エンジニアビザの取得条件と申請フローを徹底解説!

近年、日本国内ではITエンジニアをはじめとする専門技術を持つ人材の不足が深刻化しており、多くの企業が海外から優秀なエンジニアを迎え入れています。本記事では、外国人エンジニアが日本で働くために必要な「エンジニアビザ」の取得条件、申請の流れ、そして注意点について解説します。

「エンジニアビザ」とは?

エンジニアビザ」というのは、実は正式な在留資格の名称ではありません。一般的には、エンジニアとして日本で働くことができる在留資格全般を指す通称として使われています。主に以下の在留資格が該当します。

◇ 技術・人文知識・国際業務
理学、工学などの自然科学や人文科学に関する専門知識、または外国の文化に基盤を持つ思考や感受性を必要とする業務に従事するための在留資格で、多くの外国人エンジニアがこの資格を取得しています。

◇ 高度専門職
高度な知識やスキルを持つ外国人向けの在留資格で、ポイント制による審査があります。

◇ 企業内転勤
海外の日本法人の本店や支店などで技術・人文知識・国際業務に関連する業務に従事していた外国人を、日本の事業所に転勤させるための在留資格です。

◇ 特定活動
インターンシップなど、法務大臣が個別に指定する活動を行うための在留資格で、外国人エンジニアが一時的に日本で働く場合に利用されることがあります。

◇ 身分系の在留資格(永住者、定住者、日本人の配偶者等)
これらの在留資格を持つ外国人は、職種に制限なくエンジニアとして働くことができます。

本記事では、最も一般的な「技術・人文知識・国際業務」を中心に、エンジニアビザの取得条件と申請フローを解説します。

「技術・人文知識・国際業務」の取得条件

外国人エンジニアが「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得するためには、主に以下の要件を満たす必要があります。

要件詳細
学歴・大学(短期大学、大学院を含む) または 日本の専門学校(専門士または高度専門士) を卒業し、従事する業務に関連のある専門分野 を専攻していること。

・海外の大学卒も含まれます。
職務経験・上記の学歴がない場合、従事する予定の業務について10年以上の実務経験 があること。

・この実務経験には、大学等における当該技術や知識に関連する科目を専攻した期間も含まれます。

・国際業務(通訳、翻訳など)の場合は、関連業務で3年以上の実務経験が必要です。
資格・情報処理に関する技術または知識を必要とする業務 に従事する場合、法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する試験に合格しているか、または資格を保有していること。

・日本の資格だけでなく、中国、フィリピン、ベトナム、ミャンマー、台湾、マレーシア、タイ、モンゴル、バングラデシュ、シンガポール、韓国などの試験も対象となります。
雇用契約の内容・業務内容 が「ITエンジニア」や「技術者」などの専門性を要するものであること。

・単純作業は認められません。

・学歴・職歴との一致 も重要で、特に専門学校卒業の場合は厳格に審査されます。

・給与水準 は、同じ業務に従事する日本人と同等以上である必要があります。

・月額18万円以上が一つの目安ですが、同業界の日本人の平均報酬額がそれ以下の場合は、それを証明することで認められる可能性もあります。
会社の経営状態・外国人を雇用する会社には、安定して給与を支払える経済力と継続性 が求められます。

・特に設立間もない会社や小規模な会社は厳しく審査されます。
雇用の必要性・会社の規模や業務量に対して、外国人エンジニアの雇用が必要であると認められる必要があります。
申請人本人の素行・申請人本人に犯罪歴や違反歴がない ことも重要な要件です。

・特に、留学ビザなどで日本に滞在していた期間のアルバイト状況(資格外活動許可の有無や時間制限の遵守)も審査の対象となります。
日本人と同等以上の報酬・外国人エンジニアに支払われる報酬は、同じ業務を行う日本人社員と同等以上 である必要があります。

・これは同一労働同一賃金の原則に基づいています。
常勤性・正社員、契約社員、フルタイムパート、業務委託など雇用形態は問われませんが、常勤の従業員 として雇用される必要があります。
適切な勤務場所の確保・外国人エンジニアが業務を行うための適切な勤務場所や事務所 が確保されている必要があります。

