民泊新法(住宅宿泊事業法)届出の流れと必要書類を徹底解説!

民泊新法(住宅宿泊事業法)は、旅館業法上の許可がなくても、一定の要件を満たせば民泊を運営できるように定められた法律です。本記事では、民泊新法に基づいた届出の流れ必要書類などをわかりやすく解説します。

民泊新法とは?

民泊新法(住宅宿泊事業法)は、2018年6月に施行された法律で、正式名称は「住宅宿泊事業法」です。年間180日上限として、旅館業法の許可がなくても住宅を宿泊施設として提供することを可能にしました。これにより、空き家や別荘などを活用した手軽な民泊運営が実現しやすくなりました。

民泊の種類

民泊の主な種類は以下の通りです。

◇ 民泊新法(住宅宿泊事業法)
年間180日以内の運営が上限で、手続きは都道府県知事等への届出制です。台所、浴室、便所、洗面設備がある住宅で営めます。

◇ 旅館業法(旅館・ホテル営業)
年間を通した営業が可能で、ホテルや旅館が該当します。設備基準は簡易宿所より厳しく、許可取得が必要です。

◇ 旅館業法(簡易宿所)
年間日数制限がなく営業できます。ユースホステルやカプセルホテルのような形態で、客室の延床面積が33㎡以上(宿泊者10人未満の場合は3.3㎡に宿泊者数を乗じた面積以上)という基準があります。

◇ 特区民泊(国家戦略特別区域法)
特定の国家戦略特区でのみ認められ、年間日数制限はありませんが、最低宿泊日数が2泊3日以上と定められています。主に外国人観光客を対象としています。

これらの民泊形態は、それぞれ異なる要件や手続きが定められています。

届出の流れ

民泊新法(住宅宿泊事業法)に基づく届出の流れについて説明します。

届出前の確認事項

◇ 条例のチェック
営業する地域の自治体の条例を確認します。条例は法律よりも厳しい規制をしている場合があり、営業期間などを制限していることが多いです。

◇ アパート、マンションでの確認
賃貸物件の場合は、賃貸人(大家さん)が転貸を承諾しているかを確認します。分譲マンションの場合は、管理規約で民泊が禁止されていないか、または管理組合で禁止の意思がないかを確認し、確認済みであるという書面をもらいます。

◇ 住宅の図面の確認
届出に必要な添付書類に「住宅の図面」があり、必要な事項が記載されているかを確認します。

保健所への事前相談

民泊新法で住宅宿泊事業を始める際、管轄の保健センターへの事前相談が強く推奨されています。これは、提出する住宅の図面が要件を満たしているか確認し、消防署での手続き(消防法令適合通知書の交付)がスムーズに進むよう、不備がないか事前に相談するためです。

通常、事前に電話で日時を予約した上で、図面を持参して相談に行きますが、FAXやメールでの相談も可能です(ただし、内容確認のために窓口での来所を求められることもあります)。この事前相談を通じて、法令に定められた様々な要件や業務を実施できるか十分に検討することが重要とされています。

周辺住民への事前説明

◇ 事業を営もうとする住宅の周辺住民等に対して、書面等により事前周知を行います。

◇ 周辺住民等から理解を得た上で事業実施できるよう、事前に周知を図り、周辺地域と調和した事業実施を目指します。

消防署での確認

◇ 保健センターに相談した後、消防署に行き、民泊に必要な消防設備を確認します。

◇ 消防署へ行く前に必ずアポを取りましょう。

◇ 住宅宿泊事業の場合、保健センターに提出する”消防法令適合通知書”が必要になるため、準備して消防署にハンコを押してもらう必要があります。(東京都にて消防機関への相談を行ったことを証する書類でよいかは、届出窓口に要確認)

必要書類の準備

特に事前準備を優先すべき重要な書類とポイントは以下の通りです。

外部機関での手続きが必要な最重要書類

◇ 消防法令適合通知書
届出において受理の可否を左右する最重要書類です。これを得るには、管轄の消防署への事前相談、必要な消防設備の設置、そして消防職員による実地検査をクリアしなければなりません。検査から交付まで数週間を要することもあり、工事が必要な場合はさらに時間がかかるため、物件が決まったら真っ先に取り掛かるべき手続きです。

