴリー1・2は信用度が高く書類が簡略化されますが、中小・新設企業の3・4は事業の安定性等の詳細な立証が必要で、審査も慎重に行われます。
| 分野 | 概要 | 業務例 |
| 技術 | 理学、工学その他の自然科学分野に属する技術・知識を要する業務 | システムエンジニア、プログラマー、機械設計者、情報セキュリティ技術者など |
| 人文知識 | 法律学、経済学、社会学その他の人文科学分野に属する技術・知識を要する業務 | 企画、営業、経理、マーケティング、広報、人事など |
| 国際業務 | 外国の文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務 | 通訳、翻訳、語学講師、デザイナー、海外取引業務など |
👉技人国ビザは、理学・工学・人文科学の専門知識や外国の文化に基づく思考・感受性を要する業務に日本で就労するための在留資格です。
在留期間

許可される在留期間の種類
「技人国」ビザで付与される在留期間は、「5年」「3年」「1年」「3ヶ月」の4種類です。 どの期間が与えられるかは法務大臣の裁量によって決定されるため、必ずしも希望通りの期間が許可されるわけではありません。
更新回数の制限について
このビザの最大の特徴は、更新回数に制限がないことです。 要件を満たし続ける限り、何度でも更新して日本で長期間働き続けることが可能です。これは、通算の在留期間が最大5年に制限されている「特定技能1号」とは大きく異なる点です。
在留期間が決定される主な要因
在留期間の長さは、主に以下の要素を総合的に判断して決定されます。
◇ 企業の規模と安定性 上場企業や、前年度の源泉徴収税額が1,500万円以上の企業などの安定した大手企業の場合、初回の申請から長い期間(5年など)が認められやすい傾向にあります。
◇ 日本での就労実績 更新手続きを重ね、日本での就労期間が長くなるほど、より長い在留期間が認められやすくなります。
◇ 初回申請のケース 初めてビザを取得する場合や、転職後の初回更新などの場合は、「1年」の期間が付与されることが一般的です。
◇ 素行と義務の履行状況 税金の滞納がないことや、在留資格に関する届出義務を果たしていることが重要です。過去に犯罪や未納などの問題がある場合は、観察が必要とみなされ、在留期間が短くなることがあります。
技人国ビザの許可要件

本邦の公私の機関との契約に基づいて行う業務で、技人国ビザの取得要件を以下に示します(出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令、出入国在留管理庁ガイドライン)。
| 技術/人文知識 | 国際業務 | |
| 学歴要件/ 実務要件 | 従事しようとする業務に必要な技術または知識に関連し、以下のいずれかを満たしていること。 ◇ 国内外の大学(短大含む)を卒業し、またはこれと同等以上の教育を受けていること。 ◇ 関連科目を専攻し、本邦の専門学校の専門課程を修了(専門士または高度専門士の称号付与要件に適合する場合に限る)していること。 ◇ 関連業務で10年以上の実務経験(大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校の後期課程または専門学校の専門課程において関連科目を専攻した期間を含む)があること。 【特例】 情報処理に関する技術または知識を要する業務に従事する場合で、法務大臣が定める「情報処理技術」に関する試験に合格または資格を有していれば、上記の要件は不要です。 | 翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝、海外取引業務、服飾・室内装飾に係るデザイン、商品開発など、外国の文化に基盤を有する思考または感受性を必要とする業務に従事し、かつ以下のいずれかを満たしていること。 ◇ 関連業務で3年以上の実務経験があること。 ◇ 大学を卒業しており、翻訳、通訳または語学の指導に係る業務に従事する場合、上記の3年以上の実務経験は不要です。 |
| 報酬要件 | 日本人と同等以上 | 日本人と同等以上 |
技術・人文知識
◇ 学歴要件と実務経験はどちらか一方をクリアすればOK。
◇ 大学を卒業するとは「学士、修士、博士、短期大学士」が授与されることです。
◇ 専門学校卒業とは、「専門士」または「高度専門士」の称号が付与されていることです。外国の専門学校は対象となりません。
◇ 「申請人が情報処理に関する技術または知識を要する業務に従事しようとする場合」で、法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する試験に合格し、又は、法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する資格を有しているときには、学歴要件と実務経験は問われません(IT告示)。
👉関連科目を専攻した大学・日本の専門学校卒の学歴か、10年以上の実務経験が必要です。IT資格保有者は学歴・実務経験が不要です。
国際業務