「技術・人文知識・国際業務」の対象となるエンジニアの職種例

技術・人文知識・国際業務」の在留資格で就労可能なエンジニアの職種は多岐にわたります。例えば以下のような職種が挙げられます。

◇ ITエンジニア
システムエンジニア(SE)、プログラマー、ソフトウェア開発者、Webサービス開発者、ネットワークエンジニア、データベースエンジニア、情報システム担当、情報セキュリティエンジニアなど

◇ 機械・金属・化学分野の製造技術者

◇ 設計者

◇ 通訳(IT関連、技術関連の知識を要する場合)

ただし、これらの職種であっても、外国人本人の学歴や職務経験との関連性 が重要視されます。専門知識を必要としない単純労働は認められません。

エンジニアビザ(「技術・人文知識・国際業務」)の申請フロー

外国人エンジニアが日本で働くためのビザ申請は、大きく分けて以下の2つのケースがあります。

海外にいる外国人エンジニアを呼び寄せる場合

1.雇用契約の締結
日本で雇用する企業と外国人エンジニアの間で雇用契約を結びます。

2.在留資格認定証明書交付申請
雇用する企業が、外国人エンジニアの在留資格認定証明書を日本の入国管理局に申請します。この手続きには通常1~3ヶ月程度の期間を要します。

3.在留資格認定証明書の送付
入国管理局から在留資格認定証明書が交付されたら、雇用企業が外国人エンジニアに送付します。

4.査証(ビザ)の申請
外国人エンジニアは、送付された在留資格認定証明書を持参し、本国の日本大使館または領事館で査証(ビザ)を申請します。

5.入国
査証が発給されたら、外国人エンジニアは日本に入国します。

6.在留カードの交付
日本の空港などで在留カードが交付されます。

7.就労開始
在留カードを受け取ったら、日本での就労を開始できます。

日本にいる外国人エンジニアを採用する場合(例:留学生、転職者)

1.雇用契約の締結
日本で雇用する企業と外国人エンジニアの間で雇用契約を結びます。

2.在留資格変更許可申請(留学生など)
現在持っている在留資格から「技術・人文知識・国際業務」への変更許可を、外国人エンジニア本人が日本の入国管理局に申請します。この手続きには通常1~2ヶ月程度の期間を要します。

3.就労資格証明書交付申請(転職者など、同じ在留資格の場合)
転職後の業務が現在の在留資格の範囲内であることを確認するため、外国人エンジニア本人が入国管理局に申請することが推奨されます。在留資格を変更する必要がある場合は、上記の「在留資格変更許可申請」を行います。

4.就労開始
在留資格の変更または就労資格証明書の交付後、日本での就労を開始できます。

エンジニアビザ取得の注意点

観光ビザでの就労は厳禁 です。短期間の業務であっても、必ず適切な就労ビザを取得する必要があります。

留学生のアルバイト は、時間制限(原則週28時間以内)や許可された範囲内での活動に限定されています。これらに違反すると、就労ビザへの変更が不許可になることがあります。

◇ 在留期間 をしっかりと把握し、期限切れ前に更新手続きを行う必要があります。

◇ 採用後、業務内容が在留資格と異なる場合 は不法就労となる可能性があります。配属や異動の際には注意が必要です。

◇ 転職する場合は、現在の在留資格の範囲内の業務であるか どうかを確認し、必要に応じて在留資格変更許可申請や所属機関に関する届出を行う必要があります。

まとめ

外国人エンジニアが日本で活躍するためには、適切な在留資格(エンジニアビザ)の取得が不可欠です。特に「技術・人文知識・国際業務」は多くの外国人エンジニアにとって主要な選択肢となりますが、その取得には学歴、職務経験、業務内容など、様々な要件を満たす必要があります。

ご不明なことがありましたら、名古屋のOSAHIRO行政書士事務所(ビザ申請)の「お問い合せ」よりお気軽にご相談ください。