◇ 市町村長の証明書
「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」に該当しないことを証明する公的書類です。本籍地の市区町村役場でのみ発行されるため、遠方の場合は郵送請求の手間と時間を考慮しておく必要があります。

正確な作成が求められる書類

◇ 詳細な住宅図面
不動産会社が提供する簡易的な間取り図では不十分です。台所・浴室・便所・洗面設備の「4点セット」の位置、各室の面積、非常用照明器具の設置場所、避難経路などを正確に明記した図面が求められます。図面不備は差し戻しの主な原因となるため、必要に応じて建築士などの専門家への依頼も検討しましょう。

物件や運営形態に応じた追加書類

◇ 賃貸・転貸物件の場合
オーナー(賃貸人)から住宅宿泊事業を目的とした転貸の許可を得ていることを証する「転貸(民泊)承諾書」が必要です。

◇ 分譲マンションの場合
管理規約に民泊を禁止する定めがないことの写し、または管理組合による「禁止する意思がない旨の確認書」が必要です。

◇ 家主不在型で運営する場合
住宅宿泊管理業者に業務を委託する必要があるため、委託先業者から交付された「管理受託契約の内容を証する書面」の写しを準備します。

なお、住民票や登記事項証明書などの公的書類は、原則として発行から3ヶ月以内という有効期限がある点に注意し、申請の直前に揃えるのが効率的です。

届出

◇ 原則として民泊制度運営システムを利用して、住宅の所在地を管轄する都道府県知事等に届け出ます。

◇ オンラインシステムによる届出書の作成が難しい場合は、各自治体での設置窓口で配布されている書類を取得し、郵送での届出も可能です。

施設の立ち入り検査

民泊新法における施設の立ち入り検査は、以下のようになります。

◇ 民泊申請時
届出前に、まず管轄の消防署があなたの施設を実地検査し、消防法令に適合しているかを確認します。この検査に合格して「消防法令適合通知書」が交付されないと、届出を行うことができません。

◇ 開業後
事業開始後は、管轄の保健センター職員が立入検査を実施することがあります。これは、あなたが法律で定められた宿泊者の衛生・安全確保、宿泊者名簿の管理、標識の掲示といった業務を適正に運営しているかを確認するためです。検査を拒んだり、妨げたりすると罰則の対象となります。

運営開始

民泊新法で運営を開始したら、届出事項を遵守し、適切に事業を続けることが重要です。主な注意点は以下の通りです。

宿泊者名簿を正確に作成・保管し、本人確認を徹底する義務があります。

◇ 施設の衛生と安全を常に確保し、非常用照明や避難経路表示などを維持しなければなりません。

◇ 周辺住民への配慮(騒音・ゴミなど)を促し、苦情には迅速に対応する。

届出の標識を常に見やすい場所に掲示してください。

◇ 2ヶ月ごとに宿泊日数などの定期報告を行う義務があります。

これらは管轄の保健センターによる立入検査で確認され、違反すると罰則の対象となるため注意が必要です。

届出に必要な書類

民泊新法(住宅宿泊事業法)の届出に必要な書類の詳細を表にまとめます。

個人法人
届出書
身分証明書(復権を得ない者に該当しない旨)
役員の身分証明書(復権を得ない者に該当しない旨)
欠格事由に該当しないことを誓約する書面
住宅の登記事項証明書
会社の登記事項証明書
入居者の募集が行われていることを証する書類(該当する場合)
随時その所有者、賃借人又は転借人に居住の用に供されていることを証する書類(該当する場合)
住宅の図面
賃貸人が承諾したことを証する書類(賃借物件の場合)
管理規約の写し(マンションの場合)
消防法令適合通知書
定款
役員の登記されていないことの証明書

住宅宿泊事業(民泊新法)を開始するには、物件所在地の都道府県知事等へ「住宅宿泊事業届出書」と必要な添付書類を提出する必要があります。届出は原則として「民泊制度運営システム」を利用したオンライン申請が推奨されています。主要な必要書類のポイントは以下の通りです。

