特定技能登録支援機関の変更方法は?

特定技能外国人の支援を委託している登録支援機関を変更する際の手続きの流れ、必要な書類、そして注意すべき点について、わかりやすく解説します。スムーズな機関変更を行い、特定技能外国人が安心して日本で働ける環境を整備しましょう。

なぜ登録支援機関を変更する必要があるのか?

特定技能外国人の受け入れには、受け入れ機関(特定技能所属機関)が、外国人の職業生活上、日常生活上、社会生活上の支援計画を作成し、適切に実施する義務 があります。しかし、以下のような理由から、登録支援機関の変更を検討する必要が生じる場合があります

◇ 委託料が高い割に、十分な支援を受けられていないと感じる

◇ 紹介される外国人が早期に退職してしまう

◇ 登録支援機関の対応言語が不足しており、外国人とのコミュニケーションに支障がある

◇ 支援内容が画一的で、自社の外国人や業種特有のニーズに対応できていない

◇ 登録支援機関との連携がうまくいかず、情報共有や問題解決に時間がかかる

◇ 違法なブローカーが介在している疑いがある

◇ 登録支援機関に不信感がある

このような状況を放置すると、特定技能外国人の日本での就労・生活が不安定になり、早期離職につながる可能性もあります。より信頼できる、質の高い支援を提供してくれる登録支援機関への変更は、特定技能外国人だけでなく、受け入れ機関にとっても重要な決断 と言えるでしょう。

登録支援機関変更の流れ

登録支援機関を変更する際の基本的な流れは以下の通りです。

1.現在の登録支援機関との契約内容を確認する
契約期間、解約条項、違約金などを確認します。

2.変更理由と新たな登録支援機関の選定基準を明確にする
現在の支援機関への不満点を洗い出し、求める支援内容や重視するポイントを整理します。

3.新たな登録支援機関を選定する
複数の候補を比較検討し、自社のニーズに最も適した支援機関を選びます。費用、対応言語、支援実績などを確認しましょう。

4.現在の登録支援機関との契約を解除する
契約書に基づき、適切な手続きで契約を解除します。

5.新たな登録支援機関と支援委託契約を締結する
支援内容、委託料、契約期間などを明確に定めた契約書を作成・締結します。

6.管轄の地方出入国在留管理局に変更の届け出を行う
必要書類を準備し、提出期限内に届け出を行います。

7.支援計画を変更する
必要に応じて、新たな登録支援機関との連携に基づいた支援計画に変更します。

変更届に必要な書類

登録支援機関の変更に伴い、特定技能所属機関が地方出入国在留管理局に提出する必要がある主な書類は以下の通りです。

書類名備考
特定技能所属機関による支援計画変更に係る届出書委託先の登録支援機関を変更した場合、必ず提出が必要です
・変更後の登録支援機関の情報を記載します。
・出入国在留管理庁のウェブサイトから様式をダウンロードできます。
登録支援機関概要書(変更後)の写し・新たに委託する登録支援機関から入手します。
新たな登録支援機関との支援委託契約書の写し・新たに締結した契約書を添付します。
委託契約終了に関する書類
(必要に応じて)
・現在の登録支援機関との契約解除がわかる書類(解約通知書など)の写しが必要となる場合があります。
支援計画書(変更後)
(必要に応じて)
・委託先の変更に伴い、支援計画の内容に変更が生じる場合は、変更後の支援計画書を提出します。
その他参考資料
(必要に応じて)
・変更の経緯や理由を説明する書類などが求められる場合があります。
届出者の身分証明書
(窓口持参の場合)
・特定技能所属機関の役職員が窓口で届け出を行う場合に必要です。
届出者と特定技能所属機関との関係を証明する書類
(代理人提出の場合)
・届出書の作成者以外が持参する場合、委任状などが必要になります。

重要な注意点

◇ 提出期限
登録支援機関の変更があった日から14日以内に届け出を行う必要があります。遅延した場合は、遅延理由書(任意様式)を添付して速やかに提出しましょう。

◇ 提出先
特定技能所属機関の本店または主たる事務所を管轄する地方出入国在留管理局に提出します。窓口への持参、郵送、または出入国在留管理庁電子届出システムを利用して提出できます。郵送の場合は、期限内に必着するように余裕をもって送付しましょう。

◇ 虚偽の届け出
虚偽の届け出を行った場合や、届け出を怠った場合、特定技能外国人の受け入れができなくなるだけでなく、罰金刑や過料が科される可能性もあります。

◇ 支援の中立性
新たに選任する支援責任者・担当者は、支援を行う受け入れ機関の役員や職員、その配偶者や二親等以内の親族など、中立性を欠く人物は選任できません。登録支援機関として登録を受ける場合も同様です。

◇ 費用の負担
特定技能外国人の支援に要する費用は、直接・間接を問わず当該外国人の負担とすることはできません。

新しい登録支援機関を選ぶ際のポイント

後悔しない登録支援機関選びのために、以下の点を考慮しましょう。

◇ 自社のニーズに合致した支援内容を提供しているか
義務的支援だけでなく、任意的支援の内容や質、自社の業種や外国人の特性に合わせた柔軟な支援が可能かを確認します。

◇ 十分な支援実績と専門性があるか
ホームページや面談などを通じて、過去の支援実績や対応分野、専門知識の有無を確認します。

◇ 外国人とのコミュニケーションが円滑に図れる体制があるか
対応可能な言語、通訳・翻訳サービスの有無などを確認します。

◇ 費用体系が明確かつ適正であるか
委託料の内訳、追加費用、支払い条件などを十分に確認し、複数の支援機関と比較検討します。

◇ 緊急時の対応や連絡体制が整っているか
外国人の急なトラブルや相談に対応できる体制、連絡手段、対応時間などを確認します。

◇ 地理的に近い場所にオフィスがあるか
必要に応じて対面でのサポートを受けやすいかを確認します。

自社支援への切り替えという選択肢

登録支援機関への委託ではなく、自社で特定技能外国人の支援を行うという選択肢もあります。自社支援に切り替えるためには、以下の要件を満たし、地方出入国在留管理局に登録支援機関としての登録を受ける必要があります。

◇ 過去2年以内に中長期在留者を雇用・管理した実績

◇ 外国人が十分に理解できる言語での支援体制

◇ 支援責任者および支援担当者の選任
これらの担当者は一定の要件を満たす必要があります。

◇ 適切な情報提供・相談体制

◇ 支援業務に関する文書作成・保管体制

自社支援は委託費用を削減できるメリットがありますが、専門知識やノウハウ、人員の確保が必要となり、相応の準備と負担が伴います。

まとめ

登録支援機関の変更は、特定技能外国人の安定した就労・生活を支援するために重要な手続きです。この記事で解説した流れ、必要書類、注意点をしっかりと理解し、慎重に進めることで、より良い支援体制を構築できるはずです。

新たな登録支援機関の選定は、特定技能外国人の定着と企業の発展に大きく影響します。費用だけでなく、支援内容や実績、コミュニケーションの円滑さなどを総合的に判断し、自社にとって最適なパートナーを選びましょう。

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