
2025年、中小企業の成長を力強く後押しする新たな補助金制度「中小企業新事業進出補助金」が創設されます。この補助金は、中小企業が既存の事業とは異なる新たな分野へ進出し、高付加価値事業を展開することで、企業の成長・拡大、ひいては生産性向上と賃上げを目指す取り組みを支援するものです。
本記事では、この注目の補助金について、その概要、補助対象、補助率・上限額、申請要領(事業再構築補助金も参考に詳細を解説)、採択のポイント、スケジュールなどをわかりやすく解説します。ぜひ、新しい事業への挑戦を検討している中小企業の皆様は、この機会にご活用ください。
中小企業新事業進出補助金の概要
項目 | 内容 |
目的 | ・中小企業の成長につながる新事業進出・事業転換を重点的に支援 |
背景 | ・物価高、構造的な人手不足等、厳しい経営環境下での中小企業の稼ぐ力強化 ・賃上げ原資の確保 |
事業内容 | ・中小企業等が行う既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押し |
補助対象者 | ・企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦を行う中小企業等 |
補助対象となる可能性のある事業者 | ・製造業、サービス業、小売業、卸売業など |
補助対象とならない可能性のある事業者 | ・大企業(常時使用する従業員数が2,000人超の会社等)、みなし大企業、農作物の生産自体に関するものなど1次産業を主たる事業としている場合 |
予算規模 | ・総額1500億円規模(既存基金の活用) |
補助予定件数 | ・年間で6000社程度(1回の公募あたり1,250社前後と予想) |
補助事業期間 | ・交付決定日から14ヶ月以内(ただし採択発表日から16ヶ月以内) |
申請方法 | ・電子申請 |
GビズIDプライムアカウント | ・必須 |
補助対象経費
経費項目 | 内容 |
建物費 | ・専ら補助事業のために使用する工場/店舗等の新築/増築/改修 ・購入費用 |
構築物費 | ・専ら補助事業のために使用する構築物の新設/増設費用 |
機械装置・システム構築費 | ・補助事業に必要な機械装置 ・工具・器具備品の購入/製作/改良/据付費用 ・専用ソフトウェア/情報システムの構築/導入費用 |
技術導入費 | ・補助事業に必要な知的財産権等の導入費用 |
専門家経費 | ・補助事業の実施に必要な専門家(コンサルタント、弁護士、公認会計士等)への謝金 ・旅費 |
運搬費 | ・補助事業に必要な機械装置等の運搬費用8 |
クラウドサービス利用費 | ・補助事業に必要なクラウドサービスの利用費用 |
外注費 | ・補助事業遂行のために必要な加工 ・設計 ・検査等の一部を外注(請負・委託)する場合の経費 |
知的財産権等関連経費 | ・補助事業によって得られた知的財産権等の取得費用 |
広告宣伝・販売促進費 | ・新規事業で製造/提供する製品/サービスに関する広告作成費 ・広告媒体掲載費 ・イベント出展費等 |
対象とならない経費の例 | ・交付決定より前に契約(発注含む)を行った経費 ・他の国の補助金や税制優遇措置との併用経費など |
補助率・補助上限額
従業員数 | 補助上限額(通常) | 補助上限額(大幅賃上げ特例適用事業者) | 補助率 |
20人以下 | 2,500万円 | 3,000万円 | 1/2 |
21~50人 | 4,000万円 | 5,000万円 | 1/2 |
51~100人 | 5,500万円 | 7,000万円 | 1/2 |
101人以上 | 7,000万円 | 9,000万円 | 1/2 |
補助金下限 | 750万円 | 750万円 | 1/2 |
◇ 大幅賃上げ特例適用事業者とは?
