特定技能「製造業」とは?

特定技能制度は、人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れる在留資格です。中でも「製造業」分野は、多くの外国人労働者が従事しており、今後も受け入れが見込まれる分野として注目されています。

特定技能「製造業」の概要

3分野統合の経緯

以前、特定技能の製造業分野は「素形材産業分野」「産業機械製造業分野」「電気・電子情報関連産業分野」3つに分かれていました。しかし、2022年4月からは、これらの3分野が統合され、「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」となりました。今後は分野名を「工業製品製造業分野」へ変更し、新たな業種・業務区分を追加しています。

対象業種

特定技能「製造業」で外国人が従事できる業務は、事業所が以下の日本標準産業分類に掲げる産業を行っていることが前提となります。

◇ 繊維工業

◇ パルプ製造業

◇ 機械刃物製造業

◇ 作業工具製造業

◇ 鉄骨製造業

◇ 金属製サッシ・ドア製造業

◇ はん用機械器具製造業

◇ 生産用機械器具製造業

◇ 業務用機械器具製造業

◇ 電子部品・デバイス・電子回路製造業

◇ 電気機械器具製造業

◇ 情報通信機械器具製造業

◇ 工業用模型製造業

業務区分

特定技能制度における「工業製品製造業分野」では、外国人材が従事できる業務が以下の10区分に分けられています。これらの業務区分は、日本の「人手不足」に対応するため、一定の専門性や技能を持つ外国人を受け入れる目的で設定されています。

業務区分含まれる主な技能
機械金属加工・鋳造、機械加工、溶接、金属プレス加工、工場板金、塗装、機械保全など、金属や機械部品の製造・加工・組立に関する幅広い作業が含まれます。

・2024年3月に追加された強化プラスチック成形や金属熱処理も含まれます。
電気電子機器組立て・電子機器や電気機器の組立て、機械加工、プラスチック成形、機械保全など、電気・電子部品や機器の製造・組立に関する作業が含まれます。

・強化プラスチック成形も含まれます。
金属表面処理・めっき、アルミニウム陽極酸化処理など、金属製品の表面を加工・保護する作業。
紙器・段ボール箱製造・紙製の箱や段ボール箱の製造全般。
コンクリート製品製造・コンクリート製品の製造全般。
RPF製造・RPF(廃棄物固形燃料)の製造全般。
陶磁器製品製造・食卓用・ちゅう房用陶磁器、陶磁器製置物など、陶磁器製品の製造全般。
印刷・製本・印刷および製本に関する作業。
紡織製品製造・紡績、織布、染色、ニット製品、カーペットなど、繊維製品の製造全般。
縫製・婦人・子供服、紳士服、下着類、寝具、帆布製品、座席シートなどの縫製作業。

これらの業務区分は、2022年5月の分野統合と2024年3月29日の閣議決定による新たな業種・業務区分の追加を経て、「工業製品製造業分野」として再編されました。特定の業務区分で従事するためには、該当する技能評価試験に合格するか、対応する技能実習2号を良好に修了している必要があります。

事業所の要件

特定技能外国人を受け入れる事業所は、以下の要件を満たす必要があります。

◇ 事業を継続していること
直近1年間に「製造品出荷額等」が発生している必要があります。

◇ 事業者所有の原材料で製造していること
売り上げを得た製造品は事業所が所有する原材料によって製造され、出荷されている必要があります。

◇ 受入れ協議・連絡会に入会していること
経済産業省が設置している「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」への加入が必要です。

在留資格取得要件

技能水準

特定技能1号の在留資格を得るには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

◇ 技能試験に合格
◇ 技能実習2号を良好に修了

日本語能力水準

以下のいずれかの試験で基準を満たす必要があります。

◇ 国際交流基金日本語基礎テスト
◇ 日本語能力試験(N4以上)

ただし、技能実習2号を良好に修了した場合は、技能試験・日本語試験が免除されます。

申請の流れ

製造業分野で特定技能外国人を受け入れる際の主な申請フローは以下の通りです。

ステップ説明
1. 協議・連絡会への入会特定技能外国人材受入れ協議・連絡会への構成員登録が必要です。
2. 外国人候補の探索協議会入会後、受け入れる特定技能外国人材を探します。
3. 支援計画の策定外国人の日本での生活・就労を支援するための計画(事前ガイダンス、送迎、住居確保支援等10項目)を雇用前に作成します。
4. 在留資格認定・変更申請地方出入国在留管理局へ、雇用契約書や支援計画等の必要書類を添えて申請します。
◇ 海外から来日する場合:在留資格認定証明書交付申請
◇ 日本国内に在留している場合:在留資格変更許可申請
5. 審査・在留カード交付申請が審査され、許可されれば特定技能外国人に在留カードが交付されます。
6. 支援の実施入国後または在留資格変更後、支援計画に基づき、生活オリエンテーションなど各種支援を遅滞なく実施します。

注意点

◇ 業務区分
特定技能外国人が従事できるのは、在留資格を得た業務区分に含まれる技能を要する業務のみです。

◇ 事業所の要件
特定技能外国人を受け入れる事業所は、継続して製造業を行っていることが求められます。

◇ 受入れ協議・連絡会
特定技能外国人を初めて受け入れる前に、必ず「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」へ加入する必要があります。

◇ 在留資格
出入国在留管理庁への在留諸申請の前に、受入れ協議・連絡会の構成員になることが必須となっています。

まとめ

特定技能「製造業」は、人手不足に悩む製造業にとって、即戦力となる外国人材を確保できる有効な手段です。制度を理解し、必要な要件を満たすことで、外国人材の受け入れをスムーズに進めることができます。

参考:特定技能ビザ説明動画

ビザ申請の概要や注意点を動画でわかりやすくご紹介します。

・特定技能制度|2025年4月からの変更点

・特定技能外国人の職種変更における主な注意点

・特定技能外国人の受け入れにおける登録支援機関の役割と責任

・特定技能所属機関による協力確認書の提出とは?

・特定技能1号から2号になるには?

・特定技能「工業製品製造業」分野とは?

・製造業特定技能協議会への入会は受入れ機関に必須か?

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