
高度専門職ビザを持つ外国人が転職する際には、いくつかの重要な注意点があります。この記事では、転職時の手続きやポイントについて解説します。
高度専門職ビザとは?

高度専門職ビザは、学歴、職歴、年収などの項目をポイント化し、合計70点以上で取得できる就労ビザです。このビザを持つ外国人は、高度な専門知識や技術を持つ人材として、日本での活動が期待されています。高度専門職1号と2号があり、2号は1号で3年以上の在留実績がある人が対象で、在留期間が無期限になるなどの優遇措置があります。
転職時に必要な手続き

高度専門職ビザを持つ人が転職する場合、原則として在留資格変更許可申請が必要です。これは、高度専門職ビザが特定の企業との雇用を前提としているため、転職によってその紐付けが解消されるためです。
◇ 在留資格変更許可申請
転職先の企業での活動が高度専門職の要件を満たすかどうかを審査するため、転職前に必ず行う必要があります。
◇ 所属機関に関する届出
転職後14日以内に、退職と入社それぞれについて、入管に届け出が必要です。
なぜ在留資格変更許可申請が必要なのか?
高度専門職ビザは、ポイント制に基づいて発行されますが、そのポイントには所属する企業に関する項目や年収も含まれます。転職によって所属企業が変わると、ポイント数が変動する可能性があるため、再審査が必要となるのです。
具体例
転職前の会社がイノベーション創出企業で20点の加算があったため高度専門職ビザを維持できていた人が、転職先の会社がイノベーション創出企業でない場合、ポイントが不足し、高度専門職ビザから他の就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)への変更が必要になることがあります。 また、転職によって年収が下がりポイントが不足する場合も同様です。
手続きの流れ
1.転職先の決定と内定
転職先での業務内容や雇用条件を確認し、高度専門職の要件を満たすか確認します。
2.在留資格変更許可申請の準備
必要書類を収集し、入管に申請します。
3.退職手続き
入管からの許可を確認後、現在の会社に退職届を提出し、退職証明書を取得します。
4.新しい在留カードの取得
入管で新しい在留カードを受け取り、転職先での就労を開始します。
審査のポイント

◇ 高度人材該当性
転職後の活動が高度外国人材としての活動であること。
◇ 70点以上のポイント
ポイント計算の結果が70点以上であること。
◇ 良好な在留状況
過去の在留状況に問題がないこと。
◇ 会社の安定性
転職先の企業の財政状況や事業内容も審査対象となります。
必要書類

在留資格変更許可申請には、以下の書類が必要です。
◇ 在留資格変更許可申請書
◇ 証明写真
◇ パスポートと在留カード
◇ 雇用契約書
◇ 会社の登記簿謄本や決算書
◇ ポイント計算表とその疎明資料
ポイント計算表の疎明資料としては、卒業証明書、職務経歴書、給与明細、納税証明書などが挙げられます。
転職活動における注意点
高度専門職ビザを持つ外国人が転職活動を行う際の主な注意点を以下にまとめます。
注意点 | 詳細・理由 |
在留資格変更許可申請が必須 | ・高度専門職ビザは、勤務先が「指定書」に明記され、会社と紐づくため。 ・転職時、新たな会社向けにビザを再取得する必要があります。 ・一般的な就労ビザとは手続きが異なります。 |
転職先での就労は許可後 | ・新しい在留カードを受け取るまで、転職先での就労はできません。 ・審査には時間がかかり、就労できない期間が生じる可能性があります。 |
ポイント計算の再評価 | ・高度専門職ビザはポイント制に基づいているため、転職により、年収や会社自体に加算されるポイントが変動します。 ・再度70点以上をクリアする必要があります。 |
ポイント不足で資格変更の可能性 | ・転職先の条件でポイントが不足し、高度専門職ビザの要件を満たせない場合、「技術・人文知識・国際業務」など他資格への変更を打診されることがあります。 |
所属機関変更届も必要 | ・在留資格変更許可申請に加え、転職後14日以内に「所属機関変更の届出」が義務付けられています。 |
新規同様の書類と早期申請 | ・ポイント計算表と各項目を証明する資料など、新規申請に準ずる書類が必要です。 ・内定が出たら早期に申請することが推奨されます。 |
まとめ
高度専門職ビザを持つ外国人が転職する際には、事前の準備と正確な手続きが不可欠です。転職後のキャリアプランを明確にし、必要な手続きをしっかりと行うことで、安心して日本での就労を継続することができます。
ご参考:高度人材(高度専門職)ビザの説明動画
高度人材(高度専門職)ビザの概要や注意点を動画でわかりやすくご紹介します。
ご参考:技人国ビザ(技術・人文知識・国際業務)の説明動画
技人国ビザ(技術・人文知識・国際業務)の概要や注意点を動画でわかりやすくご紹介します。
・”Engineer/Specialist in Humanities/International Service” Visa
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