3~5年の補助事業期間終了時点で、以下の①②を達成する計画を立てた場合、補助上限額が上乗せされます。ただし、目標未達の場合は、原則として補助金の返還が求められる 点に注意が必要です。
① 事業場内最低賃金+50円
② 給与支給総額+6%
◇ 税別1,500万円以上の投資が必須要件 となります。
申請要領(事業再構築補助金を参考に)
中小企業新事業進出補助金の具体的な申請要領は、まだ詳細が公開されていません。しかし、事業再構築補助金の後継という位置づけであるため、その申請の流れや必要書類、審査項目などを参考に準備を進めることが重要です。
申請の流れ(予想)
1.GビズIDプライムアカウントの取得
電子申請に必須です。早めに取得手続きを行いましょう。
2.公募要領の確認
中小企業庁の公式ホームページ等で公開される公募要領を必ず確認し、補助対象や要件、申請期間などを正確に把握します。
3.事業計画書の作成
補助金の趣旨を踏まえ、具体的かつ実現可能性の高い事業計画書を作成します。
4.必要書類の準備
公募要領に記載された必要な添付書類を準備します。
5.電子申請
GビズIDプライムアカウントでログインし、電子申請システムを通じて申請を行います。
6.審査
提出された申請書類に基づき、事務局による審査が行われます。
7.採択発表・交付決定
審査結果が発表され、採択された場合は交付申請の手続きを行います。
8.補助事業の実施
交付決定後、計画に基づき補助事業を実施します。
9.実績報告
補助事業期間終了後、実績報告書を提出します。
事業計画書の主な記載事項(予想)
事業計画書には、以下の項目などを盛り込むことが予想されます。事業再構築補助金の審査項目なども参考に、自社の強みや新規事業の実現可能性を具体的に記述しましょう。
◇ 企業の現状
現在の事業内容、経営状況、強み・弱み、課題など。
◇ 新規事業の概要
取り組む新事業の内容、市場ニーズ、競合の状況、自社の優位性など。
◇ 新規性
自社にとって過去に製造等した実績がないこと、定量的に性能又は効能が異なること(計測できる場合)を示す必要があります。世の中における新規性(日本初・世界初)である必要はありません。
◇ 目標
新規事業の具体的な目標(売上高、利益、市場シェアなど)を定量的に設定します。
◇ 具体的な措置(取組)
目標達成に向けた具体的な計画(設備投資の内容、導入スケジュール、販売戦略、人材育成計画など)を記述します。
◇ 実施体制
新規事業を推進するための社内体制、責任者の配置などを明確にします。
◇ 収益計画
新規事業による売上高、経費、利益などの見込みを具体的に示します。
◇ 資金調達計画
補助金以外の資金調達方法(自己資金、融資など)について記述します。
◇ 賃上げ計画
事業計画期間中の賃上げ目標(事業所内最低賃金、給与支給総額の増加率)を具体的に示します。
◇ 付加価値額の成長目標
年平均成長率+4.0%以上の増加を目指す計画を記述します。
◇ 一般事業主行動計画
次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の公表状況について記述します。
◇ 事業転換の場合の売上高構成比要件
3~5年間の事業計画期間終了後、新たな製品等の属する事業が、売上高構成比の最も高い事業となる計画を策定する必要があります。
◇ 国内回帰の場合の要件
海外で製造・調達している製品であること、国内に生産拠点を整備する計画であること、導入設備が先進性を有すること、3~5年間の事業計画期間終了後、本事業により製造する製品の売上高が総売上高の10%(又は総付加価値額の15%)以上となる計画を策定する必要があります。
添付書類の例(予想)
◇ GビズIDプライムアカウントに関する情報
◇ 申請者の概要(会社概要、登記事項証明書など)
◇ 直近の決算書
◇ 事業計画書
◇ 見積書(設備投資を行う場合)
◇ 賃金台帳、労働者名簿、最低賃金確認書(賃上げに関する要件を確認するため)
◇ 一般事業主行動計画の公表に関する書類
◇ その他、公募要領で指定される書類
採択されるためのポイント
◇ 制度の目的を理解する
新事業進出による企業の成長、生産性向上、賃上げへの貢献といった補助金の趣旨を理解し、事業計画に反映させることが重要です。
◇ 具体性と実現可能性
新規事業の内容、目標、実施計画、収益計画などを具体的かつ論理的に記述し、実現可能性が高いと評価される事業計画を作成します。
◇ 明確な差別化戦略
既存事業や競合他社との違いを明確にし、自社の強みを活かした独自の事業展開を描くことが重要です。
◇ 波及効果
地域経済への貢献、サプライチェーンの強化、新たな雇用の創出など、事業の波及効果を示すことも有効です。
◇ 審査基準を意識する
「経営力」「波及効果」「実現可能性」などの審査基準を意識して事業計画を策定しましょう。
2025年度のスケジュール
時期(予想) | 内容(予想) |
2025年3月頃 | 第1回公募要領の発表 |
2025年4月上旬頃 | 第1回公募開始 |
2025年5月頃 | 「売上高100億円を目指す宣言」申請受付開始、第1回公募申請受付開始 |
2025年5月中旬~下旬頃 | 第1回公募締切 |
2025年6月頃 | 第1回公募申請期限 |
2025年6月下旬~7月上旬頃 | 第1回採択発表 |
2025年8月頃 | 第1回公募採択(交付候補者決定) |
2025年6月~7月頃 | 第2回公募開始 |
2025年9月~10月頃 | 第3回公募開始 |
交付決定日から14ヶ月以内 | 補助事業実施期限 |
(参考)中小企業成長加速化補助金について
中小企業成長加速化補助金は、売上高100億円を目指す成長志向型の中小企業に対して、最大5億円の大規模な設備投資などを支援する補助金です。申請には「100億宣言」の策定・公表が基本要件の一つとなっています。本記事では詳細な説明は割愛しますが、将来的な成長目標が高い企業は、こちらの補助金も検討してみると良いでしょう。
まとめ
中小企業新事業進出補助金は、新たな事業への挑戦を通じて企業の成長を目指す中小企業にとって、大きなチャンスとなる補助金です。申請には事前の準備が不可欠です。本記事を参考に、早めに情報収集を行い、事業計画の策定に着手することをおすすめします。積極的にこの補助金を活用し、企業の新たな成長への一歩を踏み出しましょう。
名古屋のOSAHIRO行政書士事務所では、各種補助金の申請サポートを行っております。
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