新事業進出補助金とは?|スケジュール、公募要領、採択率向上

2025年より新設される「中小企業新事業進出補助金」は、中小企業が新たな領域の事業へ進出する際の投資を後押しするための補助金制度です。事業再構築補助金の後継制度と言われており、1,500億円の予算が盛り込まれています。企業の成長・拡大を通した生産性向上や賃上げを促すことを目的としており, 新規事業への挑戦を目指す中小企業にとって、有効活用できる補助金制度となるでしょう。

スケジュール

新事業進出補助金は、2025年4月頃に第1回目の公募開始が予定されています。公募は令和8年度末(2027年3月31日)までに4回程度実施され、計6,000件程度の採択が見込まれています。以下は、現時点で公開されている情報や予測に基づいた公募スケジュールです。

公募回公募開始(予想)公募締切(予想)採択発表(予想)
第1回2025年4月上旬2025年5月中旬~下旬2025年6月下旬~7月上旬
第2回2025年6月~7月未定未定
第3回2025年9月~10月未定未定
第4回2025年12月~2026年1月未定未定

公募期間は約1ヶ月程度と見込まれます。申請を検討している事業者は、早めにGビズIDプライムアカウントを取得するなど、準備を始めることが重要です。事業の実施期限は、原則として交付決定日から14ヶ月以内(ただし採択発表日から16ヶ月以内)です。

公募要領のポイント

現時点ではまだ正式な公募要領は発表されていませんが、公開されている情報から、以下の点が重要なポイントとなると考えられます。

補助対象者

「企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦を行う中小企業等」が対象です。

◇ 「中小企業基本法」第2条第1項に規定する中小企業者

◇ 一定の要件を満たす特定非営利活動法人(NPO法人)

◇ 一定の要件を満たす社会福祉法人

◇ 個人事業主も含まれる可能性が高い

ただし、「大企業(常時使用する従業員数が2,000人超の会社等)」や「みなし大企業」、主たる事業が農作物の生産自体である「1次産業」は補助対象外となる可能性があります。

補助目的

中小企業等が、既存事業とは異なる新しい市場・高付加価値事業への進出にかかる設備投資等を支援することで、企業の成長を促し、経済をより発展させることを目的としています。

補助対象経費

新事業展開に必要な設備投資等が対象となります。具体的には以下のものが挙げられています。

◇ 建物費(拠点新設・増築・改修、中古建物の取得。単なる購入や賃貸は対象外)

◇ 構築物費(建物の定義を満たさないもの)

◇ 機械装置・システム構築費(リース料を含む)

◇ 技術導入費

◇ 専門家経費(コンサルティング費用、旅費等。ただし、申請書作成にかかる費用は対象外)

◇ 運搬費

◇ クラウドサービス利用費

◇ 外注費(加工、設計、検査等の一部委託)

◇ 知的財産権等関連経費

◇ 広告宣伝/販売促進費

交付決定より前に契約(発注含む)を行った経費は、原則として補助対象外となるため注意が必要です。また、他の国の補助金や税制優遇措置との併用が不可となる場合があります。

補助率・補助上限額等

補助率は2分の1です。補助上限額は従業員数によって異なり、最大で9,000万円となります(大幅賃上げ特例適用事業者)。補助下限額は750万円です。

【補助上限額(通常枠/大幅賃上げ特例適用事業者)】

◇ 従業員数 20人以下:2,500万円/3,000万円

◇ 従業員数 21~50人:4,000万円/5,000万円

◇ 従業員数 51~100人:5,500万円/7,000万円

◇ 従業員数 101人以上:7,000万円/9,000万円

基本要件

補助を受けるためには、以下の基本要件を満たす必要があります。

◇ ①事業計画の策定
新規事業計画を策定し、その実行により付加価値額の年平均成長率を4.0%以上増加させること。

◇ ②賃上げの実施
補助事業終了後3~5年間、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高い水準を維持または引き上げること。

◇ ③次世代育成支援対策の実施
補助事業終了時点までに、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表していること。

基本要件②・③が未達成の場合、未達成率に応じて補助金の返還が求められる可能性があります。

大幅賃上げ特例

以下の要件を補助事業終了時に満たす場合、補助上限額が引き上げられます。

◇ 事業場内最低賃金を年額50円以上の水準で引き上げ

◇ 給与支給総額を年平均6%以上の増加

その他

◇ 収益納付は求められません。

採択率向上に向けて注力すべき点

新事業進出補助金は、事業再構築補助金の後継として注目度が高く、採択率は30%以下になる可能性も指摘されています。高い競争率を勝ち抜くためには、以下の点に注力しましょう。

◇ 明確で実現可能性の高い事業計画
・なぜその新規事業に取り組む必要があるのか、自社の強みを活かせるのかを明確に記述する。

・具体的な目標値(KPI)を設定し、どのように達成していくのかを論理的に説明する。

・テンプレートの使い回しではなく、自分の言葉でわかりやすく記載し、熱意を伝える。

・独自性を打ち出し、「自社でなければできない新事業」であることを示す。

・過去の成功事例や独自技術を具体的に示し、補助金を活用することでどのような成果が期待できるかを明確にする。

◇ 公募要領の徹底理解
・補助金の目的や趣旨を理解し、それに沿った事業計画を作成する。

・申請要件や審査基準を詳細に確認し、自社の事業が要件を満たしているか、計画している事業投資が趣旨に合っているかを確認する。

・申請書や計画書を作成する際には、「目的や趣旨に合致しているか」「投資する意義やメリットがわかりやすく記載されているか」を常に意識する。

◇ 早めの準備
・公募開始前に事業計画の骨子を固め、必要な情報収集や準備を進めておく。

・GビズIDプライムアカウントを早めに取得する。

◇ オンライン申請への対応
・申請手続きはオンラインで行われるため、その準備を怠らない。

◇ 基本要件の確実な達成
・付加価値額成長率、賃上げ、次世代育成支援対策の計画を具体的に立て、着実に実行できる体制を整える。

まとめ

中小企業新事業進出補助金は、新たな事業への挑戦を通じて企業の成長を後押しする重要な制度です。2025年4月頃から公募開始が見込まれ、最大9,000万円の補助金が交付される可能性があります。採択を勝ち取るためには、早めの準備と質の高い事業計画書の作成が不可欠です。公募要領をしっかりと理解し、採択に向けてしっかりと準備を進めていきましょう。最新の情報は必ず中小機構の公式ホームページ等でご確認ください。

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