
新事業進出補助金と中小企業成長加速化補助金の違いについて、2025年度の実施概要、具体的な適用例を基に解説します。
2025年度には、中小企業の新たな挑戦を支援 するための二つの主要な補助金制度(新事業進出補助金・中小企業成長加速化補助金)が設けられています。 これらの補助金は、事業再構築補助金の後継 として、中小企業が新たな事業領域に進出 し、成長を加速 させることを目的としています。 それぞれの補助金の目的、対象者、補助内容を理解し、自社の戦略に合った補助金を活用しましょう。
新事業進出補助金
目的
既存事業とは異なる新市場や高付加価値事業への進出 を支援します。事業再構築補助金の後継として、新製品やサービスの開発、新規市場への参入、企業規模の拡大と生産性向上を促進します。
補助対象者
中小企業および個人事業主で、新規事業に挑戦する事業者。
補助内容
◇ 補助率:1/2
◇ 補助上限額
従業員数に応じて異なり、750万円〜9,000万円。大幅賃上げ特例適用時は上限額が上乗せされます。
◇ 対象経費
建物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費など。
◇ 事業要件
3〜5年の事業計画を策定し、付加価値額、給与支給総額、事業所内最低賃金に関する要件を満たす必要があります。
スケジュール
新事業進出補助金のスケジュールは以下の通り予想されています。
時期(予想) | 内容 |
2025年9月~10月 | 第3回公募開始 |
2025年10月頃 | 第1回公募の採択発表 |
2025年12月~2026年1月 | 第4回公募開始 |
~2026年3月 | 合計4回程度の公募が実施される見込み |
適用例
新事業進出補助金の適用例は以下の通りです。
◇ 製造業の新分野展開
ガソリン車部品製造から半導体製造装置部品製造への転換、産業廃棄物処理からカーボンリサイクル機能性素材製造への参入、地方製造業が観光業と連携した新サービス事業展開などが考えられます。
◇ サービス業の業種転換
レコーディング・音響事業者がライブハウス事業を開始、飲食店がフードロス削減のためAI活用デジタルシステムを導入するケースがあります。
◇ IT企業の新規参入
スマート農業向けIoTセンサー開発のように、IT技術を農業分野へ応用する事業も対象です。
◇ 伝統産業の市場開拓
伝統工芸企業が海外市場向けの高付加価値商品開発に着手する例も含まれます。
中小企業成長加速化補助金
目的
売上高100億円超 を目指す中小企業に対し、大胆な設備投資 を支援し、多様な経営課題 への対応をサポートします。
補助対象者
売上高100億円への飛躍的成長を目指す中小企業。
補助内容
◇ 補助率:1/2
◇ 補助上限額:5億円
◇ 対象経費:建物費、機械装置等費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費
事業要件
◇ 投資額1億円以上(専門家経費・外注費を除く)
◇ 「売上高100億円を目指す宣言」をポータルサイトに公表
◇ 賃上げ要件
スケジュール
時期 | 内容 | 備考 |
2025年4月下旬 | 公募説明会 | ― |
2025年5月8日(木) | 申請受付開始 | ― |
2025年6月9日(月)17:00 | 申請受付締切 | ― |
2025年7月中旬 | 1次審査結果の公表 | ― |
2025年8月18日~9月5日 | プレゼンテーション審査(土日祝除く) | ― |
2025年9月中旬以降 | 採択結果の公表 | ※応募件数により前後する可能性あり |
採択決定後2か月以内 | 交付申請 | ※期限に間に合わない場合は事務局への事前相談が必要 |
最短2025年10月中旬以降 | 交付決定 | ※交付決定日以降に発注・契約が可能となる |
交付決定日から24か月以内 | 補助事業実施期間 | ― |
補助事業終了後3年間 | 賃上げ実施期間 | ― |
補助事業終了後5年間(毎事業年度) | 事業化状況・賃上げ状況等の報告 | ※基準年度の終了後を初回とし、以降5年間、毎事業年度終了後60日以内 |
2026年度末まで | 計3回の公募を予定 | ― |
適用例
中小企業成長加速化補助金は、将来の売上高100億円を目指す中小企業の大胆な投資を支援することを目的としており、単なる設備更新に留まらない、下記のような取り組みが想定されています。
◇ 事業再編・多角化によるシナジー創出
複数の地方メーカーをM&Aし、工場閑散期に別会社の製品製造を行うことで稼働率を向上させ、事業間の相乗効果を生み出すケース。
◇ 業種転換・新分野進出
既存の地場産業(例:繊維用機械の金属部品加工業)から、全く異なる分野(例:回転寿司コンベアシステム)へ業種転換し、国内トップシェアを狙うケース。
◇ 高付加価値化・市場独占
特定のニッチな分野(例:麹の製造装置)において、フルオーダーメイドや徹底したアフターフォローにより高いシェアを獲得し、他社が追随できない独自のサービスを提供するケース。
これらの例は、企業の「稼ぐ力」を底上げし、地域経済にインパクトを与える成長を目指す投資が支援対象となることを示しています。
どちらの補助金を選ぶべきか?
新事業進出補助金
◇ 新しい市場や製品の開拓を目指す
◇ 個人事業主や小規模な中小企業
◇ スタートアップやアーリー期の企業
中小企業成長加速化補助金
◇ 売上高100億円を目指し、大規模な設備投資を行う
◇ 海外進出を考えている企業
申請の準備
◇ GビズIDプライムアカウントの取得
両補助金に申請する際、GビズIDプライムアカウントが必須です。
◇ 事業計画の策定
自社の成長戦略や目標を明確にし、具体的な計画を立てましょう。
まとめ
新事業進出補助金と中小企業成長加速化補助金は、それぞれ異なる目的と対象 を持っています。
自社の事業規模、成長段階、目標 に応じて、最適な補助金 を選択し、積極的な事業展開を目指しましょう。
名古屋市のOSAHIRO行政書士事務所は補助金申請をサポートしています。ご依頼・ご相談などお気軽にお問い合わせください(初回面談は無料です)。
ご参考:補助金申請の説明動画
補助金申請の概要や注意点を動画でわかりやすくご紹介します。