遺言書は大切?
人は誰でもやがて亡くなります。自分の死後、肉親同士が親の遺産をめぐり骨肉の争いをしないですむよう、生前から準備をしておくことも大切です。こうした遺産分割をめぐる争いを防止するためには、遺言を作成することが必要です。
原則として遺産は法律で定められた法定相続割合に従って相続するように規定されていますが、遺言書があればこの相続割合に従わず、遺産は基本的に遺言書の通りに分けていくことになります。しかし遺言にも限界があります。一定範囲の相続人には、最低限度の遺産取得割合である「遺留分」があり、遺言書の内容にかかわらず、主張すればもらえます。
被相続人の生前に家庭裁判所の許可を得て、「遺留分の放棄」をすることも認められています。生前に「すでに十分なことをしてもらったので、遺産は一切要求しません。相続を放棄します。」という念書を書かせる方法をたまに見かけますが、法律では、生前に放棄できるのは家庭裁判所での「遺留分の放棄」だけで、「相続放棄」はできません。このような念書は無効です。
遺言にはどのような種類がありますか?
遺言には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があり、これを普通方式遺言といいます。実務上は「自筆証書遺言」「公正証書遺言」の二つの方法がよく利用されます。
「自筆証書遺言」とは、遺言者が遺言書本文を自書して作成する遺言書のことです。世の中の大半の遺言書はこの方式です。かつて自筆証書遺言は自宅で保管する方が大半でした。ただし、自宅で保管すると、遺言書の紛失、相続人による遺言書の隠匿、破棄のおそれ等遺言書を発見してもらえないおそれなどの問題がありました。そこで令和2年7月から、法務局が遺言書の原本を保管してくれる制度(遺言書保管制度)が始まりました。この制度によって、い遺言書の紛失や隠匿などを防止できるだけでなく、遺言書を発見してもらいやすくなりました。
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