
特定技能ビザは、日本国内の人手不足を解消するために、外国人の方に特定の分野で就労を認める制度です。特定技能ビザには1号と2号があり、それぞれ試験内容や求められるスキルが異なります。 特定技能1号と2号の試験について、内容、レベル、準備方法を解説します
特定技能1号試験
特定技能1号は、「相当程度の知識または経験を必要とする技能」 を持つ外国人向けの資格です。
試験内容
特定技能1号の試験は、日本語試験と技能試験の2つで構成されます。
日本語試験

国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験(JLPT)のN4以上
◇ 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)
日常会話や生活に支障がない程度の日本語能力を測る。A2レベル以上が合格基準。
◇ 日本語能力試験(JLPT)
N4以上が合格基準。基本的な語彙や漢字を使った文章の理解、ややゆっくりとした会話の理解度が求められる。
技能試験
各特定産業分野(介護、ビルクリーニング、製造業、建設業、農業、漁業、外食業など)ごとに実施。
◇ 各分野で必要となる知識や技能を測る。
◇ 学科試験と実技試験がある場合や、判断試験、作業試験など、評価方法は分野によって異なる。
分野別試験の例(技能試験)

◇ 介護
介護技能評価試験と介護日本語評価試験。
◇ ビルクリーニング
ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験。判断試験と作業試験。
◇ 製造業
製造分野特定技能1号評価試験。19区分に分かれており、区分ごとに試験内容が異なる。
◇ 宿泊
宿泊業技能測定試験。
◇ 農業
農業技能測定試験。耕種農業と畜産農業の2区分。日本語試験、筆記試験、実技試験。
◇ 外食業
外食業特定技能1号技能測定試験。判断試験と計画立案。
要求される知識レベル
日本語能力
◇ JFT-Basic:A2レベル
基本的な個人的情報や家族情報、買い物、近所、仕事など、直接的関係がある領域に関する文や表現が理解できる。
◇ JLPT:N4レベル
基本的な語彙や漢字を使い書かれた文章を理解でき、ややゆっくりと話す会話であればほぼ意味を理解できる。
技能
◇ 各分野において、特別な訓練を受けることなく、一定レベルの業務を遂行できることが求められる。
◇ 技能実習2号を良好に修了した程度の技能レベル。
技能実習2号を良好に修了している場合、技能評価試験及び日本語試験が免除される ことがあります。技能実習3号を修了した外国人については、技能実習2号を良好に修了したことを前提としているので、試験免除で1号特定技能外国人になることが可能です。
試験準備
日本語試験
◇ JFT-Basic
国際交流基金のウェブサイトでサンプル問題を解く。
◇ JLPT
過去問題集や参考書を活用する。
技能試験
◇ 各分野の学習テキストやサンプル問題を参考にする。
◇ 厚生労働省や各技能試験センターのウェブサイトで情報を収集する。
◇ 試験対策セミナーや講習会に参加する。
特定技能2号試験
特定技能2号は、「熟練した技能」 を持つ外国人向けの資格です。
試験内容
◇ 特定技能2号の試験は、技能試験のみで構成され、日本語試験は免除されます。
◇ 2022年4月時点で、特定技能2号が認められているのは建設分野と造船・舶用工業分野のみでしたが、2023年に11分野に拡大されました。
<建設>
建設分野特定技能2号評価試験。
<造船・舶用工業>
造船・舶用工業分野特定技能2号試験。
試験内容の詳細は、各分野の試験実施機関のウェブサイトで確認する必要があります。
要求される知識レベル
◇ 各分野において、長年の実務経験で培われた熟練した技能 が求められる。
◇ 現場の作業者を指導・監督できるレベル。
◇ 技能検定1級相当の技能。
試験準備
◇ 各分野の試験実施機関が提供する情報を確認する。
◇ 実務経験を活かした対策 が重要。
試験の注意点

特定技能ビザの試験の注意点は以下の通りです。
◇ 試験合格はビザ取得を保証しません。試験は申請条件の一つであり、別途、入管庁の審査や外務省による査証審査が行われます。
◇ 試験の開催時期は分野や年度によって大きく異なります。雇用計画を立てる際は、希望する分野の試験がいつどこで行われるか、事前に確認することが非常に重要です。
◇ 特定技能2号の試験は、特定技能1号よりも熟練した高い技能と実務経験が求められますが、原則として日本語試験は不要です。
◇ 技能実習2号を良好に修了している場合、日本語試験と特定技能試験が免除されます。
まとめ
特定技能試験は、日本で働くための在留資格である「特定技能ビザ」を取得するために必要な試験です。
主な種類として「特定技能1号」と「特定技能2号」があります。
◇ 特定技能1号
仕事で必要な日本語能力と、従事する分野の特定技能試験の両方に合格する必要があります。日本語試験は「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」でA2レベル以上、または「日本語能力試験(JLPT)」でN4レベル以上が求められます。介護分野ではさらに「介護日本語評価試験」の合格が必要です。
◇ 特定技能2号
より熟練した技能を持つ方向けで、特定技能試験の合格が必要です。原則として日本語試験は不要とされています。
なお、技能実習2号を良好に修了している場合は、関連する職種であれば、特定技能1号の試験が免除されることがあります。試験は日本国内外で実施されており、分野によって開催時期や内容が大きく異なります。ただし、試験に合格しただけでは特定技能ビザの取得は保証されませんので注意が必要です。
ご参考:特定技能ビザの説明動画
ビザ申請の概要や注意点を動画でわかりやすくご紹介します。
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