技人国ビザ(技術・人文知識・国際業務)の許可要件とは?

技人国ビザ(技術・人文知識・国際業務)の概要

在留資格「技術・人文知識・国際業務」(技人国ビザ)は、日本で働く外国人に最もポピュラーな就労在留資格の一つです。このビザは、専門的な知識や経験を活かした業務に従事するために必要とされ、学歴(国内外の大学や日本の専門学校卒業など)または実務経験(「技術」「人文知識」は10年以上、「国際業務」は3年以上)が求められ、業務内容との関連性が必須です。報酬は日本人と同等以上である必要があり、単純作業は認められません

分野概要業務例
技術理学、工学その他の自然科学分野に属する技術・知識を要する業務システムエンジニア、プログラマー、機械設計者、情報セキュリティ技術者など
人文知識法律学、経済学、社会学その他の人文科学分野に属する技術・知識を要する業務企画、営業、経理、マーケティング、広報、人事など
国際業務外国の文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務通訳、翻訳、語学講師、デザイナー、海外取引業務など

在留期間

技人国で在留できる期間は3月・1年・3年・5年のいずれかです(出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2)。ほとんどの場合、新規申請時に認められる在留期間は1年で、在留資格の更新を繰り返すうちに3年や5年に延びていくのが一般的です。なお更新に上限はありません。

技人国ビザの許可要件

本邦の公私の機関との契約に基づいて行う業務で、技人国ビザの取得要件を以下に示します(出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令、出入国在留管理庁ガイドライン)。

技術/人文知識国際業務
学歴要件/
実務要件
    
従事しようとする業務に必要な技術または知識に関連し、以下のいずれかを満たしていること。

国内外の大学(短大含む)を卒業し、またはこれと同等以上の教育を受けていること。

◇ 関連科目を専攻し、本邦の専門学校の専門課程を修了(専門士または高度専門士の称号付与要件に適合する場合に限る)していること。

◇ 関連業務で10年以上の実務経験(大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校の後期課程または専門学校の専門課程において関連科目を専攻した期間を含む)があること。

【特例】 情報処理に関する技術または知識を要する業務に従事する場合で、法務大臣が定める「情報処理技術」に関する試験に合格または資格を有していれば、上記の要件は不要です。
翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝、海外取引業務、服飾・室内装飾に係るデザイン、商品開発など、外国の文化に基盤を有する思考または感受性を必要とする業務に従事し、かつ以下のいずれかを満たしていること。

◇ 関連業務で3年以上の実務経験があること。

大学を卒業しており、翻訳、通訳または語学の指導に係る業務に従事する場合、上記の3年以上の実務経験は不要です。
報酬要件日本人と同等以上日本人と同等以上

技術・人文知識

・学歴要件と実務経験はどちらか一方をクリアすればOK。

・大学を卒業するとは「学士、修士、博士、短期大学士」が授与されることです。

・専門学校卒業とは、「専門士」または「高度専門士」の称号が付与されていることです。外国の専門学校は対象となりません。

・「申請人が情報処理に関する技術または知識を要する業務に従事しようとする場合」で、法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する試験に合格し、又は、法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する資格を有しているときには、学歴要件と実務経験は問われません(IT告示)。

国際業務

・翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務が対象です。

・大学を卒業した方が翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合は、実務経験を問われません

まとめ

在留資格「技術・人文知識・国際業務」(技人国ビザ)の許可を得るには、特に以下の点に留意が必要です。

◇ 活動内容の専門性
従事する業務は、理学・工学などの自然科学、法律・経済学などの人文科学分野の専門的な技術や知識、または外国の文化に基づく思考や感受性を必要とするものに限られます。「未経験可、すぐに慣れます」と記載されるような単純作業や、反復訓練で習得可能な業務は認められません。入社当初の研修であっても、それが専門業務に必須で日本人にも同様に行われる場合に限り、具体的な研修計画の提出により認められることがあります。

◇ 学歴・職務内容の関連性
従事する業務に必要な技術や知識に関連する科目を大学(短期大学を含む)または日本の専門学校で専攻している必要があります。特に日本の専門学校の場合は、従事する業務との間に「相当程度の関連性」が求められます。大学を卒業している者が翻訳・通訳・語学指導に従事する場合を除き、「国際業務」では3年以上、その他の分野では10年以上の実務経験でも要件を満たせます。

◇ 報酬の同等性
日本人が同種の業務に従事する場合と同等額以上の報酬を受けることが必須です。通勤手当や住宅手当などの実費弁償の性格を持つものは報酬に含みません。

◇ 素行の良さ
申請者の素行が善良であることも重要です。例えば、留学生が資格外活動許可の条件を超えて(通常週28時間以上)アルバイトをしていた場合や、納税義務を果たしていない場合などは「素行不良」とみなされ、不許可となる可能性があります。

これらの要件は、まるで「専門職のパスポート」を取得するようなものです。パスポートには、その人が「何をしてきたか」と「何をするか」が明確に記載され、それが日本の専門的な活動に合致しているかが厳しく審査されます。

参考:技人国ビザ(技術・人文知識・国際業務)説明動画

ビザ申請の概要や注意点を動画でわかりやすくご紹介します。

・技人国ビザ申請の注意点

・「技術・人文知識・国際業務ビザ」で働ける職種とは?

・技人国ビザで外国人が飲食店にて就労可能な業務

・技人国ビザ申請の主要な学歴要件は何か?

・”Engineer/Specialist in Humanities/International Service” Visa

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