◇ 翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務が対象です。
◇ 大学を卒業した方が翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合は、実務経験を問われません。
👉国際業務では、関連業務で3年以上の実務経験が必要ですが、大学を卒業した者が翻訳・通訳・語学指導に従事する場合は実務経験は不要です。
会社カテゴリ
「技術・人文知識・国際業務(以下、技人国)」ビザの審査では、企業の規模や安定性に応じて「カテゴリー1」から「カテゴリー4」までの区分が設けられています。この区分によって、提出すべき書類の範囲や審査の厳格さが大きく異なります。以下に、それぞれのカテゴリーの定義と審査への影響について説明します。
企業の4つのカテゴリー区分
◇ カテゴリー1(上場企業・公的機関等)
日本の証券取引所に上場している企業、国や地方公共団体、独立行政法人、認可法人などが該当します,。極めて高い信用力があると見なされます。
◇ カテゴリー2(未上場の大規模企業・優良企業)
前年分の「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」において、源泉徴収税額が1,000万円~1,500万円以上ある団体や個人が該当します,。十分な給与支払い能力を持つ大規模な未上場企業などが含まれます。
◇ カテゴリー3(一般的な中小企業)
前年分の法定調書合計表を提出しているものの、カテゴリー2の基準には達していない企業です,。国内の多くの一般中小企業がこの区分に当てはまります。
◇ カテゴリー4(新設会社・その他)
設立1年未満で法定調書合計表をまだ提出していない新設会社や、上記のいずれにも該当しない団体・個人が該当します。
カテゴリーによる審査・書類の違い
◇ 提出書類の量
カテゴリー1・2は企業の信用度が高いため、提出書類が大幅に簡略化されています,。主な提出書類は、四季報の写しや法定調書合計表のコピーなど、数点に限定される場合が多いです。 一方、カテゴリー3・4では、企業の事業実態や財務状況を詳細に証明する書類(決算書、事業計画書、会社案内、登記事項証明書など)が大量に必要となります。
◇ 審査期間と厳しさ
上位カテゴリー(1・2)ほど審査はスムーズで、期間も短くなる傾向があります,。下位カテゴリー(3・4)では、事業の安定性や継続性、外国人を雇用する必然性が厳しくチェックされ、慎重に審査が行われます。
下位カテゴリー(3・4)で特に重視される審査ポイント
特に中小企業や新設会社が申請を行う場合、以下の点が厳格に審査されます。
◇ 事業の安定性と継続性
赤字決算が続いている場合などは、将来の改善計画や資金繰りなど、事業を継続し給与を支払い続けられる能力があるかどうかが確認されます。新設会社の場合は、具体的な事業計画書の提出が不可欠です。
◇ 職務内容の専門性と業務量
従事する業務が「学問的な専門知識」を必要とするホワイトカラー業務であるか、またその業務が十分にあるかが問われます。単純労働(現場作業、レジ打ち、清掃等)がメインと疑われる場合は不許可のリスクが高まります。
◇ 日本人と同等以上の報酬
同じ職務に従事する日本人従業員と比較して、報酬額が不当に低くないか(同等額以上か)がチェックされます。
まとめ
在留資格「技術・人文知識・国際業務」(技人国ビザ)の許可を得るには、特に以下の点に留意が必要です。
◇ 活動内容の専門性
従事する業務は、理学・工学などの自然科学、法律・経済学などの人文科学分野の専門的な技術や知識、または外国の文化に基づく思考や感受性を必要とするものに限られます。「未経験可、すぐに慣れます」と記載されるような単純作業や、反復訓練で習得可能な業務は認められません。入社当初の研修であっても、それが専門業務に必須で日本人にも同様に行われる場合に限り、具体的な研修計画の提出により認められることがあります。
◇ 学歴・職務内容の関連性
従事する業務に必要な技術や知識に関連する科目を大学(短期大学を含む)または日本の専門学校で専攻している必要があります。特に日本の専門学校の場合は、従事する業務との間に「相当程度の関連性」が求められます。大学を卒業している者が翻訳・通訳・語学指導に従事する場合を除き、「国際業務」では3年以上、その他の分野では10年以上の実務経験でも要件を満たせます。
◇ 報酬の同等性
日本人が同種の業務に従事する場合と同等額以上の報酬を受けることが必須です。通勤手当や住宅手当などの実費弁償の性格を持つものは報酬に含みません。
◇ 素行の良さ
申請者の素行が善良であることも重要です。例えば、留学生が資格外活動許可の条件を超えて(通常週28時間以上)アルバイトをしていた場合や、納税義務を果たしていない場合などは「素行不良」とみなされ、不許可となる可能性があります。
これらの要件は、まるで「専門職のパスポート」を取得するようなものです。パスポートには、その人が「何をしてきたか」と「何をするか」が明確に記載され、それが日本の専門的な活動に合致しているかが厳しく審査されます。
👉技人国ビザの許可を得る主な注意点は、学歴・実務経験と業務内容の関連性が高いこと、業務に専門性があり単純作業でないこと、日本人と同等以上の報酬であること、企業の安定性・継続性、本人の良好な素行、そして十分な業務量の証明です。
名古屋市のOSAHIRO行政書士事務所は外国人のビザ申請をサポートしています。ご依頼・ご相談などお気軽にお問い合わせください(初回面談は無料です)。
ご参考:技人国ビザ(技術・人文知識・国際業務)の説明動画
ビザ申請の概要や注意点を動画でわかりやすくご紹介します。
・”Engineer/Specialist in Humanities/International Service” Visa





