帰化申請|条件・流れ・注意点ガイド

帰化とは、外国籍の方が日本国籍を取得することです。法務大臣の許可を得る必要があり、許可されると官報に告示され、その日から日本人となります。

帰化の条件

住所要件

引き続き5年以上日本に住所を有すること。
留学ビザや就学ビザのままでは難しく、就労ビザなどに切り替えてから3年以上トータルで5年以上日本に住む必要があります。

能力要件

18歳以上で本国の法律で成人であること。
17歳ですぐに帰化したい場合は、原則として両親と同時申請する必要があります。

素行要件

素行が善良であること。税金や年金をきちんと納めているか、交通違反や犯罪歴がないかなどが考慮されます。
過去に交通違反や税金の滞納があった場合、審査に影響する可能性があります。

生計要件

生活に困窮せず、安定した収入があること。世帯全体の収入で判断されます。
専業主婦や学生であっても、配偶者や親からの仕送りで安定した生活を送ることができれば、この条件を満たすことになります。

重国籍防止要件

無国籍であるか、帰化によって元の国籍を喪失すること。
例外として、本人の意思によってその国の国籍を喪失できない場合については、この条件を備えていなくても帰化が許可になる場合があります。

憲法遵守要件

日本の政府を暴力で破壊しようと企てる者でないこと。

日本語能力

日常生活に支障のない程度の日本語能力を有すること。
帰化手続きにおいて、必要な書類等の案内は日本語で行われます。

ただし、日本と特別な関係がある外国人(日本で生まれた人、日本人の配偶者、日本人の子など)は、上記の条件が一部緩和されることがあります

帰化申請の流れ

1.事前相談の予約管轄の法務局に電話で相談の予約をします。

 ・まず電話で事前相談の予約をします。予約は1か月以上先になる場合もあります。

2.法務局での事前相談必要書類や手続きの説明を受けます。

 •本国書類などで取得することが難しい書類がある場合は、ここでしっかり確認しておきましょう。

3.書類の収集・作成法務局から指示された書類を収集し、申請書を作成します。

 •帰化許可申請書、親族の概要を記載した書面、履歴書、帰化の動機書、生計の概要を記載した書面などです。

4.書類の点検法務局で書類一式の点検を受けます(法務局によっては不要)。

 •不足している書類、追加で用意する書類、申請書の書き直しが必要な箇所などを点検してもらえます。

5.申請法務局に申請書類を提出します。

 •書類に不備がなければ「申請受付」となります。

6.面接法務局の担当官と面接を行います。

 •面接では、申請書類に書いた内容の確認や、帰化したい理由などが聞かれます。

7.審査法務局で審査が行われます。

 •審査期間中に、追加で書類を出すように指示されたり、申請者への追加質問がなされる場合もあります。

8.許可・官報公告法務大臣の許可が下りると、官報に氏名、住所、生年月日が掲載されます。

9.帰化届の提出1か月以内に市区町村役場に帰化届を提出します。

 •帰化者の身分証明書を市役所に持参して「帰化届」を提出すると、戸籍が編さんされます。

10.国籍離脱手続き・在留カードの返納元の国籍の離脱手続きを行い、在留カードを返納します。

 •帰化許可から14日以内に、入管の窓口または郵送で在留カードを返納します。

注意点

日本国籍の取得を目指す帰化申請は、準備から許可まで多くの時間と労力がかかる手続きです。申請書類の収集・作成から法務局とのやり取り、面接など、様々なステップがあります。特に、申請中に気を付けておくべき注意点を以下に示します。

注意点具体的な内容/影響
書類作成の厳格さ・帰化許可申請書をはじめとする提出書類の記載方法や必要書類の並び順には厳格なルールがあります。

・これに従わない場合、再提出となり審査が遅れる可能性があります。
申請中の状況変化・申請後に住所や勤務先、家族構成などに変更があった場合は、すぐに法務局の担当官に報告する義務があります。

・報告を怠ると不許可になる可能性があります。

・短い旅行や出張での出国も事前に報告が必要です。
法令遵守・帰化申請中であっても、税金の滞納や交通違反を含む法令に違反する行為があると、素行善良要件を満たさないと判断され不許可につながることがあります。

・審査の結果が出るまで、気を付けて生活することが重要です。.
必要書類の有効期限・住民票や納税証明書など、一部の提出書類には発行から3ヶ月など有効期限が定められています。

・他の書類を集めている間に期限が切れてしまうことがあるため、取得のタイミングに注意が必要です。

・年度が変わることで書類の差し替えが必要になることもあります。
海外への出国・居住要件を満たすためには、引き続き日本に住所を有していることが重要です。

・一般的に、1回の海外出国が3ヶ月を超えたり、年間の合計出国日数が100日から150日を超えたりすると、「引き続き」日本に住んでいるとは見なされない可能性があります。

・仕事による長期滞在であっても考慮されない場合があります。
年金・納税状況・年金保険料や税金の納付状況は素行善良要件の重要な判断材料です。

・未納や滞納があると不許可の原因となります。

・日本人配偶者の扶養に入っている場合や自営業の場合など、状況によって必要な対応が異なります。
日本語能力・国籍法に明記はありませんが、日常生活に支障のない程度の日本語能力(会話・読み書き)が実務上求められます。

・法務局での面接時に確認されるほか、帰化の動機書を日本語で手書きすることも、日本語能力の確認を兼ねていると考えられています。

・目安として小学校3年生レベル、日本語能力試験N3レベルと言われています。
面接・調査・申請書類受理後、法務局の担当官との面接があります。

・帰化理由や経歴、職歴、日本への感想などが質問されます。

・また、自宅や職場、近隣への訪問調査や、職場への在籍確認が行われる場合もあります。

・面接時だけでなく、日頃の言動や対応も審査の対象となり得ます。

審査期間

申請受付から結果が出るまでの審査期間については、10カ月~1年以上ですが、審査の状況によっては2年かかる場合もあります。

帰化後の手続き

帰化許可後も、運転免許証や保険証の名義変更、パスポートの取得など、様々な手続きが必要です。

まとめ

帰化申請は時間と労力がかかる手続きですが、日本国籍を取得することで、日本人として様々な権利や義務を持つことができます。条件や手続きをよく理解し、計画的に進めていきましょう。

参考:帰化申請の説明動画

帰化申請の概要や注意点を動画でわかりやすくご紹介します。

帰化の主要な要件とは何か?

日本人配偶者の帰化申請

帰化申請で必要な日本語能力とは?

帰化と永住の違い

帰化申請で過去の交通違反は考慮されるか?

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