全員が必要な基本書類

◇ 住宅宿泊事業届出書
氏名や住宅所在地、管理受託契約の内容などを記載するメインの申請書です。

◇ 住宅の図面
台所・浴室・便所・洗面設備の「4点セット」の位置、各室の面積、非常用照明や避難経路を明記した詳細な図面です。

◇ 住宅の登記事項証明書
対象となる物件の所有権などの権利関係を証明するために提出します。

◇ 消防法令適合通知書
消防署の立入検査を経て発行される、建物が消防法に適合していることを証する極めて重要な書類です。

◇ 欠格事由に該当しない旨の誓約書
事業者が法律で定められた欠格事由(破産者や暴力団員等)に該当しないことを誓約します。

届出者の種別による書類

◇ 個人の場合
破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない旨の「市町村長の証明書」が必要です。

◇ 法人の場合
定款および法人の登記事項証明書に加え、役員全員分の「市町村長の証明書」が必要です。

物件の形態に応じた追加書類

◇ 賃貸・転貸物件
オーナーや賃貸人からの「転貸(民泊)承諾書」が必要です。

◇ 分譲マンション
管理規約に民泊禁止の定めがないことの写し、または管理組合による「禁止する意思がない旨の確認書」が必要です。

◇ 管理委託が必要な場合
家主不在型などで住宅宿泊管理業者に委託する場合、委託業者から交付された契約内容を証する書面を添付します。

届出の要件

以下の要件を満たす必要があります。

住宅の要件

◇ 台所、浴室、トイレ、洗面設備
「台所」、「浴室」、「便所」、「洗面設備」が備わっているかを確認します。
これらの設備は必ずしも独立している必要はなく、シャワーのみの浴室や和式トイレでも構いません。

◇ 以下のいずれかの要件を満たす必要があります(居住要件
現に人の生活の本拠として使用されている家屋

入居者の募集が行われている家屋

・随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋

欠格事由

◇ 心身の故障により事業を適切に行うことができない者

◇ 破産手続き開始の決定を受けている者

◇ 過去に民泊事業の廃止命令を受けた者

◇ 禁錮以上の刑に処せられた者

◇ 暴力団員など

マンションの管理規約

◇ 管理規約で民泊が禁止されていないか確認が必要です。

消防法令適合通知書

◇ 事前に消防署に相談し、必要な消防設備を設置する必要があります。

周辺住民への説明

◇ 騒音、ゴミ、火災など、生活環境への影響について事前に説明し、理解を得るように努めましょう。

届出後の義務

民泊新法に基づき民泊を運営する場合、以下の義務が課せられます。

宿泊者名簿の作成・保管

◇ 宿泊者の氏名、住所、職業、宿泊日、国籍、旅券番号などを記載した名簿を作成し、3年間保管する必要があります。

周辺地域の生活環境への配慮

◇ 騒音防止、ゴミ処理、火災防止など、周辺住民への配慮を徹底する必要があります。

苦情への対応

◇ 周辺住民からの苦情や問い合わせに適切かつ迅速に対応する必要があります。

外国人への対応

外国語で設備の使用方法、交通手段、緊急連絡先などを案内する必要があります。

標識の掲示

◇ 届出住宅であることを示す標識を見やすい場所に掲示する必要があります。

定期的な報告

◇ 宿泊日数、宿泊者数などを定期的に報告する必要があります。

まとめ

民泊新法(住宅宿泊事業法)に基づく届出の主なポイントは以下の通りです。

◇ 年間宿泊日数の制限
住宅を宿泊させる日数は年間180日を超えてはいけません。

◇ 住宅の設備要件
事業を営む住宅には、台所、浴室、便所、洗面設備が必須です。

◇ 管理業務の委託
家主が不在となる場合や、届出住宅の居室数が5を超える家主居住型の場合は、住宅宿泊管理業者への管理業務の全部委託が義務付けられています。

◇ 周辺住民への事前周知
騒音やゴミ処理など、周辺地域の生活環境への悪影響防止のため、宿泊者への説明や周辺住民への事前周知が必要です。

◇ 手続きの容易さ
旅館業法や特区民泊に比べて手続きが比較的容易で、原則として「民泊制度運営システム」を利用してオンラインで届出が可能です。

民泊新法(住宅宿泊事業法)に基づく届出は、一定の手続きと書類が必要ですが、個人でも手軽に民泊事業を始められる可能性があります。必要な準備をしっかりと行い、法令を遵守して安全で快適な民泊を運営しましょう。

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参考:民泊申請の説明動画

民泊申請の概要、注意点について、動画でわかりやすくご紹介します。

【民泊情報】

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【旅館業】

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