深刻化する介護業界の人手不足
日本では、少子高齢化が急速に進んでおり、介護業界における人手不足は深刻な問題となっています。 厚生労働省のデータによると、2040年には約3万2000人の訪問介護員が不足すると見込まれています。 この状況を改善するために、政府は外国人材の積極的な受け入れを推進しており、その中でも特定技能「介護」は重要な役割を担っています。
特定技能「介護」の資格取得要件

特定技能とは、日本国内で人手不足が深刻な特定産業分野において、一定の技能と日本語能力を持つ外国人に与えられる在留資格です。特定技能「介護」は、介護分野での人手不足を解消するため、2019年に創設されました。 この資格を持つ外国人は、介護施設や事業所において、日本人と同等の業務に従事することが可能です。
特定技能「介護」を取得するには、共通の基本条件として健康状態が良好であること、および原則として18歳以上(資格取得・上陸時)であることが必要です。特定技能「介護」資格取得ルート別要件一覧を以下に示します。
| 取得ルート | 主な要件・条件 | 試験免除・評価の取扱い |
|---|---|---|
| 1. 試験ルート | 指定の技能試験と日本語試験のすべてに合格する | なし |
| 2. 技能実習ルート (現行:2027年まで) | 介護職種の技能実習2号を「良好に修了」する | すべての試験(技能・日本語)が免除 |
| 3. 育成就労ルート (2027年より開始) | 3年間の育成就労を修了し、特定技能1号水準の試験等に合格する | 原則として試験や評価による確認が必要 (無試験移行は見直しの方向) |
| 4. 養成施設ルート | 日本の介護福祉士養成施設(専門学校等)を修了(卒業)する | すべての試験が免除 |
| 5. EPAルート | EPA(経済連携協定)候補者として4年間適切に就労・研修に従事する | すべての試験が免除(※1) |
※1:直近の介護福祉士国家試験で合格基準点の5割以上の得点があり、全科目で得点があること等の条件が必要です。
試験ルート(未経験者・新規入国者向け)
以下の3つの試験すべてに合格する必要があります。
◇ 介護技能評価試験
介護業務の基盤となる知識・技術を確認する試験。
◇ 介護日本語評価試験
介護現場で支障のない日本語能力(声かけや文書作成等)を確認する試験。
◇ 日常生活レベルの日本語試験
「JFT-Basic」または「JLPT N4以上」のいずれか一方への合格。
技能実習ルート(現行の移行ルート)
介護職種の技能実習2号を良好に修了(概ね3年)した者は、技能・日本語ともに全試験が免除されます。
他職種(農業等)からの移行の場合は、日常生活レベルの日本語試験のみ免除され、介護系の2試験(技能・日本語)の合格が必須です。
育成就労ルート(2027年開始予定の新制度)
技能実習制度に代わり、人材確保と育成を目的として創設されます。
3年間の就労を通じて技能と日本語を身につけ、スムーズに移行できる仕組みですが、現行の「無試験での移行」から、特定技能1号水準の能力を試験や評価によって確認する方向で制度設計されています。
養成施設ルート
日本の介護福祉士養成施設を卒業した留学生等は、体系的な教育を受けているため、特定技能1号取得時の試験はすべて免除されます。
EPAルート
インドネシア、フィリピン、ベトナムからの候補者が対象です。
4年間の満了後、介護福祉士国家試験で一定の得点(5割以上等)を収めれば、試験免除で特定技能へ移行可能です。
特定技能「介護」で対応できる業務

特定技能「介護」で対応できる業務について、最新の方針に基づき、以下に表で示します。
| 業務の区分 | 業務内容(具体的な例) | 備考 |
| 主たる業務(身体介護) | 利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつ、移動、整容、衣服着脱などの介助業務。 | 介護技能評価試験の合格で証明される実践的な知識と技能に基づいて行います。 |
| 付随する支援業務 | 身体介護に付随するレクリエーションの実施、機能訓練の補助(筋力維持、リハビリ、判断力向上などが目的)。 | ― |
| 関連業務 | 上記業務に従事する日本人が通常行う掲示物の管理や物品の補充などの業務に付随的に従事。 | 専らこの関連業務のみに従事することは認められません。 |
| 訪問系サービス | 居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、居宅訪問型児童発達支援など。 | 2025年4月21日に解禁される予定です。従事には、介護事業所等における原則1年以上の実務経験が必要です。 |
👉利用者の心身に応じた身体介護(入浴・食事・排せつ介助など)や、これに付随する支援業務、関連業務に従事する業務です
特定技能「介護」資格取得の流れ
特定技能「介護」の資格を取得するには、以下のステップを踏む必要があります。
| ステップ | 手続き/要件 | 留意事項 |
| 1. 技能・日本語証明 | 介護技能評価試験、介護日本語評価試験、日本語N4相当以上(国際交流基金日本語基礎テスト等)に合格する。 | 技能実習2号修了は原則免除ですが、評価試験不合格等の場合は受験が必要です。 27年開始の育成就労では特定技能移行時に試験等での能力確認が原則必須となるため、早期の学習支援等の準備が不可欠です。 |
| 2. 雇用契約の締結 | 特定技能所属機関とフルタイム(週30時間以上)で雇用契約を結ぶ。 報酬は日本人と同等以上であること。 | 雇用形態は直接雇用に限られる。 |
| 3. 協議会への加入 | 在留資格申請前に、介護分野における特定技能協議会の構成員となることが原則必要である。 | 申請時に協議会構成員であることの証明書が必要となる。 |
| 4. 支援体制の確立 | 1号特定技能外国人支援計画を作成・実施する義務がある(登録支援機関へ委託可能)。 | 支援計画には、生活オリエンテーションや相談対応などの10項目が含まれる。 |
| 5. 在留資格申請 | 地方出入国在留管理局に認定証明書交付申請または変更申請を行い、許可を得る。 